2006年02月25日

百年兵を養うは、一日にこれを用いんがため

昨日24日、戦略情報研究所主催の講演会『自衛隊による拉致被害者救出のシミュレーション』に参加してきました。

講師は軍事評論家で元空将(空軍少将)の佐藤守氏。
肩書きからして、とっつき難くて難しいお話ばかりだったらどうしよう?と少々ビビりながら?会場に馳せ参じたのですが、実際はとても気さくでお話し上手な方でして、2時間の講演はあっという間に終わってしまったと言う感じでした。(笑)

まず月並みな言い方で恐縮なんですが、日本の防衛を命をかけてここまで真剣に考えている方がいる事に胸を熱くしています。
日本の法律、及び国民意識における自衛隊の位置付けは、まだまだ不当に貶められていると言う側面はあります。
平和も安全もそれを本気で維持しようと思ったらば、軍隊の保持をためらうべきではない、と私は思うんですけれど。
自衛隊の位置付けが不当に低いのは、国民意識がまだまだ平和ボケの境地から脱し切れていない証しだろうと思います。
それでも阪神大震災や地下鉄サリン事件、カンボジアPKOなどを経て、拉致問題が広く周知された9.17以降は、日本人の意識も少しづつ少しづつ変わりつつあるとは思いますけれどもね。
国民は目覚めつつありますが、しかし政治の世界はまだまだですよね。
防衛予算を削って憚らない某片山さつき氏とか・・・?な人がまだまだ幅を利かせているし(呆)

さて本日のお題でもある佐藤氏の講演ですが、まずは会場で配布された資料を御覧下さい

自衛隊による拉致被害者救出のシュミレーション

はじめに
  フィクションである事!
  講演ではなく参加者参加による「作戦会議」にしたい!

◆自衛隊独自で作戦は可能か?

(1)困難なもの
 ・情報の欠如・・・拉致被害者の掌握(救出地点に被害者は集まれるのか?・・・現実には難しい)
 ・言語能力。
 ・拉致被害者との連絡手段・・・協力者の確保は?
 ・作戦実行上・・・地理不案内、作戦発起基盤の確保。(洋上か、陸上か?)
(2)一部可能なもの
 ・空自・・・適基地攻撃、上空掩護、輸送支援。  
 ・陸上基地確保は困難?(韓国の協力が得られない、現実的には海上での基地を確保)
 ・海自・・・上陸支援
 ・陸自・・・実行部隊
      例:中央即応集団・・・国際待機部隊常時1000人待機
               (将来は4〜5000人)
        空挺団・・・特種作戦群300人
 ・救出作戦の基本構想は「邦人救出作戦」

◆作戦成立のキーポイント
 ・韓国の協力は得られるか?(現実には難しい)
 ・関係官庁の共同作戦   (防衛・外務・海保・警察など) 
 ・米軍との共同作戦は?(米軍はプロだが日本は玩具のような物、最近は本物になりつつある)
 ・秘密保全は?(情報の管理は難しい、必ずどこかから漏洩が起きる)

◆望ましい形態
米軍との共同作戦
   ※情報・・・かなりの精度で得られる
   ※支援・・・輸送、基地提供(韓国内)物資
   ※実行・・・部隊掩護

◆望ましい状況
  半島有事を想定・・・米軍が北を攻撃する際、機に乗じて救出作戦を実行する

◆作戦実行上のポイント
  ○被害者への通報、誘導、集合
   協力者の獲得は?

  ○救出部隊の進出法
   陸上基地(在韓米軍基地?) 無理だろう
   海上基地(海上艦艇)    できる
     輸送手段→ヘリ(C130)→集合地点(収容)
     → 離脱 → 帰還

  ○上空掩護、対空火砲攻撃
  ○作戦掩護・・・空自(AWACS、KC、F-15)

◆編成組織の一例
◆通信系の一例
◆目標の確認
◆洋上前進基地の一例
◆作戦の概要

結び

日本国民の一致団結
国内外における『秘密保全』

『百年兵を養うは、一日にこれを用いんがため』


※太字は管理人が追加した佐藤氏の講演内容の補足

いざ半島で有事が発生した場合、被害者を救い出せる装備と能力・人材を持つ組織は自衛隊を置いて他にありません。
それを念頭に置いた上で、今のうちから現実的に自衛隊が出来る事・出来ない事を考察するのは、意義のある事ではないかと思います。
具体的な上陸作戦や救出作戦のあれこれ、自衛隊員の士気は高いことなど、貴重なお話をたくさん聞かせていただきました。

このシュミレーションはあくまでもフィクションです。
現状では韓国の協力は正直言って望めませし、拉致被害者を極秘に一定の救出ポイントに集めておく事も現実には難しい話です。
被害者救出が成功するか否かは、目標の確定、つまり被害者がどこにいるかを確定しなければなりませんが、改めて言うまでも無くここが現実的にクリアするのが難しい所です。
被害者には常に監視の目が張り付いているはずですし、そんな彼らの元へ救出作戦の情報を届ける手段がそもそもありません。
被害者救出を成功させられるかどうかは、ここでも情報と言うキーワードが鍵になります。
情報の収集と発信。
今の日本は情報の重要性をきちんと認識して、これを管理し行使する術を持っているのかどうか?
不安の種は尽きません。

しかし、被害者は今も北朝鮮で救いを待っているのです。
何もせず何も考えずただ傍観しているのは被害者を見殺しにするのに等しい。
今のうちから、策を練って準備を整えておく事は必要不可欠なことです。
泥棒を捕まえてから縄をなうのでは、全てが後手後手になり取り返しがつかないのは明白なのですから。

いずれにせよ、日本国内で拉致被害者救出のためのシュミレーションを講演するという動きがある事も、間接的には北に対するプレッシャー・圧力に成り得ると思います。
当Blogで何度もご紹介したように、北朝鮮は日本の世論を気にしています。
「日本は本気で全ての被害者を救う!」と言う気概をあらゆる場面で表明しておく事は、世論の喚起と言う意味でも、北朝鮮に対する圧力としても非常に大事なことと思います。

あらゆる場面を想定しあらゆる手段を備えておくのも、被害者救出を考える上での重要ポイントです。
法的整備然り、軍事的準備然り、国民の「被害者を救い出す」という基本意識の共有然り。
特に軍事面での、『百年兵を養うは、一日にこれを用いんがため』 という意識を持たねば、国家主権も人権も結局守り切れないという現実を日本人は直視する勇気を持つべきと、改めて思わされた講演でありました。

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参考リンク

★軍事評論家=佐藤守のブログ日記
http://d.hatena.ne.jp/satoumamoru/

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2月18日 PM1:00
資料の一部に書き漏らしがあった為、加筆をしました。


posted by ぴろん at 11:00| Comment(4) | TrackBack(3) | 拉致問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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