
東京ドームで開催された「世界キルト展」に展示された、拉致被害者救出を願うフレンドシップキルト。
作品名「横田めぐみさん、生きていてね」

作品上部、Dear, Megumiの刺繍文字

作品下部、with all our heartの刺繍文字
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拉致被害者救出運動に関わって最近思うのは、支援の現場に出る人のメンツが毎度毎度お馴染みであること。
お馴染みの常連さんが繰り広げる街頭や集会などの活動が無駄とは言わないが、このまま毎度お馴染みの現状を繰り返すだけで良いんだろうか?と言う疑問がどうしても頭をよぎる。
そんな素朴な疑問を感じている折、某SNS内のコミュ「ブルーリボン・キルトの会」に参加する機会を得て、微力ながら私も拉致被害者の救出を願うキルト作りのお手伝いをさせて頂きました。
たくさんの仲間の思いが一つのキルト作品となって、東京ドームで開催の「世界キルト展」に展示されることとなり、今日私もドームに馳せ参じて作品を見て参りました。
キルトにはいわゆる横断幕や登り旗のような、明確なメッセージ性があるわけではありません。
でも一つの作品を作り上げるまでにどれだけの手間隙がかかるか?
縫い込まれた一つ一つのピースにどんな願いがこめられているか?は、キルトの好きな観衆には一目で通じるものがあるのです。
一つのフレンドシップ・キルトを作り上げるには、大変な手間がかかるもの。
よほどの強い思いや願いが無ければ、大勢の方が集まって一つの作品を作り上げるなどとても不可能であることを、ドームに集まるキルトファンならご存知の話なのです。
ドームで開催のキルト展にいらっしゃる人の多くは、おそらく拉致関係の集会など出た事のない人がほとんどのはず。
街頭での署名に応じたことのある人も、まずいらっしゃらないと思います。
そういういわゆる「拉致問題の毎度お馴染みさん」の輪の外にいらっしゃるキルトファンの方々に向けて、私たちの作り上げた一枚の作品は静かに、しかし力強く、拉致問題の解決・被害者の帰国を訴えていたと思います。
拉致問題は、硬直し特に目立った動きを見せません。
一体どうすればこの問題を動かせるのか?
どうすればひとりでも多くの方へ向けて、世論の喚起が図れるのか?
被害者の救出に心を痛める人は、日々思案の只中にあるものと思います。
毎度お馴染みの支援者が行う毎度お馴染みの活動だけでは、硬直した世論を動かせないのでは?と言う根本的な疑問を感じている支援者仲間も、私の周りにはいます。
その意味で今度のキルト展に「拉致被害者救出を願う作品」が展示されたことの意義は大きいと私は思っています。
様々なフィールドを持つ人たちが、それぞれの得意分野を活かし、それぞれに出来る支援を行なう。
そうしてそれぞれの持ち場で沸き起こるであろう小さな波紋を、一つ一つつなぎ合わせることで、広がる世論があると私は信じています。
そもそも市井の一般人に過ぎない私たちに出来る事は、限りがあるのです。
でも「限りのあるそれぞれに出来ること」をキルトのピースワークのように地道につなぎ合わせたら、「作品と言う名の世論」が構築できるのではないか?
その意味で、様々な人が行う様々な支援の形を、それぞれがお互いに許容し認め合うような、そんな支援が出来れば良いな、と考えています。
今は世論の関心をつなぎとめ、ひとりでも多くの方に被害者の帰国を祈ってもらわねばならないとき。
そのための波紋の一つとして、東京ドームで展示された私たちの「フレンドシップ・キルト」が何がしかのお役に立てたなら、ありがたいと思っています。