2008年12月28日

加藤博氏 北朝鮮テロ全体主義国家の実情を訴える6団体共同集会第3部より

北朝鮮テロ全体主義国家の実情を訴える6団体共同集会 <アジア人権人同学会の設立準備期成会>
第3部「共催6団体他、北朝鮮の人権改善を目指す人々による大発言会」より
08.12.14 明治大学リバティータワーにて

★加藤博氏(北朝鮮難民救援基金)

加藤でございます。
私たちは、名前が示すとおり北朝鮮から脱出して謂わば難民になっている、そういう人を助けるのが仕事です。で、私たちが、今まで強制収容所から逃げてきた人たちを保護した例はないんですけれどども、そういういくつもある(収容所の)近くに住んでいた人たちが逃げてくる、ということはもちろんありまして、そういう人たちを助けております。

 基本的には衣食住ですね。今日私たちの展示の所にも置いてきましたけれど、こんなひどい靴を履いているというのがありましたと思いますね。で、こんなひどい教科書(かつてのわら半紙にも劣るような紙質でした)を使っているというのがありましたね。

 ですから、北朝鮮の一般の国民のレベルがどんな生活をしているか、というのはあれでよくわかるんですね。私たちも保護してるといいましたけれども、保護するためには、保護する場所がなければいけないんですけれども、これはどこにあるということは言うことはできないんですけどね、国境に5つほどあります。そこに私たちの必要な援助物資、それからそれは、北朝鮮の国内に届けるルート(注1)でもあります。

 ということは、そこを通じて食糧も行くし、それからそこのルートを伝わって人もやってくる(遣って来る)、という関係になっています。ですから、そこのルートを伝わってやってくるのは、人がやってくるということは、その人がもたらす情報もあるということですね。

 私たちは、できる限りその情報については、オープンにしていますけれども、我々のニュース(北朝鮮難民救援基金NEWS)ですとか、インターネットでオープンにはしてますけども、これは絶対に言えないということもたくさんありましてですね、そういう状況であるために、なかなか実態を知らせきれないという、そういう歯痒さもあるんですね。

 しかしこれは我々が、北朝鮮から逃げてくる人たちを助け、北朝鮮の国内の状況をよく知り、北朝鮮の国内の状況をよりマシな方向にするためには必要なことなんですね。ですから、そういう意味では若干食い足りない、物足りないというところはあるかもしれない、と思うんです。

 今最近、一番何を感じるかというとですね、やっぱりは金正日の健康状態だと思うんですね。私たちのメンバーの中にも医者がいますけども、いろいろな医者のところから話しを聞くと、(金正日が倒れた)あの病気は、5ヶ月以内に再発するともう次がないという、そういう病気だそうですね。

 ですから、もうあの体制、金正日の独裁体制というのは、もう終わりに近づいている、と。そういう段階で我々が、今いろいろな運動をやってるんだということを、まず理解する必要があると思うんですね。

 で、何でこれがそんなに重要か、彼一人が死んだら、何でそんな重要かということなんですけども、北朝鮮の独裁体制というのは、唯一指導体系といって、北朝鮮を支えるすべての指令は金正日から出ていると。それ以外の正統性を認めない、そこに関わる他の人間の正統性を認めないというところにあるわけですね。

 彼が、自分で後継をきちんと定めない内にこういう病気になって倒れている、ということはですね、彼の統治能力それ自体に疑問符がついて、統治に緩みが出てくると、そういうことを意味します。

 これは政治的な統制、つまり軍の統制ができなくなる、という意味でもありますね。それに伴って、北朝鮮は今、大変な食糧(不足の)問題を抱えています。それから外貨の不足、それから工場が稼動できない、そのためにですね、普通はどんなに悪くても単純再生産、社会的な富を生産するために単純再生産というのがあるんですけれども、単純再生産ができないんですね。

 あそこは今、縮小再生産なんです。まあそれもできないかもしれないが、そういう状況になってきているという経済上の問題がありますね。政治的危機と経済的危機が同時に進行している、というふうに私は思うんです。

 で、私たちのシェルターに清津(チョンジン)から来た人がいます。その人は、清津にある1級事業所、これは2000人以上の労働者がいる、そういう事業所ですけども、そこから私たちのシェルターに来て、米を10トン応援してほしいというふうに言ってきました。

 それ(1級事業所)は石油精製工場ですね。石油精製工場がなぜ米か? という話しになるんですけども、話しを聞いたら、もう1年も前から石油精製をするための原油が入ってこない。2000人いた労働者は、今200人しかいなくて、施設を運営するためだけに今いる、と。何の生産もできていない。

 そこで工場のトップの経営陣たちが困ってですね、従業員の中で中国と関係のある人間がいたら、何をやってもいいから中国から外貨の種になるものを持ってこい、とそういう指示を受けて何人かが行ったんですが、その人が米10トンを持ってこい、というそういう指示を受けたわけですね。

 米10トン買うためには、何らかのお金が要るんですけども、その人は一銭も持ってこないんですね。一銭も持ってこないで米10トンを手に入れようっていうんですから、まあこれだけもし成功したら大変なことですけどもね。中国でそんなことができるわけがないんですけども、そういうふうになっているわけです。

 ですからそのような状況に我々がいて、今一方で非常に厳しい統制がありますね。で、その統制を犯すとどういうことになるかというと、いろいろな例がありましたけども、それは今政治的危機が進んでいる、経済的困窮が進んでいる、縮小再生産でどんどんダメになっていく、というそういう状況が見ているんですけども、それと同時にそういうひどい人権侵害もまた、同時並行的に進んでいるわけですね。

 ですから、これを何とか止めなければいけないということなんですが、それをどのようにしてやったらできるかということなんですね。

 私は、一つは北朝鮮が経済的に豊かになっていく、そういう道が一つは必要じゃないかというふうに思うんですね。それが一口に言えば市場経済化、という問題ですけども、市場経済化をするということは、インフラを含め、流通、それから交通手段、通信手段、それからそういう情報の交換、そういうものをすべて自由化していかないとそういうものは発展することはできないんですね。

 そういうものが発展するに従って制限付きではあっても、そういう自由が段々生まれてきます。ですから、そういうことは私は必要だと思いますね。

 しかし、北朝鮮はまだ腰が据わっていないんですね。市場経済化で、2002年の4月1日に経済管理改善措置(注2)というのが発表されて、その方向に行きかけたんですけども、また途中で止まってしまうと。

北朝鮮国内の改革解放を支持するグループと、それでは困るというグループとの間でですね。
悶着があって出来ない。
つまりそういう経済方面からの自由な権利を行使するというような、そういう情勢がまとまってしまうと。
そういう状況が今あります。
ですからそれは私たちが、黙ってその経済状況が上手く行って、それでそれに伴ってある程度の自由や権利が認められるようになってくる。
人権が若干改善されるという事を、いつまでも待っているわけには行かないわけですね。

私達は今北朝鮮が政治的にも経済的にも非常に危機にあるといいましたけど、人権もやはり同じように危機にあるわけです。
この人権の危機をどのようにして好転させるか?と言うことなんですけども、それまで今までですね。
国際的な問題としてみた場合、北朝鮮の人権の問題に対してですね。
人権理事会と言うのがありますが、そこで集められた数々の聞き取り調査による人権侵害の実例の、UNHCRのですね。
国連高等弁務官に所属する国連特別報告官が毎年それを収拾しています。
その問題は同時に国連の場でも社会分科委員会、あるいは国連総会で出されて3回も決議をされていますね。
これは、まだ3回ですね。
ですから、こういう国際的な関心を呼ぶようになってまだ3度目です。
これは今までそういう事が無かった故に、国際的な包囲網がだんだん出来上がっている事を意味します。

私はそれで思うんですが、今砂川(昌順)さんが仰ったですね。
国際刑事裁判所に提訴するというのは、我々が出来る、現在出来る有効な戦い方ではないか?と。
人権を守っていく上でですね。
それは国際刑事裁判所に提訴するためには、それに耐え得る必要な証拠を集めなければいけないんですね。
証拠を集めるためには、それぞれ色々な所から聞き取り調査をして、その報告書をまとめて、これが北朝鮮人権侵害のゆるぎない証拠であるという事を提示する。
そういうものが必要です。

私は、今まで私達は、皆さんの中でご覧になったかもしれませんけれども、「Are They Telling Us the Truth」という、「彼らは本当のことを語っているか?」と言う、英語版の脱北者の証言をまとめた本があります。
これは今まで国連人権特別報告官が色々な活動をする上でですね。
非常に役に立った本です。
でも、これは2000年までの本です。
証拠を集めてありましたけど。

でも2002年以降、つまり国際刑事裁判所が出来上がってから、ローマ規定に基づいてやれる。
そういう所に有効に使える文書をやはり作らなきゃいけない。
そのための活動がやっぱり我々が出来る、また私たちの団体はやれるのではないかな?と。
皆さんの協力を得てですね。
これは必ずやりたいというふうに思っています。

このためにはですね。
韓国語が堪能、朝鮮語が堪能と言う方が多く必要です。
それから全体のプログラムを統括する人間も必要です。
ですから、このプログラムをやっていくためにはお金も必要なんですね。
ですから、これはこういう事が必要だと、単に言っているだけでは全然力にならなくて、一つ一つの証言を集めてそれを文書化して、それをネットワークとしてですね。
共有できるような体制になっていかないと、これは役に立たない。

ですから政治犯収容所から出て来た人も、それから強制堕胎をさせられたケースも、あるいは強制堕胎をやった当人も、そういう人たちを含めてですね。
すべて記録していく。
そういう地道な、ある意味では非常に時間がかかって、かったるい。
そういう仕事をやはりやっていく必要がある。
それも何年もかけてやるんではなくてですね。
短い間に集中して分担して集める。
そういう事が必要だと思います。

今まで色々な人権侵害の実例を言われましたので、私はあえてどういう人権侵害があるかという事については触れませんが、そういう具体的に集めた証拠を文書化して、ゆるぎない証拠として国際的に耐え得る、そういう報告書の作成に皆さんと協力してやっていきたいと、そのように思います。

この、そういう形で集めた証拠はやはり、北朝鮮国内だけの問題ではなくてですね。
より普遍的に見たならば、その関係としては必ず中国が存在していてですね。
中国の人権問題とこれはまた、密接に関係してます。
その関係では中国の人権侵害についても、また我々は関心を寄せ収録していくということがあると思います。

ですから北朝鮮の人権問題は、地域的には中国との関係を切り離してはありえないわけで、その他にいろいろな国が、周辺国のですね。
ミャンマーであるとか、ベトナム・タイ・ラオス・カンボジア、そういう所にも多くの脱北難民が行っているわけですから、それぞれの国の人権意識とその対応というものも、地域研究の問題としてですね。
きちんとやらなければいけないと。

その意味では今度の人権人道学会が機能していけばですね。
されに良くなると私は思います。
ですから皆さんの協力を得て国際刑事裁判所に出して耐え得る、北朝鮮の人権状況を回復する、有無を言わせぬそういう証拠を作り上げたいと、いうふうに思います。
以上です。



(注1)真正の人道支援
 難民基金北朝鮮難民救援基金(難民基金)は、脱北者の脱出・保護ルートを遡(さかのぼ)る形で、食料や生活必需品など様々な物資を北朝鮮国内に送っています。

(注2)絵に描いた餅「経済管理改善措置」
「経済管理改善措置」でやふる(Yahooで検索する)と、トップに総連系の在日本朝鮮社会科学協会(社協)の報告が蟠踞しているので紹介します。
朝鮮民主主義人民共和国の経済管理改善措置と経済の現況
www.peace-forum.com/korea/050329kwon-redume.pdf

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※ このエントリーのテキスト前半部分は原良一氏の手によるものです。

※ このテキストの音声ファイルはこちらから http://www.netlive.ne.jp/archive/event/081214.html
※ 北朝鮮難民救援基金 http://www.asahi-net.or.jp/~fe6h-ktu/


posted by ぴろん at 08:45| Comment(1) | TrackBack(0) | 拉致問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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