(私個人は、義務教育ではない高校を無償化する必要はないというのが基本意見。一方でいまどき高校くらい出ていないと就職もままならないもの事実なので、低所得の家庭には奨学金を厚くするなどの手当てをすれば十分ではないでしょうか。高校のすべてを無償化しようとするのは、票欲しさゆえの民主党のばらまき政策としか私には思えない。第一そんな財源どこにあるの?)
一方で、中井洽拉致担当大臣が「経済制裁の対象国の学校に対する無償化には反対」という内容の発言をしたことで、一部の拉致救出運動支援者の間では、朝鮮高校無償化に反対の意思表示をしようとする動きもあるようです。
でも、ちょっと待ってください。
高校教育を無償化すると仮定したとして、その対象に含める高校の提議に朝鮮高校を含めるかどうか?については、【朝鮮高校の教育内容が日本の学習指導要領に沿っているかどうか?】で決定すべきではないんでしょうか?
朝鮮高校無償化問題に拉致問題をからめれば、左系陣営に「拉致問題支援者は在日子弟の人権を考慮しない人たち」という口実を与えるだけであり、彼らの日頃の「在日に対する人権配慮の主張」に一定の理を与えることになりはしないでしょうか?
何よりも、私はこの点を懸念いたします。
事実、国連人種差別撤廃委員会では、
>「教育担当相と別の閣僚(中井洽拉致問題担当相)が、北朝鮮との外交関係を理由に対象外とするよう主張しているようだが、そういう差別的措置が取られるのか」「日本の新聞で児童の教育を受ける権利の侵害と報道されている」などの質問や指摘が出た。
という動きがあるとの報道もあります。
http://mainichi.jp/select/world/europe/news/20100226k0000m030101000c.html
この問題を受け、鳩山総理は
>中井洽拉致問題担当相は北朝鮮による拉致問題を理由に朝鮮学校を対象外とするよう主張しているが、首相は「拉致問題とかかわりのある話ではない」と指摘。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100226-00000040-mai-pol
と発言しています。
日頃軽薄な物言いで、物議を醸すばかりの総理ですが、今度の件に関しては鳩山発言の方が、中井大臣の発言よりも至極まっとうでは?と私は思う。
鳩山総理が、高校無償化問題と拉致問題をからめることの危険性について、どこまで深い理解のもとに発言しているのか?という点は別として・・・(^^ゞ
そもそもが、朝鮮高校無償化問題と拉致問題は全く別件の別次元の話だと思います。
仮に朝鮮高校の無償化に反対したところで、拉致問題が即刻解決するわけでもありませんから。
拉致問題支援者の間で、朝鮮高校無償化に関して、感情的に受け入れがたい気持ちがあるのは理解します。
でも、拉致被害者救出運動が目指すべき道は、あくまでも「拉致被害者の救出」であり、「朝鮮高校の無償化反対」ではないことは肝に銘じておきたいと思う。
拉致解決のためには、国際世論の理解も必要と言いながら、同じ口で国際世論の誤解を招きかねない言動をしたのでは、最終的に被害者救出の利にはならない、と思います。
朝鮮高校無償化に拉致をからめて反対すれば、国連をはじめ周囲でこういう動きや発言が出ることくらい、十分に予想の範囲でしょう。
支援者の側も、このあたり、もう少し冷静に戦略を持つ必要があるのではないかと。
拉致被害者救出運動は、ともすれば救出のためのエネルギーの向かうべき方向が脇道にそれる傾向が間々あります。
この運動に携わる人たちが目指すべきは、あくまでも「拉致被害者の救出」であることを、忘れてはいけないと私は思う。