
沖縄の地に立って思うのは、ここは東シナ海を挟んで目の前が中国大陸なのだな〜〜、ということ。
逆に中国大陸の側に立って沖縄を眺めると、中国が広〜い太平洋に出るには、目の前の沖縄諸島が防波堤のように邪魔をしている、ということ・・・です。
沖縄の人たちが好むと好まざるとに関わらず、ここは今も昔も地政学的に国防の拠点なんだな、と改めて実感します。
それと、エネルギーを石油に頼る日本にとっては、シーレーンでもある沖縄付近を中国に抑えられてしまうことは、日本の喉元に刃物を突き付けられたのに等しいこと・・・とも感じました。
基地移転を巡って論争かまびすしいこの頃ですが、国防の視点を忘れた論争は何かが間違っていると思います。
沖縄の過重な基地負担は配慮をしなくてはならないでしょうが、だからといって「沖縄に基地はいらない!」と極端に丸腰論に走ってしまうのも、どこか違うと思います。
沖縄から基地が消えて丸腰になったら、ここは間違いなく中国の支配下に置かれるのではないでしょうか?
日本が戦争に負けて、沖縄がアメリカの支配下になり、島の良い場所を基地に占領されて沖縄の方々が不便を強いられているのも、歴史の事実でしょうけれども・・・
かつて琉球は中国に対し朝貢外交で沖縄の安泰を図ろうとしたのも歴史の事実・・・だったはず。
沖縄が未来永劫、平和で穏やかに暮らせる土地であるために、本当に必要なものはなんだろう?と考える視座があってもいいように思っています。
沖縄が日本を離れて仮に独立したとして、沖縄の安泰を自力で維持できるでしょうか?
朝鮮半島が、その周囲を大国に囲まれ、各国の政治力学に翻弄された歴史をたどっているのと同じに、沖縄もまた、周辺国の思惑に翻弄されるのは、目に見える未来予想図のようにも感じます。
沖縄はこれまで通り、日本のままでいた方がいいのか?
それとも中国の支配下に入ったほうが幸せなのか?
沖縄の方には少し残酷な言い方かもしれませんけれど、国防の視座から考えたとき、理想論や願望だけでは済まない厳しい選択を迫られるのが、沖縄基地問題を考える上でのひとつのファクターなのだと感じます。
旅の最終日、本部湾での慰霊を終えた後、空港にそのまま戻るには多少の時間があったので、お願いして沖縄本島の東側に出てもらい、辺野古地区が見渡せる場所に連れて行ってもらいました。
現地に行って感じたことは、沖縄は観光の島と言いながら、島の東側には観光客があつまるような観光スポットがほとんどない、ということ。
辺野古地区の方々が地域の再建を願い、苦渋の選択で基地受け入れを決断されたことを、改めて実感してきました。
沖縄駐留アメリカ兵が、問題を起こしてはニュースに出ることで有名な金武町のキャンプシュワブも、本島の東側。
ここは採用間もない新兵が派遣されてくるところなので、どうしてもあれこれ問題を起こしやすいのです、と運転手さんからの説明も頂きました。
嘉手納基地のある嘉手納町は町の面積の9割ほどを基地に占領されていること。
基地のある町に入ると、Yナンバーの車(基地のアメリカ兵の所有する車はYナンバーをつけています)がやたらと目立つこと。
基地周辺のアメリカ兵相手の商売は、円高ドル安の影響がすぐに出て、景気の変動が左右されること。(ベトナム戦争のころは基地周辺の商売は、ずいぶん繁盛したそうです)
町を走るアメリカ兵の着る軍服の色は砂漠仕様の茶色であること。(これは沖縄からもイラクに派兵されていることを意味します)
ベトナム戦のころは、アメリカ軍の軍服の色はジャングル対応の緑色だったそう。
沖縄中北部の道路を走っていると、道路わきに「イノシシ飛び出し注意」のほかに、「流れ弾注意」の看板がある!(沖縄にサルはいないが本土より小型のイノシシは山にいるそうです)
沖縄では4月に旧暦で清明(せいめい)と呼ばれる本土のお彼岸のような季節行事があり、一族が集まってお墓参りをするそうです。
今年の清明では18日と25日に帰省ラッシュがあるそうで、道路上の交通情報の電光掲示板にも、「18日清明のため渋滞予想」なんて表示されていました。
沖縄の墓は、本土の墓と違って一族の方が一つの大きな墓に入ります。
中北部の地元の生活道路をいくと、道路わきに突然大きなお墓が目の前に現れてびっくりします。
最近新しく作られた墓もありますが、道のすぐ脇の崖に穴を掘り、普段はその入り口を石を積んで塞いであるような、昔ながらのお墓もたくさん点在していました。
で、沖縄戦終了後、どさくさ紛れでアメリカが勝手に基地を作ってしまったため、人によっては基地の中に一族の墓がある、という方も結構いるんだそうです。
その場合は役所を通じて何月何日に墓参りのために基地の中に入れて欲しい、と申請を出して許可をもらい、清明の墓参りをするのだそうですね。
沖縄では生活の隣にすぐ基地がある。
その事実を改めて実感した、沖縄の旅でもありました。
※写真は、沖縄半島東海岸の勝連半島(石油備蓄基地がある場所)
本部からの帰り道、高速道路の金武町サービスエリア展望台より撮影したもの