2008年12月12日

飯塚繁雄さん 大阪ブルーリボンの会結成5周年記念講演会寄稿誌より

「人権とは何ですか」
北朝鮮に拉致された被害者家族連絡会 代表 飯塚繁雄

私達はこの「人権」という言葉の意味と認識について、はっきりした定義が持てない状況下におかれています。
私などの素人の考えでは、ごく平凡な家庭にあって「安全な環境に暮らせる権利」と理解をしています、多くの国民はこのことをあまり意識せず生活を営んでいると思います、その権利は当たり前でごく自然な形で浸透しているからでしょう、いまやこの人権が取りざたされているのは、国の内外ともあらゆる事件、犯罪がはびこり、自らの安全を自らが守るしかない状況下になっているかもしれません。
しかしこれは実際には難しいことでしょう、人権が強制的に侵される場合は、やはり国として、そうならない対策を強力に打ち出し、またそうなった場合は現状回復を早期にはかるべきです。
ここで難しい問題は、国家犯罪による人権の剥奪です、解決には国と国の交渉、闘いになるからです、まさに北朝鮮による日本人拉致が最たるものです、この北朝鮮による拉致は、全く罪もない一般の人々を強引に誘拐してしまうという、まさに人権蹂躙そのものです。
この拉致問題は30数年前から実存し、すでに数百人の被害者がいるといわれています、私たちその被害者家族は1997年3月25日に愛しい家族の奪還のため被害者家族連絡会を立ち上げ、救出活動を始めました。
活動を始めてすでに11年余になってしまいました、この間に5人の被害者が帰ってこられましたが、残る被害者の帰国が全く果たせず、今に至りました。
どうしてこんなに長い間かかっても解決出来ないのでしょう、日本国家として自国の国民の危機に、取り返す意欲とその対応がなかったからでしょう。

ここで北朝鮮による拉致の実態と、これまでの被害者救出の活動の経過について述べておきます、それぞれの拉致被害者家族の状況はさまざまですが、私の妹「田口八重子」は1978年6月に、1歳と2歳の幼子を残し東京の池袋から、北の工作員にだまされ連れ出され、そのまま拉致されてしまったのです、当時妹は22歳で二人の子を育てるために、一生懸命頑張っていたのです、罪もない母子家庭を無残にも引き裂いてしまったのです。
妹は当時22歳、今では52歳になっているはずです、人生の一番大切な期間を北朝鮮に略奪され、過酷な生活を強いられています、そして残された二人の子供たちは、実の母親の愛情にふれられず、私たち兄姉の養子として育てられることになってしまったのです。
幸いにもその子らは養子であること、母親が北朝鮮に拉致されていることも知らず、立派な成人に育ちました。長男の耕一郎には成人してから、これらの事をすべてうちあけましたが、その二つもの大きな事実を知らされ、大変なショックと、どうしょうもない苦悩がのしかかりました、彼はもう31歳にもなり分別がつけられる歳になっておりますが、それでも未だに母親の実感がつかめず、心からお母さんと呼べない心境です。
妹が拉致されてからもう30年、この間帰国を待ちわびていた八重子の母親、そして八重子の長女を育てた義父、さらにいつも気遣っていた私の義母も、八重子に会えることもなくこの世を去りました。
おそらく他の被害者家族も、いろいろな悲劇がこの長い間に現実として起こっていると思います。
北朝鮮はこういった非人間的な犯罪行為を何の罪悪感もなく、当たり前のようにおこなっています、私たちはこの人道を無視し冷酷な犯罪行為に対し、強い憤りを表しています。
これら日本人拉致の実態は、相当前から日本政府、警察も認識していたはずです、その当時の状況から被害者を無視した表向きの外交が重視され、まさに国民の暮らしと安全を守る、基本的な取り組みが軽視されていたと思われます、おおくの被害者とその家族にとって、ほんとうに残念極まりないことです。
この拉致問題は私達被害者家族と、これをサポートする団体の救出活動により、6〜7年前からようやく国民の理解と支援も高まり、国の最重要課題と位置づけられるようになってきました。しかしながら今日現在具体的な進展が見られず、先が不透明な状況が続いております。
この問題をとりまく状況はめまぐるしく変化をしております、あらゆる情報から一喜一憂する場面もありますが、不利な状況が目立ちます、それは北朝鮮にとって有利な環境下になりうる状況です。米国が北のテロ支援国家指定を解除する、そしてブッシュ政権が終わりになる、対北融和政権になる、日本でも総理大臣がちょくちょく変わる、また総選挙にでもなれば政権が代わるかもしれない、ある期間拉致問題が隅に追いやられることが懸念される。
救いは安倍前総理が打ち出した対北政策が今も踏襲され、麻生総理もそれに則った政策を出していることです、不誠実な北の対応に対し追加制裁をの声も出始めました。
私はこの問題の解決は日本政府がしっかりしたイニシアチブをとり、北朝鮮に当たることが必須手段と考えます、他国の支援はあれば少しは有利でしょうが主力は日本政府です。
その日本政府がまた腰砕けにならないよう、各種対応については一体的に協力していく場面とともに、或るときには強い要請、お願いをしていきます。
私達被害者家族はもとより、全国の国民の皆様、救う会と他のボランテア団体そして中央、地方の拉致議連の先生方、さらには各自治体の皆様と共に早期解決に向け更なる活動を展開してゆきたいと思います。
あまりにも永い間人権を略奪されている多くの被害者が、人権回復を待ち望んでいます。そして、それを待っている私たち家族はタラップの下で、愛しい家族が抱き合う姿が脳裏に焼き付いています。


posted by ぴろん at 20:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 拉致問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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