2006年01月08日

正論を述べるだけでは人は動かず

まずはこちらのサイトのエントリーをお読みいただきたく思います。

★善ポコのタコ部屋様
「拉致問題に関する戦略的言論の必要性について以前に思ったこと」
http://www.zencha.com/weblog/20060107203136.html

・・・一部引用・・・

「人殺しは良くない」と「正論」を述べるだけでは、殺人は無くならない。「タバコのポイ捨ては良くない」と「正論」を述べるだけでは、ポイ捨ては無くならない。「電車の中での通話は良くない」と「正論」を述べるだけでは、通話は無くならない。

ではどうするかというと、殺人を罰する法律を制定したり、歩きタバコ禁止の条例を制定したり、携帯電話によるペースメーカーへの影響を説明して乗客の自制を促したり、公共広告機構に CM を流してもらったりして、あの手この手で世間の意識を変えていく努力をする訳です。「あの手この手」を論じていかなければいけないのではないか、と言う事なのです。

残念ながら、現在の小泉支持層の大半については、そういった「正論」がいまいち通用していない、あるいは、そういった「正論」と構造改革路線等の政策とを天秤に掛けた結果、後者を選択している、そういう事なんだと思います。それは、そういった支持層を基盤に持った小泉政権の今までの動きを見ていればおおよそ見当が付きます。「正論」だけを述べて通用するのであれば、今頃、もっともっと沢山の拉致被害者を奪還出来ている事でしょう。だが、現実にはそうではない。

であれば、例えば、現代の日本人においていまいちピンと来ない「主権」という概念ではなく、「人権」というキーワードで世間に訴え掛けるとか、支援者はスキンヘッドで右翼団体っぽい威圧感を与えない様、さわやかな身だしなみで世間がとっつきやすい雰囲気を心掛けるとか、安易に「インチキ霊媒師」等と相手を刺激して対立の構図を作らない様配慮するとか、そういった「訴え掛ける為の方法論」を駆使して攻めていくべきではないか、そういう事なのです。

・・・引用終了、全文はリンク先で・・・

私もこういうふうに誰にも分かりやすくて説得力のある文章を書きたいと思ってるんですが、小学生程度の文章しか書けない私の作文スキルでは中々上手く行きません。
善様、さすが!私も大いに見習わなければ・・・(笑)
さて、善様のご指摘、私も同意いたします。
ここに私なりの意見を加えるとしたら、タイトルにも書いたように「正論を述べるだけでは人は動かず」と言うことでしょうか?

拉致問題に関しての基本的な議論は、支援者の間ではすでに出尽くした感があると思う。
制裁発動と言う強い態度に出なければ、問題の山は動かない。
支援者同士の議論では、結論はこの一点にほぼ集約されていると思うんですね。
問題はそれをいかに実効性のあるものにするか?被害者救出と言う結果の取れる策に仕立て上げるか?
世論に理解を求め支持を取り付けて支援の輪を更に広げるにはどうすれば良いのか?
そのためにはどのような言葉を使い、どのような手段を使って世論にあるいは政府に訴えるのがベストなのか?
今、支援活動は議論の段階から実行の段階へと移行していると思うのです。

私は昨年1年間だけで大小20本の拉致問題関係の集会に参加しました。
が、そこでお見かけする人は毎度お馴染みの常連さんである事がほとんどなのです。
こういう現状を見るにつけ、拉致問題の関心や理解は本当に外の世界へ広がっているのだろうか?と、集会に参加するたびに疑問と不安を感じてなりません。
常連さんばかりが集まる集会がどれだけ盛り上がってみても、それで本当に救出運動は実のある結果を残せるんでしょうか?
世論の広がり、支持や理解につながっているんでしょうか?

暮れの日比谷での国民大集会でも、日比谷公会堂を満席にする事は出来ませんでした。
拉致問題に関心を寄せる潜在層は決して減ってはいないとは思いますが、では私たち支援者の主張がきちんと世論に理解されているのかどうか?
あるいは支援者の有り様が、どこか世論の反発や不信感を買ってはいないのか?
今一度振り返る事も必要だと思うのです。

制裁の発動にしても、何とかの一つ覚えのようにただひたすら制裁発動!制裁発動!とスローガンをかっ飛ばす段階はすでに終わっていると思う。
制裁を発動さえすれば拉致問題は夢のようにカタがつくはずもないのです。
制裁は敵を交渉のテーブルに引きずり出すための手段でしかありません。
では制裁発動後、敵を引きずり出した後で、日本側は一体どのような交渉をするというのでしょうか?
日本政府は北朝鮮と交渉するための、拉致被害者の情報をどこまで知り得ているのでしょうか?
スパイ防止法も作らず、諜報機関も作らず、拉致担当大臣も置かず、特定失踪者の調査さえしない政府が、どのようにして全ての被害者を取り戻すための交渉をすると言うのか・・・?
私は制裁発動云々よりもむしろこちらの方に一抹の不安を覚えてならないのですが。

いくら制裁を発動して北朝鮮を交渉の場に引っ張り出したとしても、そこで再び日本側が、「相手の善意に頼って被害者を帰してもらう」程度の事しか出来ないのだとしたら、制裁発動にどこまでの実効性があるのか?大いに疑問を持たねばならぬと思うのですけれど。
大事な事はいかに制裁発動を被害者救出という結果に結び付けるか?と言うことであって、そこでは例えば蓮池透さんの言うように、戦略のある制裁を今こそ考えなければならないはず、と思う。
その意味で私は、声高に制裁発動を叫ぶのも良いけれど、同時に発動後にどんな交渉をするのか?というその先の議論も深める必要があると思っています。
中途半端な幕引きを許さないためには、何よりもまず政府自身に「一人残らず被害者を帰せ」と、はっきり意思表示して貰わねばならないとも私は思っています。
「一人残らず被害者を帰せ」と政府が声高に言えない国内側の原因、つまり政治の暗部にもメスを入れねばならぬのでは?とも思います。

要するに「制裁発動と言う手段」と「他の様々な手段」は、被害者救出策を実効性のあるより良い戦略に高める為の車の両輪なのだと思うわけです。
制裁発動を仕掛けるなら少しでも実効性のある物、被害者救出に結びつく物にしなければ意味がない。
スローガンばかりをかっ飛ばしてもそれは単なる自己満足であり、思考停止であり、拉致問題解決の全体像の内のホンの一部しか見ていない視野狭窄である、という事になりはしないんでしょうか?

それなのに、一部の支援者の間では「正論」大事と思う気持ちが先走るあまり、その先の議論をしよう、あるいは支援の輪を広げようと提案する仲間の事を理解しようとしない人がいます。
政府が体たらくでどうしようもないのなら、尚の事世論を味方にして政府の暴走を食い止めねばなりません。
そのためには、難しい事など何も分からない一般大衆に対して分かりやすくとっつきやすい言葉で態度で、親切丁寧に語りかける必要があると思うのです。
正論だけを声高に振りかざしても、理解できない人もいる。
付いて来ない人もいる。
そういう相手にこちらの側が苛立って、“愚民”呼ばわりしてみても彼らの腰は引けていくばかり。
“愚民”にも“愚民”なりのプライドやら感情やらがある事を、こちらも理解の内にいれておかねばならぬと思う。
苛立ちの余り暴言を吐いて反発を買って、あげくいらぬ敵ばかりを増やしてもこの救出運動のためにはなりませんので。

運動を進める為には直線的に突っ走り、運動を勢いづかせる存在は確かに重要。
その意味では、「先鋭化しすぎる!」と周囲から苦情が出るくらいエネルギッシュな人も支援活動には必要なのだと思います。
しかしひたすら突進するばかりでは、途中で息切れして脱落したりハナから諦めて追いかけようとしない人も出るんですよね。
突進型の人からすれば、こういう半端な人たちは、救出運動の足を引っ張るだけの迷惑な存在に見えるらしい。

しかし、前述したように政府の暴走を食い止めるために世論の広範な支持が必要ならば、突進役に見向きもしない人たちにも言葉を尽くして説明する役目を引き受ける支援者も必要だと思います。
私はどちらかと言えば後者の説明役を担当して、「中途半端な拉致問題の幕引きは許さない!」という世論をゆるぎない物へと固めたいのです。
「全員奪還」という世論の共通理解ががっちりとしていれば、例え北朝鮮がどのような情報戦を仕掛けてこようとも、日本の世論は揺らぎません。
いくら体たらくの政府でもがっちりと固まった世論を無視して勝手は出来ないし、そういう世論の下支えがあればこそ、突進役の人も尚一層力強く運動をリード出来るのではないでしょうか。
それに、世論が揺ぎ無く「全員奪還」を主張し続ければ続けるほど、その分だけ敵・金正日を追い詰める事にもつながるはずだと思うのですが。

正論を述べるのは大いに結構。
けれども、それだけで一般大衆が大挙して動いてくれると思ったらそれは間違いだと思います。
直線的に走る一部の人たちだけで、少数のコアな人たちだけでこの問題カタが付くならば、とっくの昔に解決の糸口が付いているはずですから。
しかし現実はそうなっていない。
救出運動は突進型タイプの支援者のみで解決するには限界がある事を、そろそろ謙虚に認識せねばならないのではないでしょうか?

となればここはこちらの側も少し考え方を変えて、支援の輪の裾野を広げ、運動の支え手を一人でも多く増やす事も考えねばならないと思います。
視野を広げて「被害者の帰国を願う人たち全て」を仲間に取り込む必要があると思うのです。
拉致問題に関する潜在的な関心度は決して薄れていないはず。
問題はその潜在層に、いかに上手く火をつけるか?
いかに味方に引き入れて共に行動してもらうか?なのです。
いたずらに罵倒したり高い所から生温く見下してみても、彼らが付いてくるはずもない事を突進型の支援者も謙虚に知るべきではないでしょうか?

いくら正論ばかりを声高に叫んでも人は動きません。
先人曰く、「押しても駄目なら引いてみろ」という言葉もあるのですから。
私たち支援者サイドも、今一度本当に一般大衆の心に響く、効果的な支援の有り方を考える必要があると思います。
自戒を込めて・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
参考リンク
★Silly Talk様 「戦略のない言論が世論になるわけないじゃん」
http://silly-talk.cocolog-nifty.com/silly_talk/2005/12/post_0480.html

★Pipe Dream様 「示威行動の方法論」
http://cyclone.blog.ocn.ne.jp/pipe_dream/2005/11/post_b659.html


posted by ぴろん at 19:17| Comment(0) | TrackBack(3) | 拉致問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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