2006年02月28日

「自衛隊による拉致被害者救出のシュミレーション 講師:佐藤守氏」レポート その2

・・・資料紹介・・・

◆作戦成立のキーポイント
 ・韓国の協力は得られるか?
 ・関係官庁の共同作戦    
 ・米軍との共同作戦は?
 ・秘密保全は?

◆望ましい形態
米軍との共同作戦
   ※情報・・・かなりの精度で得られる
   ※支援・・・輸送、基地提供(韓国内)物資
   ※実行・・・部隊掩護

◆望ましい状況
  半島有事を想定・・・米軍が北を攻撃する際、機に乗じて救出作戦を実行する

◆作戦実行上のポイント
  ○被害者への通報、誘導、集合
   協力者の獲得は?

  ○救出部隊の進出法
   陸上基地(在韓米軍基地?) 
   海上基地(海上艦艇)   
     輸送手段→ヘリ(C130)→集合地点(収容)
     → 離脱 → 帰還

  ○上空掩護、対空火砲攻撃
  ○作戦掩護・・・空自(AWACS、KC、F-15)

・・・資料紹介終了・・・

作戦成立のキーポイントについて、これはまだ咀嚼をしておりませんと前置きをした後、まず韓国の協力は得られるのか?と言う点について触れました。
これまで何度も言った様に、韓国の国内状況を考えればこれは極めて難しい。

二つ目の関係官庁との共同作戦は出来るのか?と言う点について。
防衛施設庁は入れても入れなくても今てんやわんやなので、どうしようもない。
外務省は、宮本大使(佐藤氏の後輩だそうです)が今度中国へ行くが、彼がどうするのか?
海上保安庁は一生懸命やろうとしても12300人しか職員がいない、手一杯である。
警察は今度5000人増えて喜ばしいが、公安とか警備とかは口が固いが、あまり作戦上人が増えてしまうと情報が抜けてしまう。

何かをやろうとしたときに、結局情報が漏れないように管理する言うのが非常に難しい。
結局最後は個人行動にならざるを得ない。
部隊も一個小隊の内は辛うじていいけれど、一個大隊になるとまず翌日中には情報は漏れる物である。
せいぜいやる事は分かっていても、どのルートでどのくらいの規模でどのくらいの事をやるかを押さえておかないと出来ない。

米軍との共同作戦について。
彼ら米軍はプロである。
自分達が情報漏えいをやると世界中の恥さらしになるので、機密管理は非常に厳しい。
機密管理が厳しいので、我々の所には情報はまず伝わって来ない。
よほどの事がない限り情報は来ない。
それをなだめすかしてヒントを貰って、こちらにセンスと気構えがあれば穴のある所も我々の持つ情報とつながっていく。
米軍との共同作戦は今は更に緊密になっていて、若い隊員には英語が堪能な者もたくさんいて常時接点を持っていてる。
むしろ機密保持は国内の方に不安がある。

望ましい形態については、日米共同作戦が浮かび上がります。
これも大変難しいのだが問題点は、米軍と調整するという事になるとすぐ在韓米軍が主力として動く事になるが、それを知った韓国側がどうするか?
知られないようにするが、仮にこの作戦が発動されて終わって(韓国側が)知っても一切問題は無い。
こういった問題をどう解消していくか?
アメリカは知らんふりをするだろうが、日本はそういうわけには行かないだろう。

中国・ロシアの両国は北朝鮮がどうなろうとどうでも良くて、ただ核を持たせたくないだけである。
共産主義同盟なので、アメリカが韓国を嫌々カバーしているのと同じで、彼らも北朝鮮をカバーしている。
中国は北朝鮮国内の鉄鉱石の鉱山を殆ど採ってしまい、更に清津港を海軍の軍用基地化している。
そのうち対馬海峡あたりにも中国側の鉄鋼船などがどんどん出てくるだろう。
この事実を知らないのは日本人だけである。

余談として。
米軍がかつてフィリピンから撤退したのは、日本では一般的にピナツボ火山が噴火したからと言うように思われているがそうではない。
フィリピンでは一時アメリカ軍撤退の声が凄い時期がありました。
その声に米軍側も激怒してしまい、それではフィリピンから引き上げろと言う事で、フィリピンのクラーク基地の代わりにシンガポールの空港を使える手はずが整ったのを幸いに、米軍を嫌うフィリピンの事など誰が守ってやるかと言う事と、タイミングよく火山の噴火もあったのでさっさと撤退してしまった。
その間、中国側はそれまでは漁船の基地だといって使用していた施設をあっという間に海軍の設備に変えている。
中国の態度が怖くなったフィリピン人は再度米軍の配備を求めているとの事だが、あのような愚かな政治をした者は万死に値する・・・との強いお言葉がありました。
軍隊に対する日本人の意識を考える上で大事な視点ではないかと思います。

本題に戻ります。
困るのは北朝鮮と国境を接している韓国と中国とロシアで、難民が大挙して出てくるのを恐れている。
特に韓国は北朝鮮の崩壊によって、自国の経済が持たなくなる事を恐れている。
中国も北朝鮮からの難民流出を恐れており、ロシアもふくめて結局の所、何かあればこの3カ国は日本から金を取ろうと画策をしている。

望ましい状況について。
アメリカは北朝鮮の核兵器保持を絶対に許さない。
北朝鮮は核兵器10発分のプルトニウムなどを持っているだろうが、それをミサイルに搭載する技術を持っているかどうかは疑問である。
北朝鮮は核を持ったと言っているにも拘らずアメリカが北朝鮮の事を中国にお任せしているのは、アメリカは今イランの核を問題にしており、近いうちに戦争が始まるでしょうと。
イラクの平定化とイランの核を絶対にやらせない事、これがアメリカの一番の懸案事項。

ただ、アメリカが北朝鮮の核問題に関して、これを排除するという動きを見せた時に日本はどうするか?と言えば参戦するべきでしょう。
日本の大義名分は拉致被害者を救出する事。
これをどのように国際的に理解を求めるか?
核兵器を持たせない事は世界の共通理解になっているし、拉致問題も同じように理解されつつある。
拉致被害者を出している国とアメリカが一緒になってやろうという事になれば、これは国際的な共同作戦になる。
当然北は拒否をするだろうが、そのときに日本の外務省がうまく国際世論に理解を求める事が出来るかどうか。
これが望ましい事態で、大手を振って自衛隊が被害者救出のためにやれるのではないか。

作戦実行上のポイントについては、ともかく救出すべき目標の拉致被害者への通報が難しいと言う事。
日本のマスコミなども相当数北朝鮮には入っているが、彼らが救出対象の被害者の元へ情報を伝えられるのかどうか?
万が一情報が向こうに漏れて、拉致被害者の生命に危害が及ぶような事態になっては困る。
うまく誘導して集合させねばならないが、被害者救出のための協力者の確保は非常に難しい。

駄目だと思いつつ陸上基地には拘りたい。
陸上基地がないと非常に動き辛い。
海上基地は海上艦艇でやらざるを得ない。
作戦実行に当たって、隠密行動は出来るのか?
韓国の盧武鉉大統領はそれをどうするのか?
強攻策としてC130で強硬着陸をして被害者を乗せてそのまま帰ってくる、と言うのも可能かもしれない。
陸上自衛隊の隊員がいたら、現役の人は中々言えないでしょうが、これをどう判断するのか聞いてみたいと思う。
航空自衛隊は上空から敵方の追跡や反撃を潰して安全を確保する、これは出来ない事はありません。

・・・レポートその3に続く・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
参考過去エントリー

★百年兵を養うは、一日にこれを用いんがため
http://piron326.seesaa.net/article/13749543.html
★「自衛隊による拉致被害者救出のシュミレーション 講師:佐藤守氏」レポート その1
http://piron326.seesaa.net/article/13882880.html


この記事へのコメント
興味深いレポート、ご苦労様です。そして、ありがとうございます。

> 作戦実行上のポイントについては、ともかく救出すべき目標の拉致被害者への通報が難しいと言う事。

これはほとんど絶望的に困難でしょうね。また、現実問題として、(たいへん悲しいことですが)今生存している拉致被害者は北朝鮮市民として(生き延びて)生活しているわけでしょう。通報ができたとしても、日本からの呼びかけに素直に応じて、集合場所に来るとは思えません。拉致被害者本人だけならともかく、子どもなどもいるでしょうし。

> 日本のマスコミなども相当数北朝鮮には入っているが、彼らが救出対象の被害者の元へ情報を伝えられるのかどうか?

いや、訪朝した日本人マスコミの数は少ないし、行った場所だってきわめて限られています。北朝鮮にはきちんとした地図もないし、北朝鮮内のことはわからないことばかりです。


ただ、否定的なことを述べましたが、こういったシミュレーションは、拉致問題や北朝鮮に関心を持つためにも有意義なことだと思います。続きを期待しています。
Posted by Safety at 2006年02月28日 21:37
こちらのコメントをROMしたとたん胸を痛めてしまいました。絶望とか呼びかけても来ないでしょう。なことはまだ早いと思います。
みなさん帰りたがっているはずです。
日本は故国なんですから。日本が絶望と判断するのだけは良くないと思います。それも他人が、
Posted by Why at 2006年03月05日 11:41
Whyさん

拉致問題を解決するためには、感情論に流されない、冷静な分析や議論が必要ではないでしょうか。
日本のような社会で生まれ育った人が北朝鮮のような世界で生き延びるというのはきわめて過酷なことだと思うのです。それは「北朝鮮人民」に成り切らなくてはできないことだと思うのです。
だとしたら、今生存している拉致被害者が私たちと同じ感覚を持っているとは思わない方がいい。悲しいことですが、それが現実ではないでしょうか。

また、もし被害者の皆さんが「昔のまま」だとしても、現地で生まれた子どもたちは間違いなく「北朝鮮人民」でしょう。その人たちをどうやって連れ帰るのか?

私が言いたいのは、救出作戦を検討するとき、私たちの思い込みで考えるのではなく、そういった現実を直視、分析するべきだ、ということです。
Posted by Safety at 2006年03月06日 16:03
ハーイ、お宅様の考えにはついていけません。
ああいえば、こういわれてもわかりません。
Posted by Why at 2006年03月06日 21:00
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