2006年05月09日

06.4.21 荒木和博氏その1 戦略情報研究所講演会(1)

2006年4月21日(金)
 「自衛隊による拉致被害者救出のシミュレーション
ーー議会・世論等周辺状況の整備を中心にーー」

※プロジェクターを使い、パワーポイントで作成した資料を表示しながら、講演が行われました。
講師:荒木和博氏
   戦略情報研究所所長
   特定失踪者問題調査会代表
   拓殖大学の教授
   予備自衛官

『荒木和博氏の講演 その1』

Img_2724.jpg



ご紹介頂きました荒木でございます。
今日はみなさんお忙しいところ、時間がだいぶ遅いところからのスタートですが、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
今日は、私自身、今紹介にもありました、私自身予備自衛官でございまして、この連続のシリーズは、拉致被害者の救出のために、自衛隊をということが中心的なテーマでやってまいりましたので、本来であれば制服を着てお話をすれば臨場感があるんですけれども、ここでさすがに制服を着てしまうとですね、これからの話の内容から言って、どう考えても、問題があると言うことでですね、制服まがいで、迷彩ではありますが、これは駐屯地で買ったものであるんですけれども、別に制服ではないというもので、ちょっとかっこだけつけて話をさせていただきます。

(プロジェクターに資料を写して)
これから、画面を見ながらお話をしていきたいと思いますが。

私自身が、あちらこちらでですね、拉致被害者の救出のために自衛隊を使わなければならないと言うことを、言っておりますので、今回は、そのことを少し具体的にどうするのかと言う視点で、−−すでに佐藤元空将、惠谷さんにお話を、かなり技術的なところまでしていただきまして−−今回もちろん、具体的な作戦とかするときはもっと詰めて行かなくてはならないんですが、私は、逆に、ちょっと広げた形で、なんでこういう事をしなければならないのかと言うことの話を中心にしていきたいと思います。

尚、忘れないうちに申し上げておきますが、次回の講演会は、5月の12日(金)に、たぶんこちら(UIゼンゼン会館)こをお借りして、ジャーナリストの青木直人さんに(今胡錦涛が訪米していますが)、中米関係等からみてですね、(青木さんは【北朝鮮処分】、【拉致処分】などの本を書いていますが)要は、中米関係などを見据えて、どうやって北朝鮮を潰してしまうかという話をしていただく予定になっております。是非また次回も宜しくお願いします。
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◆拉致被害者救出シミュレーション第4弾 
日時:5月12日(金)18:00開場 18:30開演
会場:ゼンセン会館2F大会議室
タイトル
「北朝鮮処分にどう備えるのか---全拉致被害者奪還のために--」

北朝鮮に介入を強める中国、
胡錦涛訪米後、朝鮮半島抜きでさらに加速する「北朝鮮処分」、
拉致被害者救出のため日本は対中及び対・中米関係でどう行動 すべきか

講演:青木直人(ジャーナリスト)
北朝鮮処分、拉致処分
戦略情報研究所

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今日のテーマとなるのは、我々の見方でですね、我々の平和とか安全とか自由とか人権とかはですね、こういうものは、放っておいて向こうからやってくるものではないと、我々自身が、そのことについて、しっかりものを見てこなかったのではないか?そうじゃなくて、こういうものはすべて戦って勝ち取って守るものであると、これは今度の全ての基本でございます。

まず古川了子さんの裁判で問題になっている認定と言うことについてお話していきます。
政府認定の拉致事件、ここに書いてある(プロジェクターを指して)16人なんすが、これは一体どうやって明らかになってきたのか?

Img_2727.jpg

まず昭和50年9月の久米裕さんの事件ですが、この事件は協力者・・・という朝鮮人の協力者を逮捕して事件が明らかになったんですが、不起訴になった。結局、これは警察はやりたかったんですが、検察は言うことを聞かなかったと聞いております。それで、事態は極秘にしてしまった。警察庁長官省を石川県警はもらっているんですが、そのこと自体全くの秘密の状態である。

横田めぐみさんの事件はご存知のように、現代コリアの平成8年10月号の石高健二さんの論文によって明らかになりました。

田口八重子さんの事件は工作員金賢姫が、大韓航空機の爆破事件のあとで捕まりまして、李恩恵という名前で呼ばれていた日本人の女性から日本語とか日本の風習を教わったと言ったので、それを調べて、わかったわけですね。もし、金賢姫がそこで自殺を遂げているか、あるいは、捕まらないで北朝鮮に戻っていたら田口八重子さんの拉致は結局わからなかった。

田中実さんはですね、月刊「文芸春秋」平成11年(97年)1月号に、張龍雲(ちょう りゅううん)さんという方(亡くなられましたが)この人が在日朝鮮人、この方が、手記を書いて、独白の手記ですが、これは田中実さんが務めていた神戸のラーメン屋、「来大」の店主(曹廷楽と韓竜大)等と一緒に、北朝鮮の特殊工作員のグループ、洛東江というグループの一員であった人ですが、その人が告白の手記を書いたことによって、わかった。

それから、地村さん夫妻、蓮池さん夫妻、市川さん夫妻、この3件については、産経新聞の昭和55年(1980年)1月、安陪雅美記者のスクープによって明らかになった。高岡の未遂事件も同様でございます。

こないだ、富山の救う会の会長代行から聞いたんですが、その方が、富山の県警の警備部長と話をしている時にこの話になって、県警の警備部長は、「実は、この高岡の未遂事件は、北朝鮮による拉致未遂だということを知ったのは、大韓航空機の爆破事件の後だ」という風に言っていたそうでございます。これは真っ赤なうそです。この高岡の未遂事件によって、北朝鮮の拉致だと言うことがわかったのであって、それが87年の大韓航空機爆破事件まで解らなかったなどと言うのは、絶対にあるはずがございません。
間違えたとしたら、そんな人間が警備部長をやる資格はありませんし、そうでなくてですね、嘘をついているんだったら、これは、怖いことなんですが、そういうことが、実際には発言としてあった。

それから、ヨーロッパ拉致、石岡さん、松木さん、有本さんですが、この3人は石岡亨さんが東ヨーロッパの人に託した手紙で、これが東ヨーロッパから投函されて、石岡さんの札幌の自宅につく。そしてその中に、松木さん、有本さんと一緒に暮らしていると書いてあったんで解ったんですね。もしこういう手紙が届いていなければ、この三人はただヨーロッパで失踪した青年と言うことになってしまう。

原忠晃さんは工作員である辛光洙が成り代わって、85年に韓国に入った時に捕まって、そして白状した。

曾我ひとみさん、ミヨシさんに至っては、北朝鮮側が先に出してきた。
誘拐犯の方がですね「我々が誘拐しまたよ」と言ったもんで、日本政府は「そうか、それはそう、拉致」と言って認定をしたということでございます。

つまりこうやってみていると政府機関が自ら拉致を明らかにしたというケースは存在しないということでありまして、これは逆に言えば、それ以外の拉致が非常に多数ある証拠だということでございます。

こういうのを見ていると解りますが、ともかくですね、政府は、騒がれて騒がれて、マスコミが騒いだりしてどうしようもない、証拠が突きつけられて、それで初めてこれは拉致だと認定すると言うことでございます。

この間、10件15人になってからですね、田中実さんが追加認定されるまで二年半かかっておりまして、こんなふうでやってたらですね、100人ぐらいだったら、200年ぐらいかかってしまうと言うような状況でございます。

Img_2729.jpg

政府認定の拉致事件、11件16人ですが、この中で安明進さんが目撃した人は、(プロジェクターの画面を指して)この矢印の方々がいます。しかしそれ以外に、安明進さんが目撃した人は、特定失踪者で藤田進さん、加藤久美子さん、古川了子さんを見ているわけですが、この3人とも日本政府は拉致の認定をしておりません。

安さんが見たというのはこれは事実だと言うことが証明されていますが、それについて日本政府は拉致認定をしていない。それがあって、我々は古川了子さんのご家族に御協力を頂いて、古川さんの拉致認定を求める訴訟というのをやっているわけでございます。

ちなみに、ニュース等でもお知らせしておりますが、6月28日の古川さんの次の公判では、私が原告側の証人ということで、安さんに直接会って話を聞いている人間として、あるいはご家族についてもある程度解っていると言うことで、私一人が証人として認められていまして、私が証人として陳述をすると言うことになっております。

これが残念ながら今までの現状だということでございます。

若干蛇足になりますが、安明進さんは蓮池さんを金正日政治軍事大学で見ているんですね。ですから、蓮池薫は間違いなく、藤田進とか加藤久美子、(古川さんは見たかどうか解りませんが)この二人は間違いなく見ているはずです。
そうすると、彼らは日本政府には全部しゃべったと言っているわけですが、見たと言うことをしゃべっているのか?しゃべっているとすれば、なんで日本政府は認定しないのかと言うことになりますし、あるいは、しゃべっていないとすれば、一体彼らはどういう状況にあるんだろうとか、それが非常に大きな問題になってくるわけでございます。
と言うことをですね、しょっちゅうあちこちで言っているので、私は、特に蓮池薫さんには相当嫌われているらしいです。この際だから、行くところまでいってですね、名誉毀損の訴訟でも起こしてもらえば、法廷で、できると思って、もうちょっと頑張ってみるつもりでいます。


さて余計な話しはともかくとして、現在の拉致問題の解決の仕組みというのは、こういう風になっています。警察が捜査して、そして内閣が認定して、外務省が交渉して北朝鮮から帰国すると言うことなんですが、これにはさまざまな壁がございます。

ひとつは『法との照合という警察の壁』でございます。いうまでもなく、警察というところは法律に基づいて動くところで、証拠がなければ捕まえない。、まぁ、そう言いながら結構証拠がなくても捕まえてしまったりもするようですが、一応そう言う建前になっている。そうするとどうなるかというと、誰が拉致されたかを認定するために、誰がどういう経路で連れて行かれたかが解らないと、認定ができないというふうに、警察としては思ってしまうということでございます。

そうすると、たとえば、加藤久美子さんの事件は、昭和45年(1970)の8月8日ですが、今から36年前ですね。そう言う事件についてもう記憶をしている人がほとんどいない。場合によっては、ご家族でもあまり記憶がないという事件が非常に多い。そういう状況の中で、警察がいくら捜査しても、これはもう間違いないというふうにいけるのは、よほど運の良い事件しかあり得ないと言うことであります。
そうすると、ごく一部しか認定ができない。

そして、たとえばたまたま警察がうまくいってこれは認定すべきだと言っても、こんどは内閣の方で認定をするときにですね、どうしても日朝国交正常化に未練がある。国交正常化への障害を増やしたくない。それから、まぁ、良い方向で見れば、この拉致問題の解決のために、北朝鮮が軟化してもらわなければ困る。拉致被害者の数が増えたとなれば、北朝鮮が硬化するということで、これ以上増やしたくない。(一部不明)
ですから、田中実さんの認定をしたときには、小住健三さんも警察は拉致認定をすべきだという具申をしているわけなんですけれども、結局、田中さんは認定したものの、小住さんは認定していない。

あれだけ、いわゆるスパイ朴ですね、(チェなんとかと言っているようですが)このスパイのことを年末年始から大騒ぎしたわりには、小住さんについては今のところ手が着いていないということでございます。

そして、こんどは、それでもしょうがないから認定をしようかと言うことになった場合、外務省はどうなんだろうかというと、『力の裏付け』をもたない。要は、経済制裁するとか、そう言うことをやろうとしないということですね。それによって力の裏付けがない。ですから、この交渉がうまくいかない。

で、そう言う状態で北朝鮮からの帰国というのは、ここから、ここまで辿るまでにほとんどできないと言うことになってしまうと言うことであります。

で、じゃだったらば、どうすればいいのかということですが、やはりこれはですね、問題を『安全保障の問題』として見直すしか解決の道はないと私は思っております。

Img_2731.jpg

警察にできることというのは、基本的には<日本国内での事件捜査>しか有りません。あとは、ヨーロッパでの拉致なんかについて、ICPOですとか他の国の警察と連携をしてと言うのがありますけれども、それは本当に極限られた部分であって、北朝鮮の中に入って、犯人を捕まえる事はできないわけですね。

そう言うことが、限界が最初から有る。で、その法律の適用のできない地域というのは、これは正に北朝鮮ですが、これはもう対応は警察ではできません。

で、これはですね、たとえばもし北朝鮮がごく普通の国、普通でなくてもちょっとおかしいぐらいの国であればですね、その中の一部のゲリラとか反体制勢力がですね、そういうものが、なんかの理由で拉致をしたというのであれば、北朝鮮と信頼関係を築いて解決を目指すと言うこともできるわけですね。かつてフィリピンでしたか、三井物産の若王子支店長の事件がありましたが、ああいうような状況になるわけですが、しかし、犯人が、なにしろ北朝鮮の当局者である。指示をしたのが金正日であり、金日成であると言うことになれば、何らかの強制力を持たない解決というのはあり得ないということであります。

絶対忘れてはいけないことは、最終的かつ最優先の目的、目標というのは拉致被害者の救出である。真相究明ではないんですね。真相究明とかはやった犯人の処罰とかは、非常に重要なことではあるんですが、あくまで二次的な問題でしか有りません。

警察にやってもらわなければならないことなんですが、あくまでも、次の問題であって、今やらなければならないのは拉致被害者をいかに取り返すかということです。

ところが、この国の中では、警察がそういうことをやることになっていたという思いこみがあってですね、なんか警察がともかくやれば前に進むのではないかと。警察にはもちろん、こないだ対策室も作られていますし、前に向かって進んで入るんだと思いますが、しかしどうやったってもう最初から限界があるということであります。

これはたびたび私、あちこちで取りあげておりますけれども、去年の6月14日、参議院の内閣委員会でですね、民主党の森ゆうこ議員が質問したのに対してですね、細田官房長官が答えている答弁、これはもう異常ですね。政府の今の現状をはっきり示しているものであります。

森さんは、外務省が交渉していく場合に、先ほど論点でもありましたように、認定、要は認定のやり方に対してもうちょっとやり方を変えるべきじゃないかと言ってるんですね。これに対して細田官房長官は、こう答えています。『これは確かにおっしゃることはわかるわけでございます。しかし、こういういわば犯罪の被害者、いわば誘拐ではございますからそ、の犯罪の被害者として、誰か特定の人が、特定の場所で、こういう経路で誰が手伝って連れていたと、拉致をしたと言うことを、やはり警察当局がしっかりと証拠固めをして、そして認定をするという仕組みでやっております』というふうに答えているわけですね。

つまり先ほど言ったように、正に法と証拠に基づいてやります。法と証拠に基づいてやりますと言ったって、さっき言いましたように、大昔の事件が多いわけであって、そう簡単に調べられるわけではない。

これはつまり、『認定はほとんどできませんよ』と言っていることと変わりません。

そしてもうひとつですね、森さんが、『国民が拉致されて、救出を待っているときに、我が国の政府が自分でできる主体的にできることを、いつまでに、どのように、何をするのか、具体的にお答えいただきたい』と言う質問をされているんですが、これに対して細田官房長官は『先方も政府で、彼らのその領土の中に於いてはあらゆる人に対する権限を持っておりますので、これは我々が説得をして、そして彼らがついに<実は生きておりました、全員返します>と言うまで粘り強く交渉することが我々の今の方針でございます。』と言う答弁をいたしております。

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この答弁は、ホントだったら、あの永田メール問題の騒ぎどころではなくて、この答弁一つで、政府がひっくり返ってもおかしくないような答弁ですが、残念ながら、あの当時マスコミでも誰も、問題にした人がいない。<先方も政府で、彼らのその領土の中に於いてはあらゆる人に対する権限を持っております>ということはつまりどういう事かと言いますと、要は、拉致をしてしまったら、あとは似て喰おうと焼いて喰おうと相手の勝手ですということですね。

<我々は絶対に拉致被害者を助けません>と言うことを宣言しているのに等しい訳でございまして、ほんとにとんでもない答弁なんですが、残念ながら、この拉致問題を個別の刑事事件として捉えていくとこういう風にならざるを得ないんです、結局。

そこを変えていかなければならないと言うことなんですね。

・・・その2に続く・・・

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このエントリーのテキストは金木犀様の手によるものです。


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