2006年06月30日

私たちが想像しておくべきこと・・・金英男さん親子の再会劇を見て その2

「福留貴美子さん拉致事件を考える集い」より
荒木和博氏の講演から一部抜粋
http://piron326.seesaa.net/article/19617425.html

だから拉致被害者が何となくイメージとして、無理矢理つれて行かれて、何とか日本に帰りたいと思ってですね。
ただじっとしていると言うふうに思うイメージを思い描いていると、後でおそらくそれと現実のギャップがですね。
相当違った物が見えてくると。
その時に我々騙されたとか言う事をですね。
なってしまうと、これは拙いです。

そうじゃなくて、ああいう国の中にいるんですから、当然そういうことをさせられたと言う事はあるわけで。
それが例え半分くらい本気で彼らがやっていたとしても、それをですね。
最終的に我々は全て悪事を働いていたと言うような見方をする事は出来ないであろうと、言うふうに思うわけでありまして、その点をどうかご理解を頂きたいと思います。
福留さんの事件はまさに、そういう事件のひとつの象徴であります。

※太字は管理人による

荒木氏のいう「そういうこと」とは当然、「北朝鮮の利を適えるための工作活動全般」を指すのは改めて指摘するまでもない事です。
今回の金英男さんと崔桂月さん親子の再会劇を見て、真っ先に私が思ったのはこのこと。
少し自分の思うところを以下に書き綴ってみようと思います。

金英男さんは明らかに北朝鮮の工作活動に従事させられている人です。
将軍様マンセーのカルト国家で生き延びる為に、彼は自分の心を殺して自分の人生を翻弄した憎い敵、金正日のために忠誠を尽くさねばならないのです。
こんな悲劇が他のどんな世界にあるというのでしょうか?

この非情な現実が、どれだけ英男さんの心を苦しめたか?
平和な国で自由な生活を貪っている自分には、彼の苦悩を想像する事は到底出来ません。
顔色ひとつ変えず涙を流す事さえ許されない状況で、淡々と母との対面を済ませ、見え透いた嘘だらけのシナリオに沿った記者会見に臨む英男さんの姿に、今も息を潜めるようにして生きている日本人拉致被害者の姿を重ね合わせてしまいます。

金英男さんの心中を思うとき、彼の発する偽りの言葉一つにいちいち過剰に反応しても仕方が無いと私は思う。
いくら北朝鮮で心を殺して生きてきたとは言え、28年ぶりの母との再会に心を揺さぶられない人などいるでしょうか?
ましてや彼はよど号グループのように自らの意思で北に渡った人ではないのです。
ある日突然無理矢理に北朝鮮に拉致され、誰も頼る人も助けてくれる人もいない中で、必死にこの28年生き延びてきた人なのです。
大事な事は、本来金英男さんが持つであろう人間らしい心を奪い、自由を奪い、彼を生きた屍に仕立て上げた北朝鮮の本質そのものに怒りを向ける事だと思う。

北朝鮮に拉致された何百人もの日本人も、おそらく金英男さんと同様に、生きるために自分の心を殺しているはずです。
自分の心を殺し過ぎて頭がおかしくなってしまった人がいるかもしれません。
あるいは自分の心を殺す事を拒み続けて命を奪われた被害者だっているかもしれません。
望まない相手と強制的に結婚させられたり、子供を産む事を強要された人だっているかもしれない。
偽ドル作り、麻薬作り、核兵器やミサイルなどの製作現場に組み込まれている被害者もいるかもしれません。

平和ボケ日本人の想像力では到底及ばないようなありとあらゆる無理難題を甘受し、涙を流す事さえも封印して彼らは今も生きている事を思うと、私はなんとも言いようの無い重苦しいまでの不快感を覚えるのです。
北朝鮮で生きると言うことは、どんなに理屈の通らない不条理な指示であっても粛々と従わねばならない、という事。
将軍様の意思に逆らうえば命の無くなる国で生き延びるとはどういうことなのか?
今回の茶番劇の向こう側に見える北朝鮮という国の持つ病理を、私たちはしっかりと直視しなければならないのでは無いでしょうか?

今現在帰国を果たしている5人の被害者は、おそらく拉致被害者の中でも比較的恵まれた環境にいた人たちではないか?と私は思っています。
おそらく、彼ら以上に過酷で残酷な環境に置かれた被害者が相当数いるものと私は思う。
北朝鮮が日本への「一時帰国」を認めるに当たっては、当然向こうも日本からの反発が一番少ないと思われるモデルケースを選抜した、と考えるのが妥当では無いでしょうか?
被害者奪還というパンドラの箱を開けたとき、そこには私たちが直視するには余りにもむごすぎる現実が、おそらくあるはずなのです。
それを我が事として受けとめて、帰国を果たした被害者のフォローも含めて、ありとあらゆる現実に私たちは対処する準備は果たして出来ているのでしょうか?

今回の茶番劇に怒りを持つのは、日本人として当然の感情です。
でもその怒りを向ける先を決して間違えてはいけない。
昨日のエントリーにも書きましたが、敵はあくまでも金正日体制そのものなのです。
彼のハリボテのご威光とやらを守るがために、たったそれだけのために、多くの罪も無い人間の人生が翻弄されている。
その不条理こそに、私たちの怒りの矛先は向かうべきだと私は思います。

明らかに北朝鮮は病んでいます。
将軍様に逆らえば命のなくなる国。
自分の心を殺し、生きた屍にならねば生き延びられない国。
それが北朝鮮という国の本質なのです。

この国から全ての拉致被害者を取り返すために、私たちは戦わねばならない。
この異常な国家から被害者を取り返さなければならない。
そのために私たちに求められる覚悟とは何なのか?
今回の金英男さん親子の再会劇を見て、ただ怒りに震えているだけでなく嫌韓感情におぼれているだけでなく、もっと真剣に深刻に深いリアリティを持って、北朝鮮の現実をまずは直視するべきではないでしょうか?


posted by ぴろん at 12:27| Comment(0) | TrackBack(2) | 拉致問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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