アメリカは日本と韓国を巻き込んでまず経済制裁をするだろうと、金正日は思ったんです。
実際に1994年に今回と同じような国連安保理事会で、北朝鮮の核問題で非難決議の準備がされていたんです。
アメリカは案を出していたんです。
その時にカーターさんと言う人が訪朝して金日成と談判をして、核を止めると言ったので安保理事会での非難決議は流れたんです。
94年の非難決議には実は、ちょっと正確じゃない、94年の決議は非難決議じゃなくて制裁決議なんです。
経済制裁の内容が書いてある。
今回のより厳しいのが。
その根回しをしている最中にカーター元大統領が訪朝して、北朝鮮が核開発を凍結すると言ったからそれが流れたんです。
凍結すると言いながら作っていたわけです。
パキスタンから情報と技術を貰って。
その事がアメリカにばれてしまった。
だから94年以上の事をアメリカがやってくると考えるのは当たり前ですよね?
特に94年のときはクリントン大統領です。
話し合いを優先するクリントン大統領で、アメリカはテロとの戦争をやってなかったんです。
今はブッシュ大統領で、尚且つ戦時なんです。
それで自分がアメリカに攻撃されるかもしれないと思ったから、拉致を認めると言う博打に出てきたわけです。
アメリカから小泉さんを引き離すと。
だから金正日から見るとですね。
小泉さんの後ろにブッシュ大統領がこん棒を振り回しているのが見えるわけです。
小泉首相はこっちを見ているから自分の後ろが見えないんです。
田中(均)と言う人と上手く話し合いをしたから俺は平壌へ行けたんだな、と思ってるんです。
自分と金正日は仲が良いんだと。(小さな笑い声)
だからこの関係を切ってはならない。
独裁国家なんだから独裁者との関係を切ると今後の交渉にマイナスになる。
だから相手を刺激する事はやってはならない。
独裁国家の独裁者と会うと入ってしまう罠だと。
小泉総理もそこに引っかかったんじゃないか?
少なくとも、田中局長はそこに引っかかっていると。
5人が帰って来たときに一時帰国だと約束したからこれを守れないと、自分の相手に対する北朝鮮での立場が悪くなるから、だから返しましょうと言った。
ミスターXは金正日と繋がっている。
自分は金正日とのラインを持っている事は日本にとって良い事だと言っているわけです。
そうじゃなくてミスターXの為に、最終的には金正日の為に田中局長が動く事になっちゃうと。
ラインと言うのはあくまでも日本の主張を伝える為にあるのであって、ラインを維持する事を先に目的にしてしまうと向こう側に引きずり込まれちゃう。
それより、向こうが困れば向こうからラインを作ってくるんです。
小泉総理がなぜ訪朝できたのか?と言えば、それはテロとの戦争でブッシュ大統領が金正日をターゲットにしたからなんです。
ミスターXがいなくなったってすぐ別のラインが、向こうが必要なんです。
YでもZでもすぐに出てくるんです。
しかし、あの時にそういう関係で5人が帰ってきて、しかし北朝鮮は独裁国家ですから、金正日の責任に繋がる人間は出す事は出来ない。
だから生きている人を死んだと言ったわけです。
田口さんが一番分かりやすいケースですけど、田口さんが日本人化教育をしたテロリストの金賢姫は、115人を空中で爆破したテロリストは、「金正日の直筆の命令書があった」と言っている。
という事は、金正日は金賢姫が日本人化教育を受けていると言う事を知っていなければ、そんな命令書を出す事は出来ないんです。
「偽造された日本のパスポートを持って日本人に化けて、115人殺して来い」と命令したわけです。
拉致の事を知らなくてそんな命令を出せるはずが無いんです。
金賢姫が今韓国にいるわけですね。
で、田口さんが帰ってきて、二人が「20ヶ月こうだったわね」と抱き合って話をしたら、金賢姫の言っている事は全部正しいと。
115人を殺した命令者は金正日だとなるんです。
それは認められない。
金正日は「ブッシュ大統領は何をするか分からない、俺を守るために案を出せ」と言ったんです。
「拉致を認めて小泉を騙しましょう」とかって言ったんでしょうけども。
その時に金正日に関わる案は下の人間は絶対に出せないんです。
「大韓機爆破事件はどうするんだ?」という事になるんです。
「田口さんは日本政府が認定している、これはどうするんだ?」と。
「いや死んだことにしよう」と、奇想天外ですけど、死んだという事に案を作ったんです。
そして田口さんについてどう説明したか?というと、小泉さんの一回目の訪朝の時ですけど、何か知らないけど田口さんは宮崎の海岸にいたと。
そして上陸して日本人になりすまそうとする工作員とばったり海岸で会ったと。
「3日くらいだったら北朝鮮に観光旅行に行きたいわ」と彼女が言ったので、工作船に乗せて連れてきたと。
そこで原敕晁さんと結婚して幸せに暮らしていたと。
原さんは病気で死んで、田口さんは交通事故で死んだと。
丁寧に弔って墓は作ったけれども、洪水で流れて遺品は何も無いと。
これは北朝鮮政府が国家が、日本政府にした公式な説明です。
しかし地村富貴恵さんたちが言っているわけですけども、実は田口さんは連れて行かれた後、お腹の妊娠線とかを見せて自分には小さな子供がいるよと、帰してくれと、言ったと。
そして金賢姫の本の中にもありますけど、夜になると自分の子供は何歳か?と数えながら泣いていたと。
1歳と3歳の子供を置いた母親が3日間くらい観光旅行で北朝鮮に行きたいと言うか?と。
ハンドバッグ一つくらいしか持たないでね。
で、国家がこれ説明しているわけです。
親子関係に対する冒涜でもあると思います。
許せない、人間に対する冒涜だと私は思っているんですが。
しかしそういう説明をせざるを得ないんです。
拉致は認めるけど大韓機爆破事件は認められないんです。
死んだといって家族が納得してしまって、家族会が遺族会になってしまったら、彼らの勝ちだったんです。
9月17日から18日くらいは皆死んだと思って遺族という言葉が出て、蓮池さんが家族会の代表で横田さんが遺族会の代表になりそうになったんです。
しかしあの時彼らの誤算は今の安倍官房長官、当時の副官房長官が平壌まで行っていて、そして帰ってきた後次の日の朝に家族会が集まっているホテルまで来てくださいまして、説明してくれたんですね。
その時に北朝鮮で死亡を確認していないということが分かった。
9月17日には外務省の副大臣とか福田官房長官とかがそれぞれの家族を呼んで、「お亡くなりになりました」
断定的に言ったわけです。
その前に1時間半か2時間くらい待たせてですね。
「慎重に確認作業をしています」と言って、確認作業が終わってそれぞれを呼んで「お亡くなりになりました」と言ったらば信じますよね?
僕も実は死亡というのをその時信じたんですね。
あの時一緒に国会議員会館にいてくださったのが上田(埼玉県知事)さんで。
だから本当に危なかったんです。
死んだと信じてしまったら終わりだった。
あの時安倍官房副長官がいなくてですね。
福田さんと田中局長だけでやっていたらば、我々も死んだと思っていたんです。
ただ一人死んだと思ってなかった人がいたんです。
横田早紀江さんです。
横田早紀江さんはあの時記者会見でマイクを取って、「生きていると思っています。まだ戦い続けます」と言いましたよね?
僕ら横で見ていて、大丈夫なのかな?と思ったんですよ。
私たちなんかは運動を始めて、運動をした後に死亡日だったらどうしよう?と。
殺されたんだったらどうしてくれようかと、そこばっかり考えていたんですけれど。
結果として去年、一昨年の12月まで北朝鮮は8人の人を死亡だと言いたかったんですけども、8人について一人分でも死亡の証拠を出せなかったんです。
8分の0なんです。
8分の3は出していて5は無い、とかいうんじゃないんですね。
日本政府も全く信じられないと言っているわけです。
最近日本政府が日本語のパンフレットを出しましたけども、その中にも「全員生存を前提として北朝鮮と交渉する」と書いてあるんです。
しかし、最初に言った矛盾点はまだ残っているんです。
北朝鮮は核を作って、今回ミサイルを発射した。
アメリカはそれを止めさせようとしている。
アメリカはそれで去年の9月から、イラク情勢が落ち着いてきましたので、本格的に北朝鮮に対する対応を始めたわけなんです。
それは何か?というと金融制裁です。
金融制裁というのは、実は北朝鮮の銀行に対する制裁じゃないんです。
北朝鮮と取引をしている世界中の銀行に対する制裁なんです。
マカオに、バンコ・オブ・デルタという銀行があるんですね。
その銀行は金正日の秘密資金の出し入れなんかに使われている銀行なんですが、そこに偽札資金が入っていると言う事をアメリカ当局が察知して証拠を握って、去年の9月にそのマカオの銀行に制裁をかけたんです。
それを一方的にアメリカの国内法でかけるんです。
ですから、例えばですね。
日本でも足利銀行というのが朝鮮総連のメインバンクだったんですね。
一度破綻しましたけども、破綻しないで今もやっていたとすれば、アメリカから金融制裁をかけられたかもしれない。
一方的にかけるんです。
弁明の機会無しです。
かけられたらどうなるのか?というと、アメリカの金融機関が一斉に取引を停止するんです。
外国為替銀行でアメリカの金融機関と取引停止させられたら大変な事になります。
マカオでどうなったか?というと取り付け騒ぎになった。
あの銀行潰れると言う噂が出て預金者がわ〜っと銀行に押し寄せたんです。
で、マカオ行政府が管理するって言って助けて、そして20くらいあった北朝鮮の口座を全部凍結した。
そこに2000万ドル以上の北朝鮮のお金が入っているんですけど、下ろせない、今は。
それを見ていた世界中の銀行が、北と付き合うとああなる。
バンク・オブ・チャイナという中国の外国為替専門の銀行があるんですが、そこについても実は、金大中が5億ドルの賄賂を持って金正日に2000年会ったんですね。
そのうち2億円くらいはバンク・オブ・チャイナを使って送金しているんです。
その犯罪資金だとみなされれば、バンク・オブ・チャイナもアメリカと取引出来なくなる。
実際アメリカの財務省の人間が「あそこも対象だ」と口で言ってマスコミに出た。
それで水面下でもうやらないからと北朝鮮と取引をやらない。
世界中の銀行が北の口座を開設するのを嫌がり、今ある口座も凍結しようとする。
送金を受け付けない。
アメリカは今何をやっているか?というとスイスの銀行。
スイスの銀行に40億ドルとも50億ドルとも言われる金正日の個人資金がある。
CIAが口座番号をいくつか感知している。
それを凍結しようとしている。
金正日は尻に火が点いた。
で、1月に急遽中国に助けを求めた。
しかし中国は犯罪には加担できない。
核問題ならまだ(助ける余地が)あるけれど、犯罪には加担出来ないということで助けなかった。
それでどうするか?って困ったわけですね。
クリントンの時はミサイルを発射したら二国間交渉になりました。
多分軍隊がいてじゃあそれで行けと言って、今回もまたミサイルを発射したわけです。
ミサイルを発射すると緊張が高まる。
で、もう発射しないから話し合いをしてくれと言う。
もう発射しないということと金融制裁とをバーターする。
自分が悪い事をしていてですね。
悪い事をやめると言う事があたかも何か貢献のように思って何か貰おう、と言うのが彼らの今までの手法だったんですが、ブッシュ政権は悪い事には褒美は出さないんです。
今も基本方針なんです。
結果として国連の安保理事会で非難決議になったわけです。
・・・上田埼玉知事、岡村川口市長の挨拶の為一時中断、講演はその3へ続く・・・