続きまして「北朝鮮に拉致されて日本人を救出するための全国協議会」の会長を務められております佐藤勝巳先生より、拉致問題から見た人権擁護法案についてお話いただきます。
よろしくお願いします。(拍手)
『佐藤勝巳 救う会会長のお話』
ご紹介をいただきました佐藤でございます。
私人権擁護法案と聞いた時に、拉致をされた日本人を救出をしてくれる法案じゃないかな?と思いました。(笑い声と拍手)
思ったんですが、お聞き及びのように全然正反対のものです。
私は皆さん方とは多少違った経験を持っておりまして。
1968年。
今西村さんが高校生だと言っておりましたけども。
その時に私たちの研究所が出している雑誌に「特殊部落」という表現を使いまして。
開放同盟から糾弾を受けた経験を持っております。
まぁ、私たちが至らなかったということもあるんでしょうが、当時の日本朝鮮研究所は事実上解体に至りました。
それから2〜3年した後だったと思うんですが、今度は開放同盟の機関紙が朝鮮人差別の発言をしたんですね。
まぁ私たちも至らぬところを指摘されたんですから、それじゃあ専門的な立場で一言言わせていただきますと言って、開放同盟の機関紙を糾弾しました。
開放同盟の方は謝罪広告を出して自己批判をしました。
と言う経験を私持っておりますから、今まで先生方が色々な角度からお話をなすったのを客席で。
1968年、私たちが開放同盟から糾弾を受けて解体していく過程、これを思い起こして聞いておりました。
私は糾弾を受けることによってすごい教育を受けましたし、すごい知識を得ることが出来ました。
多分私が拉致の問題に関わっている基本的な原点はあのとき学んだことにあるんではないか?と漠然と考えております。
それは糾弾する側にはつまり差別を受けた側、人権を侵害されたという側には一定の根拠があるんです。
しかし、その根拠と言うものが絶対的なものかどうか?
ということが今まで諸先生方が言われたように、つまり人権の規定が曖昧である。
と言う事です。
これは極めて深刻な問題です。
私はもう半世紀近くも朝鮮問題に関わって、民族差別に関する問題たくさんの経験をしてきました。
そして差別は止めるべきだという運動も10年間くらいやって来た経験を持っております。
そこから引き出された教訓・結論は、この法案を通したら大変なことになるということです。
なぜなら、差別を受けた・人権を侵害されたということが絶対的なものとなっていった場合、論理的に行き着く先は北朝鮮の金正日政権と同じことになるということなんです。(拍手 「そうだ!」の声)
それは世の中に絶対的に正しいなんてそんな事はあり得ません。
いわんや差別とか人権の問題に置いてもやです。
ひとつだけ例を申し上げます。
私は大変親しい友人、在日朝鮮人の友人を持っておりまして。
この人が今から10年ほど前にもうあの世に逝ってしまったんですが。
これは金日成政権の工作員で日本に入って来た人です。
戦前早稲田を卒業された方なんですが。
この人と長い長い付き合いがあって。
二人の間には絶対的な信頼関係。
で、私は彼が日本の警視庁に逮捕されて、警視庁から出てくるときの身元引受人になった人間です。
この二人の間における会話というのは日本の政権の批判であったり、金日成政権の批判であったり。
まぁ、いろいろいろいろあるわけです。
その中で彼が「日本政府けしからん!」と言う話をするから、「それはないよ」と。
あなたのような反日的人間を住まわせて保険も適用して病院も皆面倒見てやってると。(拍手)
昔ならあなたのような人間を「不逞鮮人」と呼んだんだと。(拍手)
言うことを私は本人に面と向かって言ってるわけです。
そう言われると彼は「なるほど言われればとそうだなぁ」という事になるわけです。
だから二人の間で交わされている私が口から発せられた「不逞鮮人」
そんなもの差別用語に決まってるし、人権蹂躙に決まってます!
だけどお互いに人間的な信頼関係が出来た時は、そんな事は絶対問題にならない。
それほど、その人権と差別と言うものは難しいものです。(拍手)
例えば川崎における多住地域。
これは池上町辺りあの周辺桜本辺り、たくさんの在日朝鮮人が韓国人がたくさん住んでおります。
学校にもいます。
大阪の西成などもたくさんいます。
○○○(聞き取れず)の小学校辺りは今在日と日本人が半々くらいになってるんじゃないですか?
そういうところで「おい韓国!」と子供が言ったら、その文脈とニュアンスによっては差別になっていく。
人権侵害になっていくと。
極めて難しい問題です。
通常の社会では「朝鮮人」というのは差別の言葉であり人権侵害だという事になってるけども、そんなものをどうやって定義しているのか?
神様だって出来ないんです。
判定なんか出来ないんです。
もちろんあからさまな差別と言うのは世の中にあります。
あるんだけども、基本的には差別なんだ人権侵害なんだといって。
あれこれあれこれ糾弾をしていく・調査をしていくというようなことは、大変に難しいことでほとんど不可能に近いというのが、私の実感です。
従ってこういうような法律は絶対に通してはいかん!(拍手)
皆さんと一緒に断固として粉砕していかなかったら、日本の民主主義と自由は根底から崩壊していくと、いう危機感を持っております。(拍手)
以上です。(拍手)
※司会(男性)
どうもありがとうございました。