2007年01月20日

「正義の死者」にならないために

そもそも単なる一支援者の私たちに、家族の人柄などを云々する資格はあるのか?

それが今回の蓮池透さんと、山崎拓氏の面会劇を巡る一部の意見に対する素朴な私の疑問です。
私たちごく普通の一般人は長い年月、この拉致問題の存在を見逃してきました。
その間、当事者であるご家族は、大切な家族を突然奪われると言う筆舌に尽くしがたい辛酸を舐め、生き地獄の日々を過ごしてまいりました。

家族と言えども、彼らはごく普通の人間です。
決して聖人君子でもなく神様でもない。
ただただ、自分の愛する我が子を取り戻したい、きょうだいを取り戻したいと願うごく普通の人間なのです。
その基本原則をお忘れになっている方が、どうも少なくないと感じます。
今回の蓮池さんへの批判の声の裏には、家族を神格化し奉立てたがる、過剰なまでの家族に対する思い入れに対する反動のような気分があるようにも感じます。

確かに家族会のメンバーには人格的にすぐれた人が多いです。
特に横田夫妻や有本夫妻の一連の言動には、崇高なオーラのようなものさえ感じることもある。
そこには現在失われつつ日本人の美徳と言ったものを、凡庸な私でさえも感じます。
それゆえに、一部の保守・右派のひとたちにとっては、家族の人たちの存在はまるで崇拝すべき理想像のように見えてしまうのかもしれません。

しかし、だからといって、私たち支援者は時に余りにも一方的に、「家族としてあるべき理想像」を求めすぎてはいないか?押し付けてはいないか?と言う素朴な疑問も感じるのです。
いくら被害者家族といえどもその前に彼らはごく普通の一人の人間である事を、私たちはどこかで忘れてはいませんか?
むろん、世論の支持を得るためには、高尚高潔な人物像を世に知らしめる事は戦略として必要なのかもしれません。
しかし、私たち支援者の側に、そもそも支援すべき家族の人柄を選ぶ権利はあるのでしょうか?
崇高で、高潔で、立派な人格者であることを、時に私たちは家族に対して過剰に求めすぎてはいないでしょうか?

例え家族の一人お一人が例えどんなにいけ好かない人柄であったとしてもですね。
極端な話、

「他の家族はどうなってもいい!自分のところの家族だけを、どんな汚い手を使ってもいいからまずは救い出してくれ!」

などとエゴむき出して公言してはばからないような自己中心的な人物であったとしても、それを批判し責める資格のある日本人がどこにいるというのでしょう?

20年30年40年という気の遠くなるような長い年月、拉致被害者の存在を見逃してきた私たち。
そんなだらしのない体たらくな私たち支援者が、ごくごく最近になってちょっとばかり拉致問題に対して関心を持ち知識を持ち、少しばかりのボランティアに参加したからと言って、家族の批判を言い募る資格がどこにあるというのだろう?

蓮池さんの今回の行動は軽率のそしりは確かに免れないかもしれません。
でもすでにご本人は反省もし、他の家族に対して謝罪もし、誤解を解くための公式な訂正もだしています。
蓮池さんバッシングをするエネルギーがあるなら、バイアスのかかった歪んだ報道を仕掛けたマスコミこそをまずは批判すべきではないのか?
蓮池さんを利用し、政治家としてのステイタスにしようとたくらんだ山拓こそを責めるべきではないのか?
情報操作という手段を使って、世論の分断・混乱を招こうとする影の組織こそを批判するべきではないのか?

それなのに肝心要の敵を見失い、目先の瑣末な現象に目を奪われ、蓮池さんバッシングで大騒ぎしている一部支援者を名乗る人たちの人格や意識のほどを私は疑う。

目先のことに囚われる余り、大局を見失う一部の支援者の存在を、私は憂います。
自分は「正義の使者」を気取っているつもりでも、自分が意識しないところで敵の仕掛ける策動にまんまと引っかかり、結果として「正義の死者」と成り下がっていることに、彼らはなぜ気がつかないのか?

仮に人格的に問題のある拉致被害者家族がいたとしても、被害者奪還のための方策や意見の違うご家族がいたとしても、私たち支援者に家族を選り好みする権利などないのです。
そんな心の狭い支援者は、そもそも支援者を名乗る資格などないと、心得るべきではないでしょうか?
この運動の最終の目的は、被害者を全員奪還すること。
小異を捨てて大同に付く、というこの手の大衆運動に関わる基本理念を、後どのくらい口を酸っぱくして説明すれば、ご理解をいただけるのでしょうね?


posted by ぴろん at 11:22| Comment(0) | TrackBack(1) | 拉致問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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