2008年03月21日

神雷部隊戦友会と共に

昨日私はあいにくの冷たい雨の降る中、母のお供をして靖国神社を訪ねてきました。
目的は、一昨日紹介したように特攻の大叔父が所属した海軍神雷部隊の戦友会の方と共に、特攻隊員として若い命を散らした御霊をお慰めするためです。

今回、私は初めて戦友会の参拝に参列させて頂いたわけですが、それが何とも不思議な時間であったなぁ、と言うのが率直な感想でしょうか。

特攻の大叔父と共に同じ時間を過ごされた戦友の方。
遺族の方。
そして特攻に強い関心を持ち、それぞれの分野(映画・演劇・翻訳・ジャーナリストなど)で活躍する一般関係者の方。
総勢80名での昇殿参拝に臨み、その後なおらいの会に参加させていただきました。

昨日参集された方の立場はそれぞれに違っても、特攻で若い命を散らした御霊に寄せる熱い思いは変わらない。
その事を強く実感した一日でもありました。

大叔父と同じ時間を過ごした戦友の方が30名参加されていました。
その中には正義大叔父さんと一緒に茨城の神ノ池基地で訓練を受け、大叔父のことも良く覚えていると言う方が四国からはるばる駆けつけてくださっていました。
その方は(仮にAさんとしておきます)は、私たちに対して神ノ池基地での大叔父の訓練の様子を、まるで昨日の出来事のようにお話をしてくださったのです。

戦友会の参拝に参加した以上は、大叔父の事を直接に知る方と出会い、大叔父の思い出話のひとかけらでも聞く事ができたら・・・とは思っていました。
でも本当に、大叔父と同じ時間を過ごした方と直接にお目にかかれるとは夢にも思っていませんでした。
それは本当に言葉では上手く言えない不思議な体験でした。
まるで大叔父がこの場によみがえり、戦友の方の口を通して、己の生きた証しを私たちに伝えに来てくれているような感じがしたのです。
家族も知らない大叔父のエピソードを、戦後60年以上も過ぎた今、大叔父と共に生きた戦友から直接に聞く。
私にとっては写真でしか知らない大叔父の存在が、リアルに感じられた不思議な瞬間でありました。

なおらい会では、冒頭、関係者や遺族の協力を得て、沖縄守備のため散った神雷部隊の戦死者の名前を沖縄の平和の礎に昨年無事に刻む事が出来た、という報告もありました。
沖縄の平和の礎に、大叔父の名前があるのかどうかは私も以前より気になっていて、いろいろ調べてみたのですが、地上戦の犠牲者はともかく、海上での特攻による戦死者の名前が刻まれているかどうかはどうしても分からず、そのままにしてありました。
でも、この度、無事に平和の礎に神雷部隊の犠牲者の名前のほとんどを刻む事が出来たとのお話を伺い、ホッと安堵いたしました。
陸と海との違いはあっても、神雷部隊の戦死者も沖縄守備作戦の一環として出撃しているわけですから、地上戦の犠牲者と同様にその名を刻んで後世に残して欲しい、と言う願いはありました。
その願いが、関係者の努力によって果たされたと知り、本当にありがたく感謝しています。


私の母は昨日の参拝に、このBlogでも紹介した特攻の大叔父からのハガキを持参しました。
なおらいの会では遺族の方もご挨拶をと求められ、ハガキを持参している事を紹介し、「もしご関心のある方がいらしたらお見せしますのでお声がけください」とご案内したところ、たくさんの方がぜひハガキを拝見したいと申し出てくださいました。
涙ぐみながらハガキを手にとって、読んでくださる方が大勢いらっしゃいました。
多くの方に特攻の叔父の肉声のひとかけらを伝える事が出来、いい供養が出来たと感じています。


昨日の参拝に参集した方の全部が私にとっては初対面です。
そしてその方々に特攻の大叔父の思いを伝える、あるいは大叔父の思い出を知る人からお話を直接に聞く。
まるでその場に大叔父の魂が存在していたかのような気持ちを感じた、と言ったら大げさでしょうか?
これも特攻の大叔父が導いてくれた貴重なご縁なのかな?と感じています。

それから昨年、遊就館に奉納の手続きをとった特攻の大叔父の写真が、無事納められているのを昨日確認をしてきました。
もし、このBlogをご覧の方で遊就館にお出かけの際は、是非大叔父の遺影を確かめてみてくださいませんか?
石渡正義と言う名前と、白い軍服姿の凛々しい写真が立派に納められています。
これで靖国神社がある限り、大叔父の存在は後世に伝え残される。
遺族としては、ホッと一安心した瞬間でもありました。


すみません、なんだか文章がめちゃくちゃですね。
あまりにも不思議な時間を過ごしたので、一晩経っても言葉が上手くまとならないのです。
そうでなくても小学生レベルの文章しかかけないのに・・・私の思い、少しは伝わっているでしょうか?
いずれにせよ、私の中で大叔父への思いがさらにリアルに増したのは確かだと感じています。
貴重な一日を過ごせた事を関係者の皆さんに感謝しています。
posted by ぴろん at 08:36| Comment(4) | TrackBack(1) | 特攻の叔父の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
初めまして、失礼します。

本日、建長寺へ行って参りました。
神雷戦士の碑の前で元部隊におられた2人の方にお会いしました。
自分は部隊の縁者ではないのですが、神雷部隊の事を知って来たと
告げたら「おい、こんな嬉しい人がいるぞ」と言って頂きました。
喜んで頂いて少しは良かったと思う反面、部隊の事を思えばあまりに
も切ない気持ちでいっぱいになりました。

自分は昭和41年生まれですが、自分等の世代があまりにも知らな過
ぎるので悲しくなるほどです。そして当時を知る人達が高齢になられて
おり、早く聞かねばという気にもなります。
何があったか、もっと知るべきだと強く思うこの頃です。
自分は縁者ではないので知る機会になかなか恵まれません。

(アドレスは★が 正しくは b になります)

Posted by 秋山一之 at 2008年03月21日 23:57
★秋山さま

ようこそ、はじめまして。

3月21日は桜花特別攻撃隊の第一陣の出撃日。
その記念の日に建長寺の記念碑に参られたとの事、桜花特攻隊員の遺族の1人として厚く御礼申し上げます。

戦後60年の時間は無常です。
当時を知る人は次々と鬼籍に入り、生の声を聞く事は年を追うごとに難しくなる。
だからこそ、貴重な話を聞く機会を得たものは、様々な手段を行使してそれを世に伝える義務があるのでは?と感じています。

当Blogの特攻の大叔父に関するエントリーは、正直言って小学生の作文レベル。
素人の駄文を晒すのは恥ずかしいと思いつつ、それでも自分の知りえた事、感じた事を記すのは、ひとりでも多くの方に、桜花特攻によって戦死した大叔父が「残しおきたい」と思った心を伝えたいからに他なりません。

大叔父は桜花と呼ばれる人間爆弾による特殊な特攻であり、また母機の一式陸攻が奇跡の生還を果たしたことで、鹿屋を飛び立ってから突撃に至るまでの詳細が全て分かるレアケース。
私にとっては物心ついたころから当たり前であったこの事実が、実は世間から見れば当たり前では無いと言う事に気付いた時、これはたとえ拙い文章しか書けなくても、何とかして伝えなくてはと感じたのです。

ご縁あって、当Blogをご訪問いただいたこと、心より感謝いたします。
神雷部隊へ関心が、建長寺での元隊員との出会いにつながった物と思います。
どうかこれからも、桜花をはじめとする神雷部隊の存在を、秋山様なりの方法で世に知らしめていただけたらと願っております。
私の特攻の大叔父をはじめ、多くの神雷部隊の英霊たちは、靖国の社・神雷桜の枝・そして沖縄の海の底で、秋山様の思いを心から喜んでくださるものと信じております。
Posted by ぴろん at 2008年03月23日 21:52
はじめまして お邪魔します。

昨年まで神栖市にある神ノ池の周囲を

ウォーキングしていましたが、

歴史については全く知りませんでした。

ちょっと勉強させていただきます。
Posted by あゆみ at 2008年03月27日 00:30
★あゆみさま

ようこそいらっしゃいました。

神ノ池基地跡には、今も桜花練成の地と
刻まれた記念碑があり、そこには桜花のレプリカも展示されています。
こちらに写真がありますので、もし機会があったら一度尋ねて頂ければと思います。

http://www.asahi-net.or.jp/~un3k-mn/ooka-kou.htm

私も昨年夏、母のお供で神ノ池の記念碑を訪ねてきました。
戦争当時、この地で亡き大叔父が特攻の訓練を受けたのか?と思うと感慨深いものがありました。

桜花について・神雷部隊について、ひとりでも多くの方にその存在を知っていただけたら、と願って素人の駄文を綴っております。
正義大叔父の生きた証しを少しでも世の人々に知っていただけたら、何よりのことだと思っております。
どうかこれを機会に、あゆみ様なりの方法で桜花特攻や神雷部隊をはじめとする、歴史の真実に近づく努力としていただけたらと願っております。

数あるサイトの中から、当Blogをご訪問頂き、ありがとうございました。
Posted by ぴろん at 2008年03月29日 17:06
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Excerpt: 靖国合祀取り消し求め提訴 沖縄戦の遺族ら中日新聞沖縄戦で死亡した家族らを靖国神社...
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