2005年11月10日

全ての被害者を救い出す事・・・それが拉致問題解決の原点 

「すべての被害者帰国して初めて解決」安倍官房長官

 安倍官房長官は9日、朝日新聞などのインタビューで、日朝国交正常化には拉致問題の解決が必要だとし、「もしかしたら私の子供が、家族が拉致されたんではないか、と思っておられるご家族の方々も多い。こういう方々も含め、すべての拉致被害者を全員日本に帰していただいて初めて解決をされたと言える」と語った。政府が認定した拉致被害者11件16人に加え、拉致の可能性がある多数の「特定失踪(しっそう)者」を含む全面解決が国交正常化の前提になるとの考えを強調したものだ。

 一方、北朝鮮に対する経済制裁の可能性については「目的はあくまでもすべての日本人の拉致被害者の救出にあり、結果を出すために今ベストの努力をしている」と述べた

(中略)

――日朝国交正常化の前提として、拉致問題をどこまで解決する必要がありますか。また、経済制裁をどう考えますか。

 政府が認定している拉致被害者は、まだ安否が定かではない。さらに特定失踪(しっそう)者と言われる方々も含め、拉致被害者を全員日本に帰していただいて初めて解決されたと言える。経済制裁は目的ではない。目的はすべての日本人の拉致被害者の救出にあり、結果を出さなければいけない。結果を出すために今ベストの努力をしている。

http://www.asahi.com/politics/update/1109/016.html


すでにあちこちのBlog・掲示板で取り上げられている安倍氏の発言です。
私は基本的に支持したいですし応援したいですし、その言葉通り被害者救出を実現して欲しいと願っております。

ただですね。
安倍さんが官房長官に就任してから「制裁発動」の言葉をハッキリ口にしなくなったことで、疑心暗鬼になっているお人も少なからずいらっしゃるようで。
どうなんでしょう?
安倍さんの官房長官受諾を裏切り者呼ばわりし、その罵声が少し止んだかと思えば、今度は小泉に対し辞表を叩きつけろと息巻く向きもあるようですが・・・?

引用のインタビューにもあるように、制裁はあくまでも手段であって目的ではないと思う。
でも最近、この判断を冷静に出来なくなってる人がどうも増えてはいませんかねぇ???
振り返れば今年6月の座り込みの時もそうでした。
座り込みの賛否の如何が、家族会・救う会への忠誠度の物指しのように思い込んでる人もいましたが、それと同じような状況が今再び湧き起こっているようにも思います。
曰く、制裁発動に賛成するか否か?
曰く、小泉退陣に賛同するか否か?

家族会・救う会の意向は言わずもがなですが、それに諸手をあげての賛同をしない者は支援者にあらず、と思い込んでいる視野狭窄な御仁がまたぞろ出没しているようで。
どうしてこう何でもかんでも物事を、白か黒か?0か100か?の振り分け・色分けをしないと気が済まない人がいるのだろうか?
制裁発動・小泉退陣に熱く賛同する者だけが真の支援者なのでしょうか?
私にはどうしてもそうは思えないのですけれどね。

無論私個人もどこかの段階で制裁をかける必要性はあると思っています。
けれど、それはいつ?どのタイミングで?どんなレベルの制裁を発動するのが効果的なのか?
戦略性を持って発動するべきと思っています。
その意味で、今の政府内にはそれだけの戦略をしっかり考えている担当者もなければ、戦略を練るために必要な情報を集める部署も残念ながらありません。
拉致担当大臣すら内閣に設置せず、特定失踪者の調査さえ政府主導では行われていない。
制裁発動の備えての下準備、例えばスパイ防止法の制定や日本版北朝鮮人権法の成立もどこかへ消し飛んだままなのです。

拉致問題が硬直し、6者協議も茶番劇の域を出ていない今、家族も支援者にも苛立ちが募りに募っています。
それは分かりますが、だからといって制裁発動を単なるうっぷん晴らしの場にしてはいけないと思う。
何の策もなく担当部署もなく、闇雲に怒りに任せての制裁発動にどれほどの効果が望めるのか?
拉致問題の山が動く局面がすぐそこに来ているからこそ、冷静に状況を見極めたい物だと思う。
安倍さんの言うように目的と手段を混同してはいけないと思う。

肝心なのは被害者を救う事。
表面的に威勢の良い言葉を連ねれば被害者が救えるというものでもない。
今こそしっかりとした戦略を立てるべき時だと思う。
日本は本気で一人残らず被害者を取り返すんだぞ、と言う姿勢をハッキリ示すのも立派な圧力の一つ。
さっさと拉致問題の担当部署を作り、特定失踪者の調査を政府主導で開始すべきです。

それらを実現してもらうためにも、安倍さんには内閣でしっかりと影響力を行使して欲しいと思う。
安倍・小泉を仲違いさせて辞表叩きつける事が、どうして被害者救出につながるのか・・・私には分かりません。
仮に辞表を叩きつけたとして、それで小泉さんが翻意して拉致問題に熱心に取り組むようになるのでしょうか?
万が一の官邸暴走を止められるのは国民の民意しかないと私は考えています。
その民意を反映してくれる存在として、安倍さんは内閣の中でストッパー的役割を果たしてもらう方がベターだと私は思うのですがねぇ?

制裁発動・小泉退陣に賛同しない者をかたっぱしから排除して「自称真の支援者=過激な方針を支持する者」だけで固めてしまえば、運動は先鋭化の道を一直線です。
先鋭化した支持者だけいれば、拉致問題は何とかなるのですか?
万が一の官邸暴走をコアな支援者だけで止められるとでも?
制裁発動は被害者救出のための手段のひとつにすぎません。
安倍さんの言葉を借りるまでもなく、肝心なのは結果=被害者を救い出す事にあるのです。
「制裁発動に賛同しない者は支援者にあらず」ではなく、「全ての被害者を救い出したいと願う者」は皆支援者であると言う基本的立場をまずは再認識したい物だと思う。
いざと言う時の備えの為にも、被害者置き去りの正常化反対の声を上げてくれる支援者は、一人でも多いに越した事はない。
そのためにも拉致問題を支援する者の最低限の共通項は「全ての被害者を救い出すまで、国交正常化はしない」で良いと思うのです。
まずはこの一点で、すべての国民の心を一つにするべきではないでしょうか?

誤解の無い様に言いますが、私は決して制裁発動絶対反対なのではない。
ただ、世の中の多くの人は、コアな支援者と比べて拉致問題に関する知識や認識がそれほど深いわけではない。
そういう人に対して制裁発動が必要な理由を説明するとなると、時間と手間がやたらとかかるのです。
政治的臭いのする運動に拒絶感を持つ人も相変わらず存在するわけですし。
そういう現状の中で、拉致問題に深い理解と知識を持つ支援者を増やすのにはどうしても限界があります。
関心度の薄い一般大衆の心を掴むには、もっと分かりやすく共感しやすいスローガンを掲げる必要もあるのでは?と私は最近思い始めてもいます。

先の総選挙で、奇しくも小泉さんが教えてくれたじゃありませんか?
世論をがっちり掴もうと思ったら、訴える言葉はシンプルにわかりやすく。
で、拉致問題のシングル・イシューは何か?と考えた場合ですね。
「制裁発動」も良いけれど、それよりは「全ての被害者を救い出すまで、国交正常化はしない」の一言で訴えた方が、共感は得やすいのでは?とも思うのですがね?
どうでしょうか?

ともかく、苛立ちの余り、支援の本質を逆立ちさせてはいけないと思うのです。
制裁発動はあくまでも手段。
手段の違いがあるからと言って、せっかく拉致に関心を持ってくれた人たちを追い出して先鋭化するのは得策ではない。
排除の論理は、支援の輪を狭めるだけ。
運動が過激になれば、世論・民意は救出運動から引いてしまいます。
被害者救出と言う結果を得るには、支援者の側も懐の深さが求められる場面もあると思う。
冷静に沈着に、そして戦略をもって事に当たるべし。
感情に任せてのうっぷん晴らしだけは何があろうとも慎むべきと心得ます。


posted by ぴろん at 23:58| Comment(2) | TrackBack(0) | 拉致問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
初めまして! 
酔夢リンクからお邪魔します。
拉致集会の多くに参加して御丁寧にテキストお越しまでして頂き一市民としてとても有難く感謝申し上げます。
私も右の列記してある拉致集会のいくつかには参加いたしました。
 が何回か重ねる内に家族支援会の在り方というか広がりの無さに
疑問が湧いてくるんですね。
 国民の70%の人々が「経済制裁」には賛成してるのですがその賛意の気持ちが集会の人数になって表れてないのは何故なのか?
例えば4月の日比谷集会は外にまで溢れて2000人強でした。
とても集まったと評価してた人が多いのですが その日参加した私は正直な感想として こんなもんなのかな・・?と。 
登壇者の声は拡声器で聞こえてるんですが 日比谷公園では横田ご夫妻と同年代のようないい年したご夫婦が何組も日向ぼっこして若者の嬌声が溢れてました。
 日比谷公園内が「拉致被害者全員奪還!」を願う人々で埋まってしまうくらいのムーブメントを起こさないと日々に疎しとなるのではないかと危惧してます。
 先日も同窓会の折、ちょっと話題にしたのですが子育ても終わった主婦には 可哀相と思うあり方が違うのです。拉致された方への同情、北朝鮮への怒り・・ではなく 横田さんの母上に対する気持ち「あの人達ってあれで一生終わってしまうのよね・・」毅然として奪還の行為ができない国への疑問とかじゃない・・
自分達は旅行したり、ジャズダンス、テニスに興じてる・・ある意味人生の後半を謳歌してるのに
・・可哀相となるわけでそういう選択を出来なくした状況への怒り悲しみには考えが及ばないのです

私の友人が特殊ではなく普通一般はこんなところではないですか? でもこんな人たちを引き込んで拉致問題に関心を持ってもらい「拉致問題解決無くして国交回復は無い!」その解決とは「全員奪還」にある!との世論を形成するには相当な覚悟と戦略が要ります。
何故なら 様々の妨害が戦略的に練られ実行されてるからです。
顕著な現象のひとつが今年早々の「NHK番組改編、朝日捏造問題」だったと思います。
あれは明らかに 対北朝鮮強硬派と言われる 安倍、中川両議院潰し、とその騒ぎによって偽遺骨問題から湧き上がってた世論の高まり「経済制裁」の沈静化を狙ったものでした。そんな謀略の渦巻くなかを声を一つに纏まって大きなうねりに運動を高めていかなければ偏向したマスコミを動かすことは出来ないでしょう。
 思うに家族会を支援する人が割れてては道は遠いなと感じざる得ません。
 そんな膠着状態の中でのこの度の小泉首相最後の内閣改造人事で
安倍官房長官就任はどう判断しても朗報でしょう。
私が散見した保守系ブログでは賛意が圧倒的でしたから本記事のような否定的感想に危惧することはなかったのですが、まあ、あっても題名だけで飛ばす(笑
 確かに代表的保守派の重鎮である某論者の悲観論(これは読了)もありますが 私は管理者様のご見解のほうが現実論として勝利に近づくと確信してます。
 安倍さんが何故現首相でもないのに総選挙で圧勝した一ヶ月後の世論調査(誰が今首相に相応しいか)で現首相と1%位の僅差であるのか また次期首相ではだれが相応しいかで他のポスト小泉を寄せ付けないダントツの支持率50%以上なのか?
マスコミは肝心なところの分析をしませんが国民は深い所で理解してるのだと思います。
 「諸君」12月号で「逃げる気か朝日」の題で安倍氏自身のインタビューが掲載されてますが「朝日捏造報道」記事が出る前 年頭に公安関係者から事前に情報があり「北朝鮮シンパ組織から肉体的な攻撃でなく、マスコミを通じた謂れもない攻撃があるかもしれない。気をつけてください」と忠告されてたと告白してます。さらに大マスコミと闘うに当たっての相当なプレッシャーがあったこともです。毅然とした姿勢を通す!言葉は簡単ですが言行一致させることの非情さと困難さを思うとき、また常に北朝鮮が指弾してきた政治家はだれであったかを考える時
今 官房長官就任を非難する愚挙は拉致問題解決を遠のかせ、北を利するだけとしか私には思えないですね。
彼以外のだれが政権の要職にあって毅然とオペレーション化されたマスコミに戦い得てるか!?

ナンバー2の官房長官という地位は情報が集約され 特に小泉政権になって官邸主導型になり此れまで以上に全方位的に権力発揮されることも多いでしょう。彼ならきっと国民に話せる範囲でうまく情報伝達もしてくれると期待してます。
昨年11月に安全保障に関するフォーラムで初めて安倍さんの発言を生で聴いてより以来今年も何回か直接講演を聴く機会がありまして内容は様々であるのですが
話し終えた時の行為とか・・仕草に横田さんのお母様が安倍評をして「情のある方」と語られていますが実感する場面も目にしました。
国民の多くが期待してることはとても重いですがそれを力に換えて
頑張ってくださると信じてます!
「拉致問題」の解決の仕方にこの国の未来が託せるのか否かが問われてるのです。
 とにかく「全員奪還」!!!
Posted by K.Y. at 2005年11月11日 16:06
★K.Y. 様

ようこそ、貴重なご意見をありがとうございました。

>子育ても終わった主婦には 可哀相と思うあり方が違うのです。拉致された方への同情、北朝鮮への怒り・・ではなく 横田さんの母上に対する気持ち「あの人達ってあれで一生終わってしまうのよね・・」毅然として奪還の行為ができない国への疑問とかじゃない・・

>私の友人が特殊ではなく普通一般はこんなところではないですか? でもこんな人たちを引き込んで拉致問題に関心を持ってもらい「拉致問題解決無くして国交回復は無い!」その解決とは「全員奪還」にある!との世論を形成するには相当な覚悟と戦略が要ります。

残念ながらこれが日本の現実なのですよね。
何とか一人でも多くの人に拉致問題の真相を知ってもらいたいと微力ながら奮闘をしているのですが、集会の動員などを見るにつけ、拉致問題への正しい理解が世間一般に広がっているとはとても思えない。
日本人の国家観の欠如は深刻な問題だと思うのですが、それを言い出せばこれも政治的発言と敬遠されてしまう。
といって日本が国家として自立するのを悠長に待つ時間など家族にはありませんしね。

救出運動をイデオロギー的に振り切れた物にしないためにも、関心度の薄い一般大衆にも分かりやすい言葉で拉致についての共感を求めるより他無かろうと思うのです。
地道な様でも結局それが一番手っ取り早い広報作戦ではないのか?と、最近は感じております。
「あの人達ってあれで一生終わってしまうのよね・・」レベルの人でも理解・共感できる言葉で訴えて、支援の輪に加わってもらう事を策として真剣に考えねば、支援の輪も尻すぼみになります。
残念ながらそういう傾向はじわじわと支援の現場に表れているようにも思います。

活動が長引けば長引くほど疲れてリタイアする人が出る。
苛立ちを募らせて先鋭化の道を突き進み、やたらと周囲に敵を作りたがる人も出る。
それに嫌気を差してますます引く人が出るという、悪循環です。
家族は当事者なのですから、どんなに冷静になれと言っても無理があります。
その分周りの支援者が冷静に策を練るべきなのですが、端から見ていてどうも救う会の内部にそういうポジションを務める存在がいないんですね。
それが支援の輪が徐々に尻すぼみになっていく理由の一つなんだろうな、と。

> 「諸君」12月号で「逃げる気か朝日」の題で安倍氏自身のインタビューが掲載されてますが「朝日捏造報道」記事が出る前 年頭に公安関係者から事前に情報があり「北朝鮮シンパ組織から肉体的な攻撃でなく、マスコミを通じた謂れもない攻撃があるかもしれない。気をつけてください」と忠告されてたと告白してます。さらに大マスコミと闘うに当たっての相当なプレッシャーがあったこともです。

これはまだ存じませんでした。
貴重なお話をありがとうございます。
そうですね、北朝鮮を取り巻く状況は少しづつですが厳しい物へと変わりつつあります。
その中で何とか生き残りを図ろうと思えば、敵も周到に策を講じてくるのは道理。
特に政治の世界とマスコミ、教育界には北朝鮮シンパが相当数食い込んでいるのは良く知られた話です。
おかしな情報に振り回されないよう、メディアリテラシーの能力がますます強く問われる時代ではある。

今日付けのエントリーで少し触れておりますが、総連も今は相当に先鋭化が進み、危険な状況になりつつあるのだそうです。
となれば組織の維持の為には敵もなりふり構わず、二の矢三の矢を打ち込んでくるのは当然の事。
安倍さんの存在は敵にとって目ざわり以外の何物でもないでしょうから、これからも彼に対する攻撃は増えることはあっても止む事は無いのでしょう。
彼の政治家としての力量に期待するのであれば、北朝鮮シンパのあらゆる攻撃から世論の力で安倍さんを守るくらいの気迫が無くてどうするのか?
そのための世論形成に尽力するならともかく、官房長官就任を単純に裏切り者呼ばわりして支援の輪に波風を立てるなど、どう考えても支援のあり方が完全に逆立ちしています。
視野狭窄もここに極まれり!です。

>「拉致問題」の解決の仕方にこの国の未来が託せるのか否かが問われてるのです。
 とにかく「全員奪還」!!!

強く強く同意です。
つまらない事で、内輪もめなんかしている場合ではない。
私たちの敵は小泉などではない。
金正日とそれに連なる北朝鮮シンパである事を忘れてもらっては困りますよね。
Posted by ぴろん at 2005年11月12日 00:32
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。