2007年08月02日

07.7.20 後藤光征氏(元海上保安庁警備救難監)3 戦略情報研究所講演会より

07.7.20 戦略情報研究所講演会 講師:後藤光征氏(元海上保安庁警備救難監)

『後藤光征氏の講演 その3』



不審船・工作船事件
 平成13年9月11日に発生した「米国同時多発テロ事件」では、多くの命が奪われ、我が国の国民にも大きな衝撃を与えました。このため海上保安庁は、米海軍施設、原子力発電所等テロの標的となりうるものの周辺海域に巡視船艇・航空機を配備して警備を強化しました。

 このような状況下の12月22日「九州南西海域における工作船事件」が発生し、海上保安庁航空機による発見から、巡視船による追跡、停船命令、威嚇射撃、強行接舷挟撃、工作船からの自動小銃・ロケットによる攻撃、正当防衛射撃そして工作船の爆発・沈没に至るまでの間の現場の映像が長時間に亘り放映され、巡視船の被弾・破壊、海上保安官の負傷、工作船乗組員の死亡等、国民にとって衝撃的な事実があらゆる報道機関によって内外に伝えられました。
 さらに、海底から引き上げられた工作船の実態は、我が国周辺海域に武装した極めて特異な構造の工作船が徘徊し、拉致、薬物の密輸、密出入国等重大な犯罪を行なっているという不安感を国民に植え付けました。

 この事実は、工作船による拉致の手段を明らかにすると共に、この後の我が国における危機管理体制の在り方を大きく変えることになりました。

 この事件に海上保安庁はどう対応し、我が国の安全保障に如何なる意義を与えたのでしょうか。

 12月21日は、いわゆる花金でした。このとき官公庁は予算案の内示が一段落して、22日,23日は土日、月曜はクリスマスイヴという状況で、世間は非常に華やかで賑わっていたと記憶しています。海上保安庁はこの頃激増していた麻薬・覚せい剤の密輸、蛇頭による密航の取締りに加え、9,11テロの後の沿岸警備で、現場は疲れきっていました。土日も花金も無関係という状態だったと思います。22日の午前1時10分過ぎに宿舎で、本庁オペレーションからの不審船情報を受けた私が「手配はいいか」と聞くと、電話の向こうの保安官からは「全管区の出動を指示している」「しかし、海上は大時化で、日本海側管区の巡視船は遅れるかもしれない」と答えました。この夜、東京の上空も強い北風が吹き荒れていました。私はすぐに出勤し危機管理センターへ入りました。この時既にオペレーションには警備救難部の残業組が入り、本庁職員の非常呼集、全管区本部に対する出動指示等マニュアルに沿って淡々と進められていました。
この段階で、北朝鮮工作船にどう対応するべきか、大筋で海上保安庁は腹を決めたことになります。センターに詰めた職員はさしたる混乱も無く、この段階ではまだ不審船であった工作船の拿捕を目指して作業を進めた訳です。

 この工作船拿捕に関する海上保安庁の一連の行動は、対処方針に則ったものでした。事前に準備されていた方針に基づいて巡視船と航空機、大阪特殊部隊が出動して停船させるための手続きを行い、威嚇射撃を船体まで行なって、工作船の武器による抵抗に対して正当防衛を行なったのです。自爆した後の乗組員の身柄救助については、韓国で拿捕された北朝鮮工作船の情報を得ておりましたから、保安官と共に自爆される恐れが極めて強いため、本庁から現場に対し安全を確保した上での工作船乗組員の身柄確保を指示しました。
 
 この後、海上保安庁は多数の国民や内外の広範な関係者から、数え切れないほどの賞賛と労いと今後の期待の声を頂きました。捜査と以後の工作船対策を進める過程でしばしば問われたのは、「あのような危険な事態に至ることを予測していたのか。何故あのような手段を執ったのか」と言う事でした。海上保安官よくぞやった、という反面、殉職者が出なかったのが不思議なくらい危険な行動を何故執ったのだろう、という国民の戸惑いも感じました。

 漁船を装った工作船の立入検査を行うには、船体に威嚇射撃をしなければ結局逃げ切られてしまうということが、能登半島沖事件でも明確になりました。しかし、船体に威嚇射撃をすれば必ず武器による抵抗がある。巡視船側に最悪の事態も起こり得る。これが工作船拿捕作業の唯一の関門です。
 あの夜、現場に立入検査の指示を出す時点で、我々には海上保安官の安全を確保した上で拿捕できるという確信がありました。この作業で、巡視船の安全を図るには、工作船の武器の射程外、遠距離から船体に向けて威嚇射撃を行なえばよいのです。しかし、遠距離から射撃すると、着弾のばらつきがあまりにも大きくて、工作船の乗組員の身体に危害を与える恐れがあります。このため、接近もやむなしと言う状態になったのです。けれどもこの時点で、安全が確保されると信じた理由は、時化です。当時、海上は冬の季節風による大時化で4〜5メートルの波がありました。この中では工作船が持っている手動式のロケットや機関銃は、接舷するほど接近しても正確な照準は捉えられません。我々は長年巡視船の武器で訓練をしているのでこのことが直感的に判っていました。一方、工作船に比べ2隻の巡視船に装備された遠隔自動照準付きの20ミリバルカン機銃は、巡視船の船体が激しいピッチング、ローリングに遭っても、目標をピタッと狙って正確な射撃ができることが判っていました。これは、工作船の方からすれば、巡視船の海上保安官を攻撃した場合、反対に自分たちも致命的な打撃を被ることを意味し、逃げ切りか、攻撃かという二者択一の選択肢以外は与えられていなかったであろう工作船が、最後まで中国船を装ったのもこのためだろうと思われます。

本庁で、この事件の処理に参画した私は、第十管区本部長を指揮官とし、工作船と対峙している現場第一線の次のような強い意志を感じていました。

 武器による抵抗を予測しながら、工作船を追跡中の指揮官と4隻の巡視船と大阪特殊警備隊の海上保安官の意思を支えていたのは、「これは自分たちの任務だ。今回工作船を取り逃がせば、国民は海上保安庁に対して絶望し、そしてそれは、我が国の安全保障体制に対する絶望に変わって、その次に来るのは想像し難い国家への不信感」という思いです。
 第一線の海上保安官の意識を突き動かして、この様な毅然とした勇気ある行動をとらしめたのは、拉致と組織的な覚せい剤大量密輸という犯罪に対し、海上の治安を司る職業人としての「許せない」という素朴な正義感であったと思います。

 国民の安全を守る責務を職業としているものが、凶悪な犯罪者と対峙したとき「自らの安全を優先し、国民の安全を蔑ろにする事への、恐ろしいほど素朴な罪悪感」を持っていることが、この様な凛然たる姿を可能にしたのです。

 この様な現場第一線における海上保安官が持つ使命感は、領海警備・経済水域取締り、海賊取締り、欧州からの核燃料輸送護衛、蛇頭・暴力団による密航の取締り、内外の無法組織による麻薬・覚せい剤・拳銃・船舶密輸などの犯罪取締まり、国内業者と暴力団による悪質密漁の取締まり、シージャック・テロ・船内暴動を対象とした数々の警備出動、対馬海峡等国境沿岸での外国船密漁取締り等の全国周辺海域での実践で鍛えた能力、たとえば夜間の大時化の現場での相手との駆け引き、拿捕のための操船技術、乗り込んだ船舶の甲板上での逮捕制圧術、事実を証拠化する捜査、爾後の被疑者の取調べ等の事件処理、犯罪の背景にある国内外の政治・経済・社会情勢の分析等から、海上保安官として法を執行するということは、自らに危険を伴う任務でありことの覚悟と、海上の治安を維持し国民の生命・財産を守る警察任務を、国民から負託されている唯一の機関であることの深い意味を飲み込んで、各人の経験の中で醸成されたものです。

 多くの実績の中から、外国人に関するものを挙げると、漁業水域暫定措置法に基づき200海里内の海域における漁業取締りが始まった昭和52年以降の外国船舶取締りでは、領海・経済水域における外国船舶立ち入る検査件数約24万3千件、外国船舶・外国人に係る殺人等海上暴力事犯や密出入国、漁業、公害法令違反等の検挙件数約5千5百件、これらに係る罰金・担保金の合計約7億円であり、最近5年間の薬物・銃器事犯の摘発では、覚せい剤・大麻等の押収量0.5トン、銃砲37丁となっています。また、国際テロを未然に防止するため、国際船舶・港湾保安法に基づき、平成16年7月1日以降昨年末までの間で、外国船約17万6千隻の入港事前通報を受理し、その船の保安措置の実施状況をチェックすると共に約1万4千隻に立入検査を行い厳格な入港規制を行なっています。

この様な、恒常的な警察業務処理が、工作船事件の際、2昼夜に亘る追跡の間、大時化のため激しくピッチング、ローリングする巡視船内で、食事も休息もとれずに、人間の気力・体力の限界にありながら、工作船の武器と対峙するための配置について、指揮官の命令を確実に実行することのみに専念し、巡視船「きりしま」の身を挺した強行接舷により日本政府の強い意思を示し、更に挟撃しようとした巡視船「あまみ」に対して加えられた自動小銃・機銃の激しい乱射の中、ビデオカメラで冷静沈着な採証撮影を行い、巡視船「いなさ」が適正的確に実施した正当防衛射撃を正確に録音録画し、そして、上空で監視中の海上保安庁航空機からロケット弾の攻撃痕を的確に撮影するという行動を海上保安官に執らせ、海上保安庁の行為の正当性(日本国政府の行動の正当性)を国内外に示すことを、可能にしたのです。

巡視船・海上保安庁航空機とその対象船舶という当事者以外が存在しない海上では、法の手続きに則った適正な実力行使と、これを証拠化する高い能力が必須であり、これを欠く場合には直ちに国内外の非難を招き、場合によっては国際紛争を招きかねないものであり、主権と国益を守る領海・経済水域の警備業務には、確固たる使命感と高度な処理能力を持った海上警察機関が必要とされる所以です。

 海上警備の特殊性の一つは、外国領海という追跡権に対する主権の壁が存在することにあり、このため、巡視船にとって相手船の行動が読めないという不確定要素の存在する状況であっても、法の手続きを踏んで現行犯で拿捕するほかに選択肢は無いということであり、海上に於ける警察業務の厳しさと困難性が此処にある、ということです。

 海上保安庁が外国船に対して武器を使用する場合は、厳格な法の手続きを踏むのは当然として、関係国に与える国際的影響を考慮すると、工作船対処のように他に手段が無い場合であり、この様な実力行使は、軍事紛争と海上保安事件の境界を挟んで、海上保安側の最も端にあることから、一歩対応を違えれば、軍事紛争へ発展する可能性が高いのです。だからこそ、我が国の安全保障体制の領海線と二百海里経済水域の外縁にはめられた緩衝装置、車で言えば外からは見えないショックアブソーバの役割をする海上保安官が、自己の危険を顧みず水平線の遥か彼方の国民の知らない洋上で、黙々と領海警備・経済水域警備に従事し、我が国周辺海域の治安を維持し、平時の事件が軍事紛争に発展しないように現場で対処してきているのです。

この事件が、我が国の安全保障に与えた意義は、
1 工作船の様な武装不審船に対する抑止力を確立したこと
2 拉致の手段である工作船を押収し、北朝鮮が拉致・覚せい剤密輸を認めたこと
3 日本周辺の治安・安全保障上の問題が顕在化し、安全保障体制の見直がされたこと
   我が国周辺海域に武装した極めて特異な構造の工作船が徘徊し、拉致、薬物の密輸、密出入国等重大な犯罪を行なっているという不安感が現実に立証されたため、内閣官房、海上保安庁、防衛庁、外務省、警察庁等関係省庁の危機管理体制の見直しを行い、工作船対応のみならず我が国周辺海域と国内における危機管理体制全般の強化を進めるとともに、不審船・工作船対策として、巡視船・航空機などを強化したこと
であると考えます。

最後に
海上警備の課題について、お話します。
海上保安庁は、領海・経済水域の現場第一線で、巡視船艇・航空機等の部隊を運用して、外国船舶の監視、犯罪の取締り等を行い我が国の主権と国益を守ることを国民から負託されています。
海上保安庁の現場第一線の海上保安官は、政府の方針に従って、外国船の監視取締りを行い、必要な場合は外国人を逮捕しその船舶を拿捕します。従って、海上保安庁の実力が現場の巡視船艇・航空機等によって示され、その能力の限界が我が国の海上における警察業務の処理限界となることが多く、また、これは、我が国政府、世論、法律、相手国・現場にある外国船の対応によって、事案毎に異なった対応となります。

このような海上警備に従事する
巡視船は        122隻
巡視艇は        234隻(174隻は小型)
            特殊業務艇        76隻  計  432隻
            航空機          72機
海上保安庁総予算    189、081百万円

     総定員     12,411人            (平成19年度末)
となっております。

全国の海上保安官は、この体制で、海上保安庁本庁の指揮の下、全国11の管区において、 国家公務員の国民への奉仕義務、海上保安官の危険回避を認められない職責、海上保安官が持つ使命感に基づき、わが国周辺海域の治安を維持し、平時の事件が軍事紛争に発展しないよう現場で対処しております。

 6月2日青森県深浦に入港した北朝鮮人の事案では、小さな木造の船が監視網にチェックされなかった訳ですが、広大な海洋の中でのこの種の船の発見の困難性は置くとして、先に話した広大な監視対象海域と長い海岸線を持つ海上保安官の負担について、少し数字化すると、

外国海上保安機関との比較では
                  海上保安庁   米国CG    韓国海洋警察
職員1人当り海岸線延長       2.8km  0.4km    1.2km
職員1人当り経済水域面積     363平方km 166平方km  46平方km

国内治安機関との比較では
                海上保安庁      警察      海上自衛隊
定員 (人)        12,441    288,451   45、812
                         (1/ 23)   (1/4)
    職員1人当り国民数     10,364        442    2,788
                            (23)    (4)

予算           1、891億円  3兆6,046億円  1兆892億円
                        (1/19)    (1/6)
となっており、
予算・定員について、まだまだ国民の皆様の理解とご支援が必要であると思います。

九州南西沖工作船事件の際は、様々な状況から、工作船を拿捕できると確信して行動したものですが、工作船からの激しい抵抗で被弾した3隻の巡視船のうち2隻は、正当防衛手段である武器と防弾装備が工作船対応機能を持たないにもかかわらず、武器による抵抗が必至の拿捕作業を命じなければならなかった、海上保安庁の窮状を考えるとき、海上警備の現場の実態は、国益、相手国との関係、人権、警備手法の秘匿、捜査上の秘匿から、総ての事実が公表されるものではなく、報道機関にとっては物理的に取材困難な場合が多いということ、海に対する国民の関心の低さもあって、日本の安全のために今、水平線の彼方で何が行なわれているのか、そのためには何が必要かについて、国民の間で語られることは少なく、したがって海上保安官の応援団も極めて少数の方々であり、工作船に対応可能な巡視船・防弾等の装備も乏しかっと思わざるを得ません。

その意味で、九州南西沖工作船事件の後、日本財団の強い意思で「海守」が発足したことは、海上保安官にとって多数の理解・協力者が増えることとなり、沿岸警備の面からも国民にとっても心強いことだと思います。

現在、海上保安庁は、切実な問題に直面しております。今後、更に増大し複雑化する海上警備の実態を考えるとき、海上保安官にとって、海上保安庁の体制が米国コーストガード、日本の警察、海上自衛隊に比べると、明らかに重い負担であり、確固たる使命感でのぞんでも、国民の期待に十分に応えられる体制が整っていないのではないか、といわざるを得ない現状、例えば、巡視船の46%、巡視艇の28%、航空機の41%が、耐用年数を経過し、深刻な老朽化問題に直面していることなどです。

それでも海上保安庁は、一人の海上保安官が、海洋権益の保全、犯罪の監視取締り、海難救助、海洋汚染の防止、船舶交通の安全等、何役もこなしている極めて効率的な組織として運用されていることを国民の皆様に理解して頂き、後ろから海上保安官のご家族とともに、支えて応援していただきたいのです。

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※このエントリーのテキストは、調査会の荒木和博氏及び講師の後藤光征氏の同意を頂き、当日の講演原稿をそのまま転載したものです。

07.7.20 後藤光征氏(元海上保安庁警備救難監)2 戦略情報研究所講演会より

07.7.20 戦略情報研究所講演会 講師:後藤光征氏(元海上保安庁警備救難監)

『後藤光征氏の講演 その2』



外国漁船による不法操業の取締り
 九州に基地を置くある1,000トン型巡視船は、日本海から対馬海峡、五島列島沖の東シナ海の領海・経済水域の監視取締りを主任務としておりました。対象となる外国漁船や不審船は、夜間、しかも深夜から早朝に掛けて侵入してきます。夕刻、数百隻に上る対馬周辺の日本漁船群・外国漁船団が煌々と集魚灯、航海灯を点灯して活動を始めると、海上保安官は巡視船の舷窓を閉じて、航海灯を消し全ての灯火が外に漏れないようにし、肉眼では巡視船が全く闇の中に溶けるようにして、全速力で対馬の北から、五島列島の沖までレーダーと肉眼の見張りを厳重にして、衝突事故は絶対に起こさない、しかし少しの異常な動きも見落とさないという態勢で、一晩で領海線の内外を哨戒します。覆面の1,000トンの船が、19ノットで対馬海峡の通航船と漁船集団群の中を、相手に気づかれないように旋回航走し密漁船・不審船を確認するということが、いかに緊張と覚悟のいる哨戒か、夜の対馬海峡を航行した経験のある方なら判ると思います。何も不審なことが無く緊張の一夜が過ぎると海上保安官達は「今夜の対馬海峡一帯は治安が保たれたか」と自問自答し、次の当直に引き継ぎます。
 この様な哨戒の結果、多くの完全無灯火で操業する外国漁船の領海侵犯操業を発見し、暗闇の中で激しい公務執行妨害を受けながら強行接舷して停船させ、まさに身の危険を犯して拿捕し、また国際海峡でしばしば起こる外国船が絡む不審事象を確認し、海上治安機関として蓄積しているのです。

 ある夜の哨戒は、対馬海峡が200−300mの視界の深い霧でした。夜明け前、上空が少し白み、海上はまだ暗く深い霧の中で、レーダー監視員が「2〜3海里先の船影が、中型トロールの動きをしている。」と報告。船長は直ちに総員立入検査・検挙体制を発令。
この海域でこのような動きをするのは外国の密漁底引船以外は無いからです。巡視船の船首先端部、船橋等に見張り監視・ビデオ採証担当保安官を配置し、巡視船に積んでいる高速ボートに立ち入り検査班8名が乗り組みいつでも発進できる準備をし、レーダーで相手の動きを見ながら静かに接近しました。200mくらいの距離で濃い霧の中に、ぼんやりと船の形が見えましたが、相手船の明かりは一切見えません。真っ暗闇の中で明かりの無い2つの船影が次第に近づいていく状態です。突然、船首の監視員から「火花2箇所。グラインダーの切断音。エンジンの加速音。前方船影のもの。」と報告。船橋で指揮していた船長にも火花とチャリン、チャリンというグラインダーでワイヤーロープを切断する音が聞こえてきました。引いている網を漁船の上に引き上げていたのでは巡視船に捕まるので、一瞬のうちに2本のワイヤーロープを切断して網を捨て、身軽になって逃げるためで、密漁のプロの手口です。
 直ちに拿捕体制に入り、高速ボートを発進させ、2隻での挟み撃ちに入りました。相手は、200トン位の中型底引きトロール漁船。国籍を示すものはありませんが一目瞭然、韓国船による領海内侵犯底引き密漁です。相手も必死で、最大速力でジグザグに逃げ回ります。巡視船は1、000トン、長さ70m、速力35km時。巡視船の甲板上には完全装備の立ち入り検査班が一瞬でも接舷したら、密漁船の甲板に飛び込もうと身構えています。しかし、大型巡視船と小回りの効く漁船では、逃げ回るほうが断然有利です。高速ボートの立ち入り検査班は、ジュラルミンの大盾を構えて身を守りながら接舷した瞬間飛び移ろうと機会を窺っていますが、密漁船から高速ボートに向けて乾電池、ビン、ビス、ナット、などあらゆるものが投擲されて、大盾がカンカン音を発てているのが聞こえ、なかなか挟み撃ちができません。其の内韓国の領海が近くなりました。此の時、応援のため、高速で小回りが利く対馬海上保安部の巡視艇が夜明けの海面をすべるように接近して来ました。これに気づいた密漁船は、このままでは拿捕されると思い最後の逃走方法と思ったのか、突然、平行して走っていた巡視船の直前に直角に突進し、反対側に逃げ出そうとしました。巡視船の船長は、瞬間、避けきれないと判断し「後進全速」を令しました。時速35キロで走っている1,000トンの船体が直に停止することはできません。船体が壊れるほどの急激な振動と同時に船橋の不安定なものは全て落下し、乗組員は皆前のめりになり、急激にスピードが落ちましたが、密漁船は、なお前を潜り抜けようと全速で突っ込んできました。密漁船の船橋のすぐ後ろの船体が少し低くなった所に、巡視船の船首が当たり、そのまま食い込んで、ゆっくりと密漁船を横に押しながら急激に速力が落ち、停止しました。現場にいた海上保安官は皆、一瞬、密漁船は巡視船に直角に圧し掛かられて、横倒しになり、転覆すると思ったそうです。密漁船の乗組員全員が甲板上で呆然と巡視船のへさきを見上げていました。幸い、韓国船は、フレームが少し曲がっただけで、怪我人も、損傷も無く、拿捕しました。
 誰も意図して、このような状況を作り出したものではありません。深夜から早朝に掛けた領海侵犯で、他国の資源を密漁しようとする者は必死です。韓国の領海に逃げ込んでしまえば絶対安全となるわけですから、逃げ方も操船の常識の範囲外にあります。捕まえる側の巡視船の保安官も全員その覚悟で、それでも人身事故は双方に絶対出さない、という決意と、経験からくる自信と、何よりも海保が行動することによってのみ、両国間の紛争の原因が減り、この海域の治安が保たれるという使命感が無くては、この任務は果たせないのです。
 この頃、対馬海峡の領海侵犯密漁取締りでは、石、出刃包丁を投げつけられるだけではなく、立ち入り検査のため飛び乗った海上保安官が海上に突き落とされる事件も起きており、極めて困難で危険を伴う外国密漁船の取締りが、厳格に行われていました。

公海上外国船内暴動
 韓国からオーストラリアに向かう8万トンのパナマ籍鉱石運搬船「EBキャリア」において発生した、フィリピン人乗組員が英国人幹部船員に対し待遇改善を求めた船内暴動事件では、船長からの切迫した救助要請無線が、直接海上保安庁に入りました。公海上の事件であり、出港地、仕向地、船舶所有者、乗組員の国籍等全て我が国との関係は無かったのですが、現場が那覇の南100海里で、付近に暴動を鎮圧できる関係国の実力部隊が存在せず、台風の発生も懸念され、英国人の生命に危険が切迫している状況下、関係国から日本政府に救助要請が出され、巡視船隊と大阪の特殊部隊が派遣されました。救助要請は、「刃物を突きつけられ、幹部数名が船長室に逃げ込み、入り口にバリゲートを作っているが、斧でドアを破壊している。銃の有無はわからない。」と言うものです。
現場では、暴動者に対する母国語と英語の無線による説得。武器による抵抗に備えて、ヘリコプターから海面上18メートルの高さの「EBキャリア」の甲板へ完全装備の特殊部隊を降下させ、多数の完全装備の保安官を送り込み、その周囲では巡視船隊による威圧を行い、説得を受け入れれば両者の仲裁を行なうが暴動を続ければ実力で制圧する旨通告し、硬軟両方の交渉を行いながら、海上保安官の部隊が船内の暴動区域に入り込んで両者を隔離し、暴動の原因を調査し、痕跡を証拠化し、那覇港での両国の関係者による話し合いを確約させ、保安官の警備の下那覇港に回航させ、死傷者を出すことなく解決しました。これは国際的視点での治安確保が求められた顕著な事例ですが、実際に海上保安官が鎮圧のため実力を行使せざるを得なかった場合の法的問題や、複数国間の問題を包含した「今ここにある人命の危機」に対して、海上保安庁が蓄積した現場の経験を下に様々な難問を乗り越えながら、人命の救助を行なった一つの例です。
日本はどの点からも当事国では無かったが、海上という特殊性から発生した、緊急かつ人命に係る重大な国際協力事案として、当事国の要請を受け対応しました。
海に国民生活を委ねている我が国は、今後もこの様な事態が発生した場合には、海上保安庁の蓄積した経験を活かして、的確に対応する必要があります。

海賊対策
マラッカ海峡における海賊は以前から在りましたが、我が国において大きな関心を呼んだのは、平成10年日本の会社が所有する便宜置籍船「テンユー号」海賊事件と同じく11年、便宜置籍線「アランドラ・レインボー号」海賊事件です.国際商業会議所国際海事局に報告された、平成18年の東南アジアにおける海賊の発生件数は、17年の122件から88件と減少しており、マラッカ・シンガポール海峡における発生件数は、19件から16件と減少しています。けれども、17年3月マラッカ海峡を航行中の日本籍タグボートが、武装集団に襲撃され、日本人2人を含む乗組員3人が誘拐されるという事件が発生した外、19年4月インドネシアベネット湾で、外国貨物船が10隻の高速ボートの武装集団から発砲を受けるなど、依然として凶悪な事件が発生しています。
東南アジアにおける海賊の発生件数は、引き続き減少傾向で、これは、海上保安庁と沿岸国海上保安機関の連携協力体制の強化と沿岸国海上保安機関自らの積極的な取り組みの成果によるものと思います。
海上保安庁では、巡視船の東南アジア派遣、現地での人材育成、わが国と複数国間での連携訓練、「アジア海賊対策地域協力協定」に基づく情報ネットワークの構築、「東南アジアにおける海上セキュリテイ・海賊セミナー」、海保大への留学生の受け入れなどを実施しています。
協定に基づきシンガポールに設置された情報共有センターには、海上保安大学での留学を経験したフィリピン沿岸警備隊員が勤務しているなど、海上保安庁の人材育成は確実に成果を挙げてきています。海上保安庁では、今後も積極的に東南アジア各国海上保安機関の人材育成支援を行っていきます。

・・・その3へ続く・・・

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※このエントリーのテキストは、調査会の荒木和博氏及び講師の後藤光征氏の同意を頂き、当日の講演原稿をそのまま転載したものです。

07.7.20 後藤光征氏(元海上保安庁警備救難監)1 戦略情報研究所講演会より

07.7.20 戦略情報研究所講演会 講師:後藤光征氏(元海上保安庁警備救難監)

『後藤光征氏の講演 その1』

わが国における海上警備の現状と問題点

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海上保安庁は、昭和23年に創設されて以来、多様かつ複雑化する日本の海の情勢に対応するために、様々な対策を採ってきました。
昨今の日本の海は、排他的経済水域や尖閣諸島周辺海域における海洋権益の保全、テロの脅威、不審船の徘徊等様々な問題が散在しています。
四海を海で囲まれたわが国は、古くから様々な海の恩恵を受けて繁栄を続け、近年、海洋に対する国民の関心が高まる中で、このような問題は極めて憂慮すべきことであり、今や皆さんが海洋国家日本を考える上で、身近な問題として捉えられていると思っております。
海からの多くの恩恵の主なものには、経済活動として漁業、海底資源、海上輸送、マリンレジャーなどがあります。
輸送活動を見れば、
わが国の海上貿易量 約9億4999万トンは世界の約14パーセント
国際貨物の約71パーセント(金額ベース)
     約99パーセント(重量ベース)が海上を利用
食料の約60パーセントを輸入に依存
エネルギーの約90パーセントを輸入に依存など
日本の海が国民生活に密着していることがわかります。

豊かな恵みを受ける海も、一方では世界でも屈指の厳しい海洋気象の海でもあります。皆様は、春一番、夏から秋の台風、冬の大陸からの季節風によって起きる海難のニュースに頻繁に接しております。

恩恵を受ける海と、国民が生活する領土との関係については、わが国の
領土の面積         約38万平方km           世界第61位
領海の面積         約43万平方km
領海・排他的経済水域の面積 約447万平方km(領土の12倍)  世界第6位
体積 約1,580万立方km        世界第4位          
海岸線の延長        約3.5万km            世界第6位
    国の面積当たりの海岸線延長 約92m/平方km      世界第1位
    国の人口当たりの海岸線延長 約27m/百人         世界第1位
となっております。
つまり、わが国は、世界でも有数の広くて深くて海岸線の長い海に取り囲まれている訳です。

この海の利用については、国連海洋法条約によって、領海や排他的経済水域の定義、沿岸国の権利や義務、大陸棚や深海底の資源開発、船舶の通行に関する様々の取り決めがなされています。
国連海洋法条約は、H6年発効、平成16年に145カ国が批准しました。
  我が国は、領海12海里を採用。(領海及び接続水域に関する法律第1条)
・領海の地位は
   沿岸国の主権が上空(領空)、海底、海底の下まで及び生物・鉱物資源の採取に独占権。完全な主権が及ぶ内水とは異なり、沿岸国の平和、秩序、安全を害さない限り無害通航権あり。
  ・排他的経済水域200海里(限定的、機能的な管轄権)
   天然資源の探査・開発等に関する主権的権利。科学的調査に関する管轄権。海洋環
   境の保護・保全。
などについて取り決められています。

このような環境の下、わが国周辺の海洋を巡る諸問題として、
  尖閣諸島、北方領土、竹島の周辺海域警備
  排他的経済水域内の外国海洋調査船監視
  外国漁船不法操業取締り
  東シナ海エネルギー資源開発
  東南アジア航路の海賊対策
  不審船・工作船警備等があります。
これらの諸問題について、海上保安庁がどのような業務を行っているか、事例を加えながら紹介します。

尖閣諸島領海警備
尖閣諸島は、沖縄群島西南西の東シナ海に位置し、魚釣島、南小島、北小島など5つの島と3つの岩礁からなり、魚釣島からは、石垣島まで170km、沖縄本島まで410km、台湾まで170km、中国大陸まで330kmの距離があります。この帰属については、日本はわが国の領土であるとして、問題としていませんが、昭和46年以降、中国、台湾が領有権を公式に主張し始めました。それは、昭和43年日本、韓国、台湾の海洋専門家が国連アジア極東経済委員会の協力を得て、東シナ海海底の学術調査を行った結果、東シナ海の大陸棚には、豊富な石油資源が埋蔵されている可能性があることが指摘されたためです。さらに、平成8年7月に国連海洋法条約がわが国について発効し、排他的経済水域が設定されたことに伴い、台湾・香港等で漁業活動への影響が生じたことに対する不満や、北小島に日本の政治団体が灯台としての構築物を設置したことを背景に、「保釣活動」と呼ばれる領有権主張活動が活発となり、尖閣諸島周辺の領海に侵入するなどの大規模な活動が行われる様になりました。近年では、中国において新たな活動団体が台頭し、急激に勢力を拡大し、領有権主張活動を展開しています。平成16年には、巡視船の間隙を縫って中国人活動家7名が魚釣島に不法上陸する事案が発生しました。18年には、台湾と香港から活動家の乗った船が出港し領海内へ不法侵入しました。

海上保安庁は巡視船等の部隊を派遣し、関係省庁とも協力して警備し、島への上陸を阻止しています。
尖閣諸島は、遠隔地の上、台風の常襲海域という地理的条件にあり、かつ付近に巡視船艇の避難港、補給港が無いため、大規模な警備を行うには、全管区から巡視船艇・航空機を長期に亘り派遣する体制をとらざるを得ないこと、巡視船隊が活動家の船舶を規制・退去させる際に、荒れる海上で巡視船と活動家船舶が衝突・接触した場合には、小さな活動家船舶が大きなダメージを受ける可能性が大きいため、双方に人身事故が起きないように慎重な規制をする必要があることなどから、尖閣諸島領海警備は、極めて大規模、かつ慎重な体制で行うことになります。海上保安庁は、政府方針に基づき常時周辺海域に巡視船を配備し、航空機による哨戒を行っていますが更に警備体制を磐石とするため、新しい巡視船の整備などを進めています。

北方四島問題
わが国固有の領土である北方四島を不法占拠しているロシアは、これらの島々の沿岸12海里を自国の領海と主張しています。北方四島周辺海域は、水産資源の豊かなことで世界的にも有名な海域であり、納沙布岬から貝殻島まで3.7km、一番遠い択捉島まで144kmしか離れていないことから、小型漁船が容易に出漁できる距離にあります。ソ連時代から現在に至るまで、ソ連・ロシアが主張する領海において無許可で操業したなどとして、拿捕される日本漁船が後を絶たず、平成14年から18年までの間に21隻245人が拿捕されています。18年8月には発砲を受け昭和38年以来となる死亡者が出ています。このため、海上保安庁は、ロシア連邦保安庁国境警備局との間で、累次に亘る協議をし、18年12月、同種事案の再発防止のため、両機関間の連携強化について合意しました。海上保安庁は拿捕などの発生が予想される根室海峡周辺海域に常時巡視船艇を配備し、出漁船に対し直接、または漁業協同組合を通じて、被拿捕の防止の指導と漁業関係法令の遵守指導を行っています。

竹島問題
 竹島は、島根県隠岐諸島の北西約160kmに位置し、2つの島と周辺の数十の岩礁からなり、総面積は約0.2平方Kmで日比谷公園とほぼ同じ広さです。政府は歴史的事実に照らしても、国際法上もわが国の領土であるという立場を堅持する一方、竹島問題は平和的に解決されるべきであり、外交ルートを通じて粘り強く解決を図る方針を示しています。海上保安庁は、政府方針に従い、竹島周辺海域に常時巡視船を配備して監視を続けるとともに、わが国漁業者の安全確保の見地から、被拿捕の防止指導を行っています。

東シナ海における資源開発
 豊富な地下資源が埋蔵されているといわれる東シナ海では、日中両国の間で排他的経済水域および大陸棚について、境界を画定するには至っていません。我が国は地理的中間線により、境界を画定すべきとしているのに対し、中国は、中国大陸から自然延長の終点である沖縄トラフが日中間の大陸棚の境界であると主張しています。
 中国は、既に東シナ海の日中地理的中間腺付近に存在する油ガス田に、採掘用の海洋構築物を設置し、一部では生産を開始させています。資源エネルギー庁によると、これら油ガス田の一部は、地下構造上、地理的中間線の日本側にも連続しており、このまま中国が開発を続ければ日本側の資源が吸い取られてしまうことになります。
 我が国は、資源開発問題について話し合う日中協議等において中止を求めています。19年4月の日中首脳会談の際には、双方が受け入れ可能な比較的広い海域において共同開発を行い、19年秋に具体的方策を首脳に報告することを目指すこととされています。
 海上保安庁は、東シナ海で航空機による哨戒を行い中国の開発状況を把握し、情報提供しています。

外国海洋調査船
 中国は、近年、東シナ海などの我が国の排他的経済水域において、調査活動を活発に行っています。平成11年には、33隻の中国海洋調査船を確認しました。この中には、我が国の領海内に進入して調査活動を行う事案もありました。こうした東シナ海における無秩序な状況を解決するため、13年、中国との間で、東シナ海における相手国の近海で海洋の科学的調査を行う場合は、調査開始予定日の2ヶ月前までに、外交ルートを通じ通報することを内容とする「海洋調査活動の相互事前通報の枠組み」について合意し、同年2月から運用が開始されました。その結果、近年は東シナ海において我が国の同意の無い調査活動は減少し続け、17年には確認されませんでしたが、再び18年には7件の我が国の同意の無い調査活動が確認されました。
19年2月は、我が国に事前通報した海域の外である尖閣諸島魚釣島周辺の我が国EEZにおいて、航行・漂白を繰り返しつつ、科学的調査と思われる調査を断続的に行うという事案が発生しています。
海上保安庁は、これら海域において、巡視船、航空機による監視を行い、我が国の同意が無い調査活動を行う外国海洋調査船を確認した場合には、外務省が外交ルートで中止要求、厳重抗議を行うとともに、現場においても、巡視船艇・航空機により無線等を通じた中止要求を行い、海洋権益の保全に努めています。

・・・その2へ続く・・・

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※このエントリーのテキストは、調査会の荒木和博氏及び講師の後藤光征氏の同意を頂き、当日の講演原稿をそのまま転載したものです。

2007年06月05日

07.5.25 真鍋貞樹氏2 戦略情報研究所講演会(5)UIゼンセン会館2階会議室にて

戦略情報研究所講演会 講師:荒木和博氏・真鍋貞樹氏
07.5.25 UIゼンセン会館2階会議室にて

テーマ 拉致問題解決に何が必要か、何が足りないのか
          -----基本的枠組みの提言-----

『真鍋貞樹 特定失踪者問題調査会専務理事の講演 その2』

 〜〜拉致問題解決への立法・行政組織の限界とその克服〜〜



そういう立法・行政組織が伝統的に根強い中で、さっき冒頭でもうあげましたとおり、金正日独裁政権を変換させない限り拉致問題の全面的解決はないという問題の中で何をしなければならないかということを三番で触れています。

まず、立法機能において、不可欠なのものは、何かというと、立法レベルですので、立法を通して、そういった金正日独裁政権の転換のための戦略レベルの枠組みを作るという事が最大の立法府の仕事だったと思うんですね。それがやってるかというと残念ながら、ない。

ここに書いてありますけれども、【北朝鮮人権法】 という形でですね、拉致問題と脱北者支援という形で、個別にやります。【拉致被害者支援法】 というのは、拉致問題の中でも、帰国した家族に対する支援と言うことですね。【各経済制裁法】 などが個別にあるわけですけれども、そうした、パーツ、パーツの政策を積み重ねていくという作業をしているんですけれども、トータルな、戦略ベースとして金正日政権を転換させていかなければいけないという法体系を整備をしていかない限り、拉致問題の全面的解決はない。従って、こういうトータルな戦略を描けるだけの法体系を整備することが不可欠だというふうに思って(います。)

それから、2番目ですが【立法機関ならではの、調査機関を設置していくことが不可欠である】
これも、大統領制と内閣制の中での議会の権限の違いと言うことになるんですけれども、それを考えたとしても、今の現行法体系の中でも、可能=出来るものだと思うんですね。それは、衆議院参議院に専門の調査機関を設置すると言うことです。

いま、衆参にですね“拉致問題対策特別委員会”というのが設置されていますけれど、そこで、やっているのは、(ここに書いてありますけれど)官僚・・(聞き取れず)・・関係者からの意見聴取だとか、官僚への質問と言った形で、そして新潟に視察に行くとかですね、そういったようなことで来ているわけですけれども、そうではなくてですね、もう民間に議会として調査委員を委嘱してですね、実質的な調査機能を持たせるというのが不可欠だと思うんです。その辺についてですね、議会としての調査機能が問われるわけですが、この議会としての調査機能は、ほとんどない。

北朝鮮人権法では、国会に対して中間報告的なものをしなければならないと言うことになっているんですけれども、その中間報告的なものを誰が書くかと言うとですね、現行の組織で、調査室と言うのがあるんですね。調査室。そこが書いて、おしまい。そこで、国会での、衆参の特別委員会の役割は終わってしまう。

そうではなくて、議会の役割が、行政の監視するとか指導すると言うことであれば、議会自身で、調査機能というのをもっともっと持たせていくことは可能だし、やらなければならない。
やらなければ、国会としての基本戦略なんて立てることすら、ままならない。
これは、出来るし、やるべき事だというふうに思っております。

それから行政レベルではですね、立法レベルを越えたものは出来ないんですけど、立法レベルが上がればですね、当然行政レベルの様々な調査機能とかですね、そう言ったものは拡大していくわけですね。

それを前提として考えたときに、現行の行政機構をもっともっとレベルアップさせていくと言うことは出来るし、これをしていかなければ、拉致問題の解決はないと言うふうに思います。

一つは内閣機能ですね。内閣の元に安全保障会議というのが出来たわけですけれど、そこは、何をやっているのか、わかりません、私は。えら〜い人たちが集まって、議論をして、「良い勉強したね、良い会議だったね」ということで終わっているようですね。あの安全保障会議の中で、北朝鮮問題で、しかも拉致問題で、金正日政権変換のための戦略を描くなんてことは、考えようがない状況ですね。しかし、何のための安全保障会議なんだと。そう言うことを戦略ベースで考えだすための会議だと私は認識していますが、実際そうなのかはわかりません。

でも、ここで、日本政府としての、最も根幹的な北朝鮮戦略というものを描くべきだろうと思います。

それから、内閣府の中でですね、ここに【拉致対策本部情報室の格上げ】とうのが(資料に書いてありますが)−−ここにも、政府関係者の方がいらっしゃるので、なかなか言いにくいんですけども−−情報室という止まりではですね、この難しい状況を、これだけの情報が集まったとしても、それが、知識の蓄積だけで終わってしまう。

今の現行の拉致対策本部、並びに情報室が現行のままであればですね、良くて情報の交換レベルで終わってしまう。そうじゃなくて、戦略レベルのものを、内閣総理大臣にまで、安全保障会議まで上程できるだけの、機能と権限と能力を持たせなければいけないと思って(います。)

それから警察庁ですけれども、これから前から行ってるんですけれども、警察の方とも色々議論するんですけれども・・(聞き取れず)・・拉致問題の国内での捜査に於いて、やはりFBI的なですね、県境を越えて捜査を迅速にできるという組織がない限り、今の都道府県警レベルで、いざこざ、いざこざやってたらですね、縄張りがどうの、所轄がどうのとか言ってたらですね、何年かかったって拉致問題の難しい解明には繋がりませんよという話をしているんですが、なかなかそれは、警察内部でも歴史があって難しいようです。
また、警視庁というのは、中途半端にFBI的機能を持っていますので、各県警とバトルを繰り返しながら捜査を行っているという状況、これはあまり好ましくないと思います。

やはりこう、ご存じのように拉致問題というのは、県をまたがって、場合のよっては、1000キロぐらいまたがって、拉致された場所と、船の乗せられた場所とが、東京と鹿児島というぐらいに離れる犯罪ですから、当然それを、広域捜査を“で・き・る・だ・け・の・も・の”をきちっと作っておかなければならない。

拉致問題に限らず、これから国際テロ組織みたいなのがですね、日本国内で活動始めたときに、現行のままの都道府県警のままで本当にいいんですか。それを補完するような形で中途半端に警視庁というものがあって、各都道府県警とつばぜり合いをやるようなことで本当に良いのかと言うことは、これは警察内部でも、きちっと考えて頂かなければならないし、国民もやっぱりそろそろそれこそ“民主警察”という呪縛に囚われていてはいけないのではないかというふうに思います。都道府県警=民主警察というのでは限界がある。

それから、外務省ですけれどもよく我々仲間でいわれているのは、外務省は「接待省」「情報省」とに分けろと。よく内輪では言いますけれど。やはり接待は接待で必要なんですね。世界の国々と交流するという。それはそれでやって行かなくてはならないんですが、今の外務省は、接待省ばっかり多くて、本当に情報を集める機能というのは、本当に弱い。どこの・・(セクション)に行っても、数人の職員が苦労に苦労を重ねている。
予算がありません、人員がありません、権限がありません、頭から抑えられます、こんなのでどうやって情報を集めるのですかというような状況、ずーーと続いているんですね。
やはり、外務省の中の情報を担当する職員に予算と権限を与えるべきと言うふうに思います。

公安調査庁ですが、今日はお見えかどうかわかりませんけれど、もうそろそろ、今までの破防法の中にある公安調査庁はやめて良いんだと思います。内外の情報を集めて、それを分析し、そして国家戦略までにもちあげるだけの能力をもったような役所にしていけないんじゃないかと思っています。

それはもう、、警察とは違ったやり方というのがあるわけですから、警察が出来ない情報省的なものを考えなくてはいけない時期になっているんではないかと思っています。

防衛省については荒木の専門なので簡単に触れますけれど、当然、北朝鮮に有事がおこったときに、法人保護というのは、公安調査庁が出来るわけではないし、警察が行けるわけでもないわけですから、これはちゃんと考えて欲しいなと思っています。

そろそろ時間ですので、まとめになりますが、この二番の申し上げた、拉致問題解決しない、そのために私が考えるのは、三番になるんですけれども、これは私としては、拉致問題解決のために不可欠なもの。

この不可欠なものがですね、日本の今の国会の状況、行政の持っている法制度、伝統、文化で可能なものかと言うことです。

書いてありますけれど、これだけのものをやるのに何十年かかるんだろうと。要するに拉致被害者を救出するのに間に合うのかという世界になりかねない。
もう結論は見えているんですけれども、この不可欠なものを実現させるべき、世論形成だとか、そう言った意味での運動というのは、私は不可欠だと思います。拉致問題を解決するためにですね。

「もう無理だよ、こんなもん」と言うふうになったとたんに、もう拉致問題の解決というのは遠のいていくというふうに思います。

Aなんですけれども、日本の法文化、法制度の決定的な致命的な欠陥である「国民と政府の協働(路線?)」ですね。
これはもう、左派の伝統が強くて、あまりに国民が政治行政に参加するのがマイナスだという、慣行みたいなものが強くて、国民を行政組織の中に組み込んでいって、もっともっといろんな問題の解決に当てるという文化が非常に弱いんですけれども、事此処に至ってはですね、国民も政府も一緒になってこの問題に取り組んでいくんだというようなものが必要だと思っています。

行政機構の中の政策決定過程、あるいは政策立案過程、あるいは、情報収集、情報分析の中で、民間を排除するというのは、今の世の中にとってマイナスでもなにものでもないと思っています。(民間排除はマイナスと言いたい)民間にもいろんなものがあって、怪しげなものもたくさんあるわけですけれども、大切なものを持っている、能力のある方がたくさんいるわけですから、それを大いに政府の内部で生かすということは、当然なことだろうと思っています。その意味で国民の側も政府と協働していくというのは、大切なことだと思っています。

時間オーバーしてしまいますが、三番ですけれども、「民間でできるものは民間で何でもやっていこう」と言うことです、私の結論は。情報収集だって民間レベルでやれることはどんどんやろうよ。政府に任せておいてはダメだ。警察やどこそこに任せていてはダメだと。もちろん任せなくてはいけないこともあるけれども、民間で出来ることはどんどん民間でやろうではないかということだと。
北朝鮮の体制転換という問題についても、こんなことは、国民は関係ない事だと言うことではないと思う。
国民としても考えてやれることはあると。それをやるべきだというふうに思っています。

そこで荒木が言いましたような、我々なりの情報収集の中で書いていますけど、北朝鮮にどんどん、どんどん、情報を注入していく。ペットボトルであろうと、風船であろうと、何でも良いから、とにかくどんどん、どんどん北朝鮮に情報を注入していく。これは民間レベルでどんどんできることです。

それから脱北者支援、ここにもNGOの方いらっしゃいますが、これも民間レベルで出来ることです。一部の本当に献身的なNGOの人たちだけに任せていいことでは、決してないはずです。脱北者の支援というのは、いずれは北朝鮮の体制転換になれば、戻っていかれる方なんです。
この人達に、自由とは何かとか、民主主義とは何かと商売の仕方はどうだとか、そういうことをきちっと教えて差し上げて、そして北朝鮮に戻ったら立派な国を作れよと言うようなことも、民間レベルで出来るんです。

それから“亡命政権支援”だって歴史的に、日本の明治の時代なんかはやっていた訳なんですね。民間人で。なんで今やらないのか?出来ることなんだから、どんどんやればいいと思います。

そう言うことを通じてですね、北朝鮮の体制転換をですね、政府をあげて、我々国民もあげて、少しでも進ませていくことによって、2000万の北朝鮮人民を救う、そしてそのプロセスの中で、日本は拉致された日本人のみならず、世界中の拉致被害者を救うというようなことが大切なんじゃないかと思います。

以上ちょっと長くなりましたが、私の話を終わります。


★荒木さんから

まぁそういうことで、二人の話が終わったわけですが、出来ることは何でもやるぞということで正に、そう言うことが基本方針書いてあるんですが、その一方でなかなか現実の方は難しいものがありまして、ホワイトボードの上に振り込みの番号が書いてありますが、ここでまもなく中継のほうは終わりますので、特に中継をご覧の方に、このことをお告げするためにですね、私ども調査会は、自転車操業と言うより、一輪車操業という状態でございまして、北朝鮮の体制が崩壊するか、調査会が崩壊するか、どちらかの勝負でございますので、何とか、せめて北朝鮮の体制が崩壊する時まで持たせていただくように、ご協力をお願いしまして、ここでまず前半を終了させていただきたいと思います。
ちょっと一時間話しましたので、5分ほど休憩を頂きまして40分に再会させていただきたいと思います。とりあえずどうもありがとうございました。

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この講演会のテキスト化及び音声のネット上への公開については、調査会代表の荒木氏の了解を頂いております。

このエントリーのテキストはblue-jewelさんの手によるものです。

2007年05月31日

07.5.25 真鍋貞樹氏1 戦略情報研究所講演会(4)UIゼンセン会館2階会議室にて

戦略情報研究所講演会 講師:荒木和博氏・真鍋貞樹氏
07.5.25 UIゼンセン会館2階会議室にて

テーマ 拉致問題解決に何が必要か、何が足りないのか
          -----基本的枠組みの提言-----

『真鍋貞樹 特定失踪者問題調査会専務理事の講演 その1』

 〜〜拉致問題解決への立法・行政組織の限界とその克服〜〜

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私の方から申し上げることは、今、荒木が言いましたとおり、日本政府の持っている基本姿勢がですね、外国に頼む、そして北朝鮮に対しては、交渉するという範疇を越えていない点についてどう、我々が考えるかという事だと思うんです。

お手元に、「拉致問題解決の立法行政組織の限界とその克服」と言う形で、資料をお配りしていますので、その課題についてですね、私なりの考え方をお話しさせていただきたいと思います。

最初に結論的な事を申し上げますと、明らかに日本の立法・行政には、この難しい困難な拉致問題を解決するためには、明らかな限界性をもっています。限界があるからこそ、帰ってきていないんですね。
この限界を超えていくためにはどうするべきか?すなわち、問題解決に不可欠なものは一体何だろうということをまず考えて、不可欠なるものを、出来ないままにしておくのか、やらないままにしておくのか?それでは、全くの解決は出来ない。
従って、この今できていない、やらなければいけないけど、やっていない拉致問題の解決に不可欠なものを我々は考えて、新たなものを作っていくような・・

荒木の方から申し上げましたが、この拉致問題の根本的な解決は、金正日独裁政権が変換しない限り全ての拉致被害者を救出することは不可能であると言うことだと思います。
「部分的な解決」、「部分的な救出」というのは、当然あり得るし、あったんですね。5人の拉致被害者は帰ってきたようなことがありますが。

しかし、我々が知らない拉致被害者、誰も知らない拉致被害者をどう救出するのかと言うことに考えが及べば、現在の、金正日独裁政権が継続する限り、この期待を満足する・・ないと思っております。すなわち、拉致問題は、金正日政権が転換しない限り全面的な解決はないと言うことだと思うんです。

このことは、おそらく日本の国民は意識のレベルではですね、みんな「そうだな」と思っているんだと思うんです。ある程度合意はされていると思うんですけれども。
意識の上では、合意があったとしても、それをどう政策レベル、戦略レベルまでいくんだ、また政府が何をすべきなのかということを求めていくときに、これはなくなっていくと言うことなんですね。

拉致被害者が可哀想だから、拉致被害者のご家族があまりにも気の毒だから、可哀想だから政府、何とかしてくださいというレベルから、問題、出て行かない、残念ながら。そう思います。そう言いう構造が出来ているわけです。

一方では、金正日独裁体制の転換がなければ拉致問題は解決しないと思いつつも、実際の行動になると、それを言わない、言えない、あえて、避ける というようなことがあるんではないかと言うふうに思っております。

意識のレベルでのはおおかた、この金正日独裁政権の転換が必要だという合意があったとしても、それが、政策、戦略になっていかないということですね。

これは日本のみならず、世界の国ももしかしたら同じではないかと思っています。
北朝鮮問題で当事国は、六カ国協議ということで、北朝鮮を除く五カ国ですが、その五カ国の中で、明確に、核兵器も含めて、拉致も含めて、強制収容所問題も含めて、脱北問題を含めて、あらゆる北朝鮮における犯罪行為の解決のためには、金正日独裁体制を変換させねばならないというふうに明言した国は、かつて、アメリカしかないんですね。

アメリカで、北朝鮮人権法ができてきたプロセスという中には、明らかに、北朝鮮の「レジュームチェンジ」、「レジュームトランスフォーメーション」ということばが使われてあの法律が出来てきたんです。しかし、残念ながら、今アメリカの議会の中で、アメリカのブッシュ政権の中で、北朝鮮対策・政策の中で、「レジュームチェンジ」という言葉は、完全に消えています。
それは何故かというと、それは、想像すると、中国の関係、ロシアは・・、韓国は太陽政策とおうような状況が続いている限り、アメリカとしても、当事国、関係国がそう言う状況であったならば、アメリカだけが、「レジュームチェンジ」「レジュームトランスフォーメーション」と言うような形というような形で行くというようなことに対して、「どうなんだ」ということが生まれてきたのと言うことに他ならないのではないかと・・ではないかと・・

国連のレベルでは、もっともっとこういう意識というのはない。
国連で、北朝鮮の人権問題について非難決議はするけれども、その根源は、北朝鮮の金正日独裁政権にあって、それを直さない限り、北朝鮮の人権問題は解決しないんだというよなメッセージ、国連のレベルで一回も出てきたことはない。もし、そういった事をご存じだったらちょっと教えていただきたい。私の知る限り、そういったメッセージなり、メッセージを出したとしても、具体的にどうするのかという戦略、戦術が議論がされた記憶はない。

そう言う状況の下ですから、国際的にも、国内的にも、そう言う状況なので、じゃぁ、何も出来ないのかと言うことになっていくわけですけれども、最初にお話ししたように、いや、これはやらなければいけないんですね、解決しなければいけないんですね。じゃぁ、何を考えなければいけないのかということになります。

2番目に改めて「日本の立法・行政の限界性」について、おさらいをしてみたいと思います。

日本の国会で北朝鮮の金正日政権の転換を前提にした戦略というものを議論された経過というのはがあるでしょうか?また国会レベルで、そう言う政策をつくろうとした経過があるでしょうか?

「拉致被害者支援法」というのがありますし、「北朝鮮人権法」というのもありますし、あるいは「経済制裁関連法」がありますけれど、その政策というものは、それらをやらなくてはならなくなった根本的原因である“金正日独裁政権を転換させる”というような戦略ベースから生まれてきたものではないですね。

立法レベルではですね、そうした体制転換を前提とした議論そのものも発想そのものもない。

それは北朝鮮に限らず戦後の日本の国会の議論を改めて考えてみますと、トータリー体力が非常に非常に強かった頃の議論を見てみますと、日本が自ら東側、中共産側に対してどうこれを体制を転換させるなんていう議論なんてありゃせんのですね。

ベトナムをどうするとか、二つの中国をどうするのかとか、二つの朝鮮をどうするのかと言ったような、いわゆる西側の一員として、そういった共産国の体制を、どういうふうに我々日本が、インセンティブを与えて、民主的な国にしていくか、体制転換をしていくかとかいう議論はおそらくなかたっと思うんです。ありますか?(笑い)そういう状況です。

立法レベルでそうなんですから、行政レベルでそんなこと考えるはずがないわけです。

行政レベルで、法制度上、北朝鮮を体制転換させなければならない、法律を作らなければならないというのは想定外です。想定外です。

そんなことを、世界中で考えられる組織というのは、考えられるのはCIAとか、イギリスの諜報機関とかそう言う話になるのでしょうけれども、少なくとも彼等は考えているんです。思考するわけです。実行するかしないのかは、その時その時の政治家の決断、と言うことになるわけですけれども、世界情勢に依存するわけですけれども。少なくとも、そういった発想とか研究というものは、当然のごとくするわけです。

しかし、日本の情報機関での伝統的な問題というのは、立法措置がそう言う状況ですから、行政レベルでそういった体制転換の戦略なんてしないわけですね。

で、日本の情報機関の伝統的な問題というのは、ここ(配付資料)にでていますけれど、バカではけしてなくて、優秀な人たちが集まっているわけですから、ここに書いてあるように、知識= knowledge(ナレッジ)というものは、どんどんどんどんいろんな情報を集めて、知識だけはどんどん集めています。
けしてバカでないからいろんな世界情勢を集めています。
警察庁の公安部の外事課なんていうのは、世界中のそういう公安情報を集めて、知識として持っているんですね。

しかし、このinfomation(インフォメーション)レベルになると、それがどんどんどんどん怪しくなるんですね。情報というレベルでは、一番簡単なのは、知識の交換がないんですね。
警察と公安調査庁は全くないです。海上保安庁と知識の交換はないです。場合によっては、内閣府、総理大臣ですら各部局が持っている知識を伝達することもなかったと言うことが、かつてありましたね、たくさん。

そういう状態が一部改善されたとは言っても、まだまだその状況は続いているわけですね。
従って、それを更に高度な intelligence(インテリジェンス)のレベル=戦略レベルになると、もうほとんど何も存在しないわけです。
だからこそ、安全保障会議みたいなものを、小池ゆり子さんが一生懸命やられるようになっているわけですが、それだって、今会議をしているだけであって、そこで知識を集め情報を交換し、戦略レベルのことをやっていくという状況にはなっていないようですね。
これは日本の戦後の情報機関の特筆すべき状況だと思っております。
これは、従来から、何ら変わっていない問題点ではないかと思っております。
その背景にですね、これは日本の行政組織の、一般的問題なんですけれども、縦割り組織だとか 縄張り意識だとか、伝令主義だとか、いったような行政組織の典型的な問題がこの背景にあるんですね。

それから、日本の行政組織の中で一番顕著なものは、“民間の排除”です。
民間の知識なり情報などを行政の中に生かすということに、非常に消極的です。全ての官僚組織の中で消化する。官僚組織の中だけで知識を回していく。情報の交換すらも、ままならない。情報の交換そのものもも、官僚組織の中でやる。そう言うことを官僚主義と言うんですけれども。それが非常に強い。

大統領制と内閣制との違いもあると思いますが、アメリカの場合の特徴というのは、何か問題があったらば、すぐに民間の専門家を調査の責任者に当てて、専門的に調査させて、物事を明らかにしていくのそういうことが非常に強い。

北朝鮮の問題に関連すれば、偽札の問題なんか正にそうですね。私今、名前思い出せないんですが、マカオのBDA(バンク・デルタ・アジア)の問題を明らかにしたのは、若いお兄ちゃんです。
それは民間から、突如、そう言う任務を当てられたわけです。そしてその彼は、今そこからはずれているわけですね。そういうふうに、その道、その道に優れた民間の知識人をそういうプロジェクトごとに、行政の内部の戦略・政策レベル作成する中にどんどん取り込んでいって、進めていくという感覚が日本の行政機構の中にほとんどない。

ぜめて審議会とかですね、協議会とかですね、そういったところに、まぁ、いわば格付けに、大学の偉い教授なんかを呼んでですね、そこで懇談会なんかを開いてですね、行政の官僚が作ったプランにお墨付きを付けるといったような意味でそういうものをやっていくというのはたくさんある。そんなのは、インテリジェンスレベルでは、全然関係ないですね。もっともっと民間の様々な知識を行政組織が集めて分析し情報にしてっていき、それを更に戦略レベルで物事をおこしていくと行った発想というのはほとんどないわけであります。

・・・その2に続く・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
この講演会のテキスト化及び音声のネット上への公開については、調査会代表の荒木氏の了解を頂いております。

このエントリーのテキストはblue-jewelさんの手によるものです。

07.5.25 講演会の資料 戦略情報研究所講演会(3)UIゼンセン会館2階会議室にて

戦略情報研究所講演会 講師:荒木和博氏・真鍋貞樹氏
07.5.25 UIゼンセン会館2階会議室にて

テーマ 拉致問題解決に何が必要か、何が足りないのか
          -----基本的枠組みの提言-----

『真鍋貞樹 調査会専務理事講演の資料』


拉致問題解決への立法・行政組織の限界とその克服   2007.5.25
                                   真鍋貞樹

1.拉致問題解決への根源的な課題
   ・拉致問題は、金正日政権が転換しない限り、全面的な解決はない。
     =>意識のベースでは、おおかたの「合意」が存在
   ・日本も関係国も、金正日独裁体制の転換に関する戦略を持ち合わせていない。
     =>戦略ベースでは、内外ともに「合意」が存在しない

2.立法・行政組織による拉致問題解決の限界
  ・立法レベルでの、体制転換を前提とした対北朝鮮戦略が存在しない。
 立法レベルで、戦後、他国の体制転換についてコミットした経過泣ない。
  ・行政組織レベルでは、法制度上、北朝鮮の体制転換の戦略は 「想定外」であ、る。
  日本の情報機関の伝統的な問題
  knowledge  知識(蓄積されるもの)の蓄積はあり
  infomation   情報(相互に伝達されるもの)の拡大が不十分
  intelligence  戦略(動きを伴ぅもの)の決定がなし
  縦割り組織、縄張り意識、前例主義、民間の排除 (官僚主義)、情報独占

3.立法・行政組織レベルの限界を超え、拉致問題解決のために想定すべきものとは何か
  (1)立法機能において、拉致問題解決に不可欠なもの
   ・立法機関の責務として、北朝鮮人権法、被害者支援法、各経済制裁法の個別的な
    政策を、トータルな戦略をベースにした法体系を整備する事が不可欠である。
   ・立法機関ならではの、調査機関を設置していくことが不可欠である。
     ※ 現行の国会の拉致問題対策特別委員会は、官僚や関係者からの聴取と、現地
       視察で終っている。民間に調査委員を委嘱し、実質的な実態調査昨日を
       持たせることが不可欠である。(実態は、衆議院調査室が報告書を書いて終わり)

  (2)行政組織の、情報収集能力と救出能力の実効性を高めるために不可欠なもの
      内閣機能  ・・・NSCによる戦略の企画・立案が不可欠
                拉致対策本部情報室の格上げ、機能強化が不可欠
      警察庁    ・・・FBIのような、横断的組織が不可欠
      外務省    ・・・海外情報収集機能の拡大が不可欠
      公安調査庁 ・・・国内外の情報収集と分析を行なう情報相的組織に転換が不可欠
      防衛省    ・・・北朝鮮での有事における邦人保護体制の構築は不可欠

4.まとめ 
  果たして、上記のような、拉致問題の解決に「不可欠なるもの」が、日本の国会・行政機構、
  あるいは法制度、法文化で可能か?何よりも『間に合うのか』?
  (1)結論は見えているが、「不可欠なるもの」の実現を目指した世論や運動が「不可欠」
  (2)国民と政府が「協働」することが「不可欠」である。民間排除はマイナスである。
  (3)民間でできるものは何かを考え、実行する事が「不可欠」
      情報収集・・・北朝鮮からの情報の収集
      体制転換・・・北朝鮮への情報の注入、脱北者支援、亡命政権支援
              「自国の体制転換は、自国民が行う」のが鉄則

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この講演会のテキスト化及び音声のネット上への公開については、調査会代表の荒木氏の了解を頂いております。

2007年05月30日

07.5.25 荒木和博氏2 戦略情報研究所講演会(2)UIゼンセン会館2階会議室にて

戦略情報研究所講演会 講師:荒木和博氏・真鍋貞樹氏
07.5.25 UIゼンセン会館2階会議室にて

テーマ 拉致問題解決に何が必要か、何が足りないのか
          -----基本的枠組みの提言-----

『荒木和博 特定失踪者問題調査会代表の講演 その2』

〜〜安全保障面から見た拉致問題解決のための提案〜〜



それから、この第3国に出られない場合のことですが、これは自衛隊を使うしか方法がございません。
私、今月出ています6月号の月刊正論に書いてございますが、ともかくですね。
拉致被害者救出に自衛隊を使うのは当然のことである、いうふうに考えます。
これは、そういう事のために軍隊と言うのは存在するわけでございまして、国際貢献もあるいは災害派遣もそれは大事かも知れませんが、軍隊としての本来業務としては一番の本来業務ではない。
軍の本来の仕事は国民の生命と財産を守ることであるという事でございまして、そのための、これはあまり具体的に話できる部分と出来ない部分とがあるんですが、それを進めていく。

それが話ができる部分で言えば、北朝鮮の体制がひっくり返ったときにですね。
その時にこれは邦人保護という事で行かなければいけないわけでありまして、相手がどうなっているのか分からないところに行くのはですね。
そういう何かあっても対応できる組織が行かざるを得ないわけで、これもやはり自衛隊という事になるだろうと思います。
これは今後、拉致議連なんかとも連絡を取りまして具体的にですね。
今まで・・・(聞き取れず)など何人かが声を上げているだけなんですが、それを何とか世論化してそして実現に持って行きたいというふうに思っております。

そして国際活動、様々な人権活動と言う意味では、この国内外のNGOとですね。
連携して金正日体制その物を圧迫していくという事が当然必要であろうと言うふうに思います。

それから国連の人権委員会に強制的失踪に関する作業部会というのがありまして、ここにかつて私も救う会の事務局長であったとき増元さんと一緒に参りまして、ジュネーブですが、この届けをして来た事がございます。
実際にはそれほど効力と言うものは無いんですが、国際的なアピールという意味はございまして、今後1000番代リストの方、それから0番代リストの公開の方、非公開の方でも希望する方があればもちろん構わないんですが、ご家族の了解を取った上でですね。
届けを出していきたいというふうに思っています。

それから政府への対応ですが、これは私どもは基本的にですね。
建設的な緊張関係という事で、決して何でも反対ではなくて是々非々の立場でいくという事も今後も維持をして参りたいと思っております。

それから国会への問いかけですが、拉致議連とも提携的な連携を強めていきますが、特に具体的にですね。
協力してくださいという事では仕方が無いので、こういう質問をしてもらいたい。
あるいはこういう質問書を出してもらいたいという事をやっていく予定にしております。
早ければ今月中にも一本ですね。
質問趣意書を西村幹事長の方から提出をしていただくつもりです。

後、法律制定・法改正、これは詳しい事は・・・(聞き取れず)もらえば分かると思いますが、具体的にですね。
法律的で今不備な部分がたくさんあるということで、現在の拉致被害者支援法の改正。
それから北朝鮮人権法の改正ですね。
そして拉致情報を得るために司法取引を認めると。
現在日本では司法取引が認められておりませんが、拉致の実行犯がかなりの数まだ日本国内にいるわけでありまして、この人たちから情報を取るために司法取引が出来るように刑事訴訟法の改正も薦めなければならない。
いう事等々を働きかけてまいりたいと思っております。

それから北朝鮮の権力層の一部でですね。
金正日側で無い人たち、との連携も模索していきたい。
この間ネットなどでご覧になった方もおられるかと思いますが、金平一という金正日の異母兄弟が、堂々とポーランドのマスコミに出ておりまして、息子と娘も一緒にですね。
ポーランドの大学と大学院に通っているそうですが、出ておりました。

この人が顔を表すのは、私が覚えている限りでは金日成が死んだ94年の7月以降に一回だけですね。
マスコミの前で、どこかの大使だった時に大使館の前に出てきて外国のマスコミの前に顔を表した事が一回だけありまして、その時は確か「金正日はしばらく後継しないと思う」というような事を言ったと記憶しているんですが、それ以降また全く消息が消えておりました。
今回こういうふうに出たというのはどういう意味があるのかというのは、今ひとつ分かりませんが、少なくともこの人が一つのキーマンである事は間違いないので、可能であれば直接一度ポーランドまで行って大使館を叩いてみたいと。
中々会ってくれるとは思いませんけど、物は試しですのでやってみようかなというふうに思っております。

これは例のバルーンのイ・ミンボクさんと会いましたときに言っていたんですが、現在の脱北者の人たちはですね。
やはり非常に苦労して来ている。
北朝鮮の中で生きていくためにこれは非情に苦労せざるを得ない。
生きていくためには人も騙さなければいけない、いう事でですね。
ともかく韓国に入ってきた脱北者でも、要は人に感謝するとかそういう気持ちが無いんです。
これは自分自身も脱北者だからそういう面があると言いながら彼は言っておりましたけど、結局ですね。
人が何かしてくれても、これはおそらく自分の得になるからやっているんだろうというふうに、つい思ってしまう。
という事で、そのまま率直にありがとうというふうに中々言えない。
だからそういう事で言うとですね。
結局何だかんだ言っても今北朝鮮でちゃんと飯を食えている人間、こういう人たちをですね。
体制が変わってもある程度使っていかざるを得ませんという事を彼は言っておりました。

これは現実的な問題としてそうだと思います。
そこにいる人を全とっかえするという事が政治的に不可能な以上、少なくともよりマシな人間をですね。
と手を組むという事は現実問題としてせざるを得ないのではないか?
もちろん最終的にそういう人たちをどういうふうに裁くか?というのは北朝鮮の人たちの問題でございまして、我々がやる事じゃないんですが、いずれにしてもですね。
我々はそういう事も視野に入れて行なう必要があるんであろうという事でございます。
そこすべてをやはり動かして行く事が必要という事であって、これはもう決断を持ってするしかない。
そんな事をしたらこういうトラブルがある、そういうトラブルがあると言う事がというふうに思う人がいると思うんですが、細かいトラブルで止まっていたら大きなトラブルを解消する事は出来ません。

こういう事を言うと誤解を生むかもしれないんですが、私はですね。
日本人が拉致されていることについて、いまひとつ正直にいいましてですね。
北朝鮮に対してあまり怒らないんです。
どうしてかと言うとですね。
怒りと言うより、やられたことの恥ずかしさと言うか、これだけの大国で国際的地位もあって経済力もあるこの国がですね。
あの北朝鮮ごときに拉致被害者を何十年もですね。
拉致を続けられて来たという事が、それ自体非常に恥ずかしいことで相手に怒る以前、自分の恥としか考えようが無い。

ただし、北朝鮮の子供たちがですね。
飢えとか寒さの中で死んでいくという事に対しては、私はやっぱり正直言って怒りを覚えざるを得ない事でございます。
もし仮に拉致をしていてですね。
拉致被害者を、外国人を拉致してくる。
そしてそれによって自分の国の国民を助けようという事であれば、これはもちろん我々認められるわけじゃないですよ?
認められるわけでは無いんですけど、そういう考え方もあるだろうという事は言えます。
しかしあの国は、外国人は拉致してくる。
核兵器は作る。
そしてその上で自分の国の国民は殺していくという事でございます。

金日成の遺体が祀られている錦繍山(クムスサン)宮殿、これをですね。
元々金日成の執務していた建物ですが、これをいわば記念宮殿という事で直すためにですね。
使った金と言うのは、とうもろこしを買えば3年間北朝鮮の国民が食べていけるだけの金を使って、一人の死体を祀るだけの物を作った。
その為に膨大な数の人が死んでいったわけでありまして、このような体制をですね。
これは、我々は絶対に許す事は出来ない、いうふうに確信をしております。

それをやっていく事がすなわち日本人の拉致被害者を救出することでありますし、そしてこれを日本がですね。
先頭に立ってやっていく。
アメリカに任せるんではなくて日本が先頭に立ってやっていくという事が、それから先日本が外国から被害を受けたりしないという事につながってくるのだと言うふうに思います。
日本と言う国は主権を侵害したら何をしてくるか分からない。
いう事があるからこそ外国からのそういう攻撃を受けなくて済むわけでありまして、我々はやはりそういう意味でですね。
こういうものに対しては戦っていくという姿勢を持っていかなければいけないだろうと思います。

残念ながら日本政府の基本的な姿勢と言うものは、外国に対して頼むという事とそして北朝鮮に対しては話し合いをしていくという事の根本的なところが変わっていないわけでございまして、この姿勢はやはり変えていかなければいけないいうふうに思います。
そんな事が今のこの国でできるのか?と言うふうに思われる方、多いと思います。
しかしそれは決して出来ないことではない。
我々自身がこの国の力を極めて過小評価しているというふうに私は思います。
この国の力を持ってすればですね。
それくらいの事は簡単に出来るわけでございまして、要は決断の問題であります。

安倍さんは今までの歴代の中では、一番拉致問題に対して一生懸命やってくださっている方だという事は、我々も間違いなくそうだというように思っているんですが、まだ今のところそこの決断には残念ながら至っているとは思えない。
何とか話し合いで、あるいはアメリカの協力を得てというところがですね。
私に取りましてはやはり極めて不満でございます。
そこを乗り越えていただかなければいけません。

ただこの問題と言うのは、この間くじで6億円近くのくじが当たりましたが、あれのようにキャリーオーバーが何年もの間ず〜っと嘘とごまかしが積み重なって来てしまっている。
この国の国家権力にそういうものが沁み込んでしまっているわけで、これを叩き壊してしまわなければ問題は解決を致しません。
それをやってもらわなければいけない。
やるためにはおそらくとんでもない事が起きると思います。
安倍さん自身が失脚する事を覚悟してもらわなければいけないですし、場合によったらば物理的な生命を失うことも覚悟してもらわなければいけない。

しかし、政治家と言うものはそういうものでありまして、この間の愛知での警察のSATの方が亡くなったり、あるいは消防士の方がですね。
消火活動の中で殉職する方もいる。
今のところはそういう人は出ていませんけど、戦争になれば自衛官だって当然戦死していくわけでございまして、政治家も当然その中でですね。
死ぬ事を覚悟してやってもらわなければ意味が無いわけでございます。
ですからそれをみんなで覚悟してもらわなければいけないですし、政治家にその覚悟をさせるためには国民にそれだけの覚悟がやはりなければいけない、言うふうに思います。

拉致問題がこれから明らかになってくればですね。
今我々が想像もしていなかったような事が、どんどんどんどん我々の目の前に迫ってまいります。
それを本当に我々が受け止める事ができるか?
これは我々自身に腹があるかどうか?にすべてかかっています。
見なければ良かったと、知らない顔をして歳をとって死んでいけば、この国は平和でいい国だと豊かでいい国だという事で終っていたかもしれない。
そうしないために我々はですね。
そういう事をしてしまえば次の世代にツケを回す事になるわけでございまして、そうしないで行かなければいけないだろうというふうに私は思っている次第でございます。

私はどちらかと言うと総論的なものですが、また真鍋の方からもいろいろお話がございますので、とりあえず一旦私の話を終らせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)

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この講演会のテキスト化及び音声のネット上への公開については、調査会代表の荒木氏の了解を頂いております。

2007年05月29日

07.5.25 荒木和博氏1 戦略情報研究所講演会(1)UIゼンセン会館2階会議室にて

戦略情報研究所講演会 講師:荒木和博氏・真鍋貞樹氏
07.5.25 UIゼンセン会館2階会議室にて

テーマ 拉致問題解決に何が必要か、何が足りないのか
          -----基本的枠組みの提言-----

『荒木和博 特定失踪者問題調査会代表の講演 その1』

〜〜安全保障面から見た拉致問題解決のための提案〜〜

Img_3001.jpg



それでは始めさせていただきたいと思います。
今日は大変お足元の悪い中、皆さまお出でいただきましてありがとうございます。
本当に遠方からも含めまして・・・(聞き取れず)いただいておりまして感謝を申し上げます。
今日はご案内の通り、株式会社Net Liveのご協力を頂きまして、スタートから約1時間ですね。
私と真鍋が約30分ずつ話をする予定にしておりますが、その間はインターネットで全国・世界中に中継をされると、生で流していただくと。
その後このフロアの皆さんと私どもでやり取りをしていく意見交換を含めまして、質疑をさせていただきたいと思っております。
ここは特に9時までにすべてを片付け終わらなければいけませんので、8時半に時間厳守で終了したいと思いますのでたくさんお話しになりたい方もいるかと思いますが、ご了承いただきたいと思います。

今日お話いたしますのは、どうやってこれから拉致を解決していくのか?という事でございまして、去る21日の月曜日に私ども特定失踪者問題調査会の理事会を行ないまして、そこでお配りをしております当面の基本方針(※1)と言うものを作りました。
要は基本的にはこれに議論が集約されていますのでこれを中心にという事になるんですが、私もそれぞれの専門分野と言うか、そういうふうにお話をしてそして皆さんのご意見を頂いていきたいというふうに思っております。

※1 調査会の基本方針については下記を参照のこと
http://chosa-kai.jp/cyosakainews/kongetunews/news070523.TXT

それでは早速ですね。
まず前半、私の方からお話を始めさせていただきたいと思います。
まず私の方はこの当面の基本方針のご説明をさせていただきたいというふうに思います。

冒頭書いてあることですが、拉致問題の解決とは何か?
それはすべての拉致被害者を救出する。
これはまぁここにお出での皆さんも基本的には変わりは無い事ではあろうというふうには思いますが、これをやっていくためにはですね。
どこまで助けなければいけないか?と申しますと、現在私ども特定失踪者問題調査会が持っていますリストが約460名。
そして、政府の認定がいわゆる警察暫定の、この間の高姉弟の認定を含めまして9人。
そしてそれ以外の警察が持っている拉致の可能性が高いリスト、これは公開されていませんが数十人と言われています。

そしてまた警察の方にご家族から拉致じゃないか?とお届けがある方、これは調査会リストと当然重複していると思いますが、1000人くらいの方がおられると聞いておりまして、もちろん我々のリストも警察のリストもそうでない方も入ってない方もおられると思いますが、相当の数の方がおられるのは間違いない。
尚且つ、我々の持っているリストでも警察のリストでも入っていない、つまり全く身寄りのない人に狙いをつけて拉致をしたケース。
それから家族がですね。
いろんな事情があるんですが、回りを憚ったりとかいろんな事がありましてどこにも届出をしていないケース。
そういうのがございます。
こういう場合は誰も知らない。
今ここにいる我々だけではなくてですね。
1億2千5百万の日本国民誰もこの人が拉致をされたという事を知らない人が、相当数いるだろうと考えられます。

我々はそのすべてを助ける義務が国民として存在する、言うふうに思うわけでございます。
これを実現するためには、どうしなければいけないか?と言うと北朝鮮の体制がですね。
突然「今まで悪い事を致しました。これからはもう二度と致しません。そして今いる拉致被害者みんな返します」というふうに突然改心して、そして返してくれるんであればそれで実現するわけですが、そんな事はまず考えられないことでございます。

そうするとどうしなければならないかと言いますとまず我々自身、あるいはご家族もそうですし、日本の政府機関もそうですが、ともかく直接北朝鮮に入って全部細かくですね。
それこそ強制収容所にまで含めて入っていって、拉致をされている人はいないか?という事をですね。
調べに行かなければ行けない。
これが出来なければいけない事です。
それから同時にそこにいる人が私は拉致です、拉致されたんですという事をですね。
自分から名乗り出られるような環境を作らなければいけないという事でございます。

言うまでもなく寺越武志さんは拉致をされている方であるにも拘らず、少なくても公的な場では一言も自分が拉致をされたと言う事は言えないわけです。
それどころか北朝鮮によって人命救助をされて、そして大変幸せに暮らしているという事を本人が言わざるを得ないというのが残念な現状で、この現状を変えてしまわなければどうしようもないわけです。

もう一言いえば今帰国している5人の方々も、ひょっとしたらこの中継を見ているかもしれませんが、彼ら自身も私どもが見る限り十分な事を喋っているとはとても思えない。
それは別に彼らがですね。
悪意を持ってそうだという事では無いだろうと思います。
喋れないような状況を北朝鮮側が作っていると言う事でございまして、これを彼らが喋れるようにするためにはその恐怖の根源である北朝鮮の体制が変わらなければいけない。
このすべてを実現するためには体制を変えざるを得ませんし、そしてそれはどういう事かと言うと日本人の拉致の問題だけを単独で解決する事は有り得ないという事でございます。

日本人拉致が解決するという事は、韓国人をはじめとする他国の拉致被害者も救出されなければいけないですし、そして在日朝鮮人の帰国者がですね。
また自由に日本に戻ってきたり、あるいは少なくとも北朝鮮の中で差別的な待遇を受けないで済むというふうにならなければいけない。
これはさらに言えば、北朝鮮の2千万の国民が人権を保障されて暮らせるようにならなければいけない、いう事でございます。

そしてこの問題自体は国家主権の侵害と言う側面、これは二国間の一種の戦争ですが、その側面とそして普遍的な人権問題と言う二つの側面がありまして、これを両方ですね。
片方だけをやっても仕方が無い。
両方を平行してやらなければいけない、いうことであります。

尚且つ私どもがもっと切迫して考えなければいけない事は、時間が無いという事でございまして、ご家族は高齢の方が非常に多いわけでございまして、すでに私が直接会った方でも何人も亡くなっております。
ご家族だけではなくて、やはり早い時期に拉致されたと思われる方は、拉致被害者自身が高齢の方も相当おられる。
ですから時間が無い。
今日生きていたとしても、横田めぐみさんなどを含めてですが、今日生きていたとしてもそれが明日生きている事を保障するわけではありませんでして、被害者の救出のためには可能な手段をすべて使わなければいけないという事でございます。

その意味で今回ですね。
我々目的の最大限の再確認という事で、この目的の中に金正日体制の転換という事を入れました。
拉致被害者の救出を訴える団体が他国の体制転換を目的にするという事が良いかどうかという事については、ご意見もあろうかと思います。
しかしこれをやらなければ問題は解決しないという事でですね。
私どもはこれをあえて我々の活動の目標にするというふうにしたわけでございまして、具体的にもそこの事が・・・(聞き取れず)に出てまいります。

我々は元々調査機関としてスタート致しました。
調査活動はこれからも続けてまいります。
それは当然のことでそれが我々の一応基本ですがそれに加えまして、今回は新たにこの問題を国民のひとりでも多くの方に理解をしていただくために、今まで調査会独自の集会と言うのは一度もやったことが無いんですが、今回初めてある程度の規模のですね。
ちょっとどれくらいの規模になるか分かりませんが、少なくとも数百人規模の集会をやろうというふうに考えまして、これを12月の北朝鮮人権週間で「しおかぜの集い」と称して、初めて行なうことにしました。

ここには多分我々だけではなくて、特定失踪者のご家族の中から実行委員にもなっていただいてですね。
一緒にこの会をやっていき、そしてそれを通して一人でも多くの方にこの未認定の拉致被害者の問題と言うのをアピールをしてまいりたいというふうに思っております。
ただ、後でも出てくるんですが、我々自身はいわゆる大衆運動団体ではございませんので、こういう事ばっかりやっている事は出来ません。
地方によってはそういうものを開催してくれと言う希望があれば、その都度考えていくという事で取りあえずはこの東京での集会を一回成功にもって行きたいと考えております。

それから情報収集についてですが、これは今のところ私たち自身が中国・韓国あるいはタイとかには入りますけども、北朝鮮の中には今のところ残念ながら今のところ直接入る事ができないいうことで、これは個別にですね。
他のNGO、日本国内であれば難民救援基金とか、あるいは守る会の方とかのご協力も頂きまして、そして脱北者の方々、マスコミの方々と連携をしてやっていくということでございます。
同時にすでに130人あまりと言われておりますが、日本国内にいる脱北帰国者の方が来られておりますので、こういう方々にもですね。
拉致被害者の情報と言うのはあまり持っていないと思いますが、北朝鮮の一般的な情勢を含めて我々の可能な事を含めてですね。
やってまいりたいと思っているところです。

それから「しおかぜ」はすでにこの3月から日本国内からの送信が開始されまして、丁度電波状態が春から夏にかけて良くなっておりますので、大変よく聴こえている。
妨害電波は断続的に出しておりますが、ソウルの辺りでは妨害電波の方が全く聴こえないという状況ですので、かなり聴こえているのでは無いだろうか?と言うように思っております。
これをさらにやっていくために、今後我々も特別の事態に当たっては非常事態の対応の放送が出来るようにですね。
この準備も進めてまいりたいと思っております。

それからバルーンプロジェクト、いろいろなところで報道してくださっていますが、これは風船にビラをつけて飛ばすものですけども、それも我々だけじゃなくて難民救援基金それから守る会の方々と一緒にやっていこうという事でですね。
日本と韓国のNGOが連帯して活動できるようにしていきたい。
という事で、あるいは韓国の中では韓国のキリスト人権協会のですね。
李民復(イ・ミンボク)さんが大変苦労してやられているんですが、政府からの圧力もいろいろあるという事で、可能であれば我々がですね。
逆に独自に船舶を借りてそして風船をですね。
北の方に飛ばすという事も出来ないだろうか?

それから逆に東海岸の方でですね。
ロシアから北朝鮮に向けて寒流が流れておりますので、この寒流に乗せてペットボトルの中にビラを入れて送るというような事も出来ないだろうか?という事も検討しております。

それから直接の救出という問題ですが、これは一つは一番可能性が高いのは中国国境に拉致被害者を出して、そしてその人をですね。
外務省と連携を取って保護するということでございます。
これは外務省の関係者ともそういう時になったという打ち合わせはいろいろしているんですけれど、何とか実現をさせたい。
このためにはやはり現地にですね。
信頼できるエージェント及び活動拠点を何とか作っていかなければいけない、というふうに考えております。

・・・その2に続く・・・

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この講演会のテキスト化及び音声のネット上への公開については、調査会代表の荒木氏の了解を頂いております。

2006年05月14日

戦略情報研究所講演会 青木直人氏のお話を伺っての感想

06.5.12 戦略情報研究所講演会 講師:青木直人氏
「北朝鮮処分にどう備えるのか---全拉致被害者奪還のために--」

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まず青木氏は冒頭にいきなり一言「北朝鮮の金正日体制は崩壊の過程に入っている」と仰りました。
そして講演中「政権中枢は今脳死状態にある」と仰ったのが強く印象に残りました。
今、北朝鮮の体制は政治判断の出来ない状況にあり、金正日は、米中の接近を受けてやがて中国がどういう決断に出るか、そこを非常に警戒している・・・と言うのが講演会の大雑把な要旨です。

金正日体制の崩壊の可能性は、私も素人ながら漠然と考えていた所でした。
ですから青木氏の言葉を聞いて、「ああやっぱり?」と思ったのがまずは私の率直な思い。
と同時に、これから起こるであろう様々動きに惑わされる事なく、このチャンスを生かして被害者救出と言う宿願を果たせるのか否か?という一抹の不安も感じました。

お話を聞いていて個人的に思ったのは、金正日の指示による日本への武力行使やテロの可能性は限りなく低くなったのではなかろうか?と言う点です。
今金正日の頭の中は、アメリカからの圧力を受けた中国が、北朝鮮の扱いについて今後どういう決断をしてくるのか?と言うそのことへの警戒感しか無い、と言う。
となれば、日本へ武力行使をする事はもちろんテロを仕掛けるなどという小細工を考える余裕すら、今の金正日には無いんじゃないでしょうかね?
例えば今、原発なり新幹線なりがテロ攻撃にあえば、日本人の誰もがまず一番に北朝鮮の仕業では無いか?と疑うでしょう。
それが今の日本の世論の素直な状況では無いでしょうか?
金正日が下手に日本にテロなど仕掛ければ、日本の対北朝鮮への感情は限りなく悪化するだけで、体制の延命を図りたい金正日の思惑とはかけ離れてしまうだけ。
つまり、日本が制裁をかけても、北がテロを含む武力行使に打って出る可能性は限りなく低くなったと思っても差し支えはないのでは?と言うのが、私の考えなのですが。
どうでしょうか?

>韓国による統一の可能性は非常に少なく、北朝鮮内部で人民が蜂起が起きる可能性も非常に少ない。
>中国による傀儡政権の樹立の可能性は高い。

つまり体制崩壊と聞いた時、一般的に私たちがイメージする「民主的な政権」が北朝鮮に樹立する可能性は少ないということ・・・だそうです。
中国は人民解放軍が大量の血を流して確保した北朝鮮と言う緩衝地帯を手放すつもりは無い。
といって米中が半島で血を流してまで争う事も無い。
あくまでも話し合いで妥協を図るならば、アメリカ側も一定度中国の国益を考えなければならない。
傀儡政権であっても核やミサイルの問題にケリがつき、北朝鮮に○小平(トウ・ショウヘイ)型の体制が出来るのであれば、西側諸国もそれを承認することになる。
そうなれば中国の国益もある程度重視した、中国による傀儡政権の樹立の可能性が一番高い・・・と言うお話でした。

・・・う〜ん、やっぱり傀儡政権の樹立ですかね?
私もそういう展開が一番可能性が高いのではないか?と思います。
建前では南北統一を口にする韓国が本音ではそれを望んでいない事はすでに周知の事ですし、あそこまでガチガチに相互監視の網がかけられ恐怖政治に縛られている北の体制では、人民の蜂起の可能性は無きに等しい。
米中の経済面での依存度がお互いにあそこまで強くなれば、それを壊すリスクを背負ってまで米中が決定的に対立し一戦交える可能性は限りなく低い、というのは私レベルの人間でも分かる事。

と言って核のゲームを止めようとしない金正日を中国は持て余しているでしょうしね。
偽ドルの問題他、拉致や麻薬などの懸案を抱えた北朝鮮をそのまま擁護する事も、世界の趨勢が許しませんから。
そういうアメリカを含む国際世論を敵に回してまで、北朝鮮の金正日を中国がかばい通すとは、私にも思えない。
そこを見越して、アメリカは中国に対し金融攻撃に加えて人権攻撃を中国に加え、アメリカとの協調路線を選ぶのか?それとも北と心中する道を選ぶのか?踏み絵を迫っている、と言う。
金融制裁に加えて次は人権攻撃を中国に加えるという、アメリカは今非常に良い所を突いて中国に圧力をかけていると言えるんだそうです。
そして、中国は北と心中する道は決して選ばないとも言う。
アメリカと中国は、そろそろ本気で金正日の処遇について考え始めるであろう、という説明も、これまた十分に納得の行く物であると思います。
となれば、金正日を排除した上での中国主導による傀儡政権の樹立と言うのはありえるというのも、十分納得の出来る意見であると思う。

>拉致問題の解決は、確実にチャンスはやってくる。
>だが、同時にピンチもやってくる。

・・・この言葉が一番重く心に響きますね。
チャンスが来るのはいいがピンチも同時に来てしまうのは、やはりありがたくは無いこと。
ピンチとは当然、傀儡政権樹立の過程で核やミサイルの問題にケリがついたとき、日本国内から、「拉致棚上げの国交正常化」の声が出てくるようになる、と言うことです。
政府認定の被害者の帰国などをもって取り合えず拉致問題は解決とし、特定失踪者の問題などは正常化の後ゆっくりやればいいではないか?と言った「拉致問題の棚上げ」的な論調が必ず出て来るようになる、と言うこと。

そういう状況を踏まえて、では日本は今後どういう策を持って拉致問題の解決を図るのか?と言う点が大事になってくるのだと思います。
日本国内にも北朝鮮あるいは中国にばかり甘い顔をしたがる敵はたくさんいるのです。
隙あらばこの問題を棚上げしようと企む連中を抑えて、いかに「拉致被害者全員救出」の声を高めるか?

私は常々、拉致被害者を一人残らず救うためには、どんな揺さぶりがあっても最後まで粘れる世論が必要と考えてきました。
制裁発動に反対であろうがなかろうが小泉さんを支持しようがしまいが、そんなところとは関係なく、米中両国はそれぞれの国益を睨んで動いていきます。
今後拉致問題を巡る動きがどんな展開になろうとも、この運動の主目的「全ての被害者を救う」を見失わずに、親北・媚中派の連中の策略に負けないで最後まで「全員救出」を主張すること。
そこが何よりも大事な原点では無いか?と思うのです。
ゆえに、私は最低限、「被害者の全員救出」という主張の出来る人はすべて、仲間であり同志であると思っているのですが。

ともかくも実際問題一番肝心なのは、ではどうやって日本国民の意思「被害者の全員救出」を強く国内外にアピールするのか?という点だと思います。
私はここでやはり制裁の発動という手に打って出るべきではないかと思います。
それも例えばただ何となく万景峰号を止めるだけでは意味が無い。
当たり前の話ですが「全ての被害者が帰らない限り、日本は北朝鮮に対し、いかなる援助もしない」と公式にアピールした上で、万景峰号を止めるべきでしょう。

そして万が一ですね。
制裁の発動が難しい状況にあったとしても、最低限、この公式アピールは勝ち取らねばならないと考えています。
その場合、例えば制裁発動に慎重・反対の立場ではあっても、少なくとも公式アピールをするという点についてはおそらく意見の差異は無いものと私は思うのです。
日本政府が毅然たる態度を公式に示しただけでもそれは圧力になりうる事です。
第一、日本の意思を中国や北朝鮮にはっきり示す事にもなります。
そこを最低限の共通の理解事項とした上で、更にその上の制裁発動という手順に持っていくために丁寧な説明と理解を求める行動が何よりも重要となるのではないかと考えます。
従って、現時点では例え制裁慎重派であっても反対派であっても、「全ての被害者を救う」と言う目的さえしっかりと持っているのであれば、彼らは拉致問題の解決を願う仲間であり決して戦うべき敵ではないと私は思う。

米中韓露の周辺各国は、北朝鮮の体制崩壊後を睨んで虎視眈々と動いています。
狙いは当然、日朝正常化後に日本から出る援助、お金です。
それを逆手にとって考えれば、お金を握っている日本は交渉のための最強のカードを持っている、と言えると思います。
資金がなければ、体制崩壊後の北朝鮮に対し各国がどんな思惑を抱いていても、それは絵に描いた餅でしかありません。
そこを交渉のカードとして上手く使えるかどうかが拉致被害者救出の鍵になるわけでありますが、そこの所戦略を持って事に当たる人が政府の中にいるのかいないのか?
ここがどうしても大きな問題になってくるのだろうと思います。
そういうことも考えると、やはり秋の総裁選では福田氏ではなく安倍氏にその座に就いてもらわねば、近く来るであろう拉致問題解決のための千載一遇のチャンスを逃しかねないのではないか?と私は思いました。

青木氏も講演の中で指摘をしていらっしゃいましたが、

>対中国のODAも、ただばら撒いて終わるのではなく、もっと日本の意思を絡めて外交カードとして使うべき。

というご意見はいちいちもっともな意見だと私も思います。
日本はどうしても中国に対しては毅然と物を言えない傾向がある。
毅然たる態度もなしに、拉致問題の解決はまず有り得ないと言うのは、すでに多くの国民が理解している事ではないかと思うのです。
中国に対しても北朝鮮に対しても言うべき事は毅然と言う。
相手にこちらのいう事を聞かせるためには、時には圧力も使う。
ただお人好し度丸出しで低姿勢にお願いしているだけで、向こうがこちらの思惑通り動くはずも無い事は、私たちは9・17以降の日朝あるいは日中の外交のあり方を見て嫌と言うほど学んできました。
後はそれを行動に移す決断を、政府が出来るか否か?と言うのが問題なのですが。

最後にもう一つ印象に残った話を。

>先日ブッシュ大統領が横田早紀江さんと面会したのは、小泉総理の第3次訪朝を潰す狙いもあったとのこと。

小泉さんを潰した、というよりも小泉さんを担いで日朝正常化を狙う連中の思惑を潰した、と捉えるべきなんでしょうか?
人権をキーワードにし、北朝鮮に中国にそして韓国に圧力をかけているブッシュ大統領を差し置いて、小泉さんがのこのこと国交正常化のために訪朝する事は有り得ない、と私も思います。
めぐみさんをはじめとする拉致被害者の問題を差し置いたままの日朝国交正常化を許すほど、日本の世論もアホでは無いと思いますし。
親北・媚中派の思惑を、早紀江さんの「娘を思う切なる母の思い」が蹴散らした今こそ、拉致問題解決のために良い追い風が吹いている今だからこそ、より一層世論に対しこの問題への深い理解と広い支持を求めて、支援の輪を広げるべく出来る事を地道に積み上げる必要があると考えています。
被害者を救うために政府の思い腰を動かせるかどうか?は、これ全て世論の力にかかっていると言っても過言では無い、と私は思っていますので。


青木氏の講演会を聞いての私の主な感想はだいたいこんな所です。
この講演会の中身は基本的に青木氏の著書「拉致処分」を踏襲したものですので、まだ未読の方はぜひ、この機会に読まれる事を強くお勧めいたします。

尚、青木氏の講演は徹頭徹尾非常に熱のこもった物で、その迫力は聞いているこちらが蹴倒されそうなくらいの勢いがありました。
戦略研の常連参加者の方に聞くと、青木氏がこんなに熱く語るのを初めて見たとか。
それくらい拉致問題の山が動く気配が現実にそこまで来ている、と言うことの手応えを青木氏自身が感じている、と言うことでしょうか?

この講演会の模様はぜひご訪問の皆様にも詳しくお知らせしたい所ですが、主催者側より講演内容の全文紹介はご配慮いただきたいとのお願いがありましたので、この講演会のテキスト化は見送らせて頂きます。
以後、情報研での講演会も同様の扱いと致しますので、予めご了承下さいますようお願いいたします。<(_ _)>

2006年05月11日

06.4.21 質疑応答 回答者:荒木和博氏 戦略情報研究所講演会(4)

『質疑応答 回答者:荒木和博氏』

★質問者1

非常にアホな質問になってしまうんですれけど、アメリカと日本を利口とアホを使って比較しましたけど、アメリカと言うのは上から利口がアホを押さえつける国で、日本は利口がアホを支える国と言う意味ですかね?
荒木さんの言ってる事は?

★回答 荒木氏

あぁ、中々良いご意見ですね。
それは上にも利口な人はいますけど、何でしょうね。
やっぱり逆に言うと下がしっかりしているから、上があんまり物を考えなくなってしまうと言う感じがします。
あるのは日本的なリーダーシップで権威と権力が大体別れるから、そうすると余り責任が無くなってしまう。
言う事なんじゃないかと思います。
よろしいでしょうか?

★質問者2

○○と申します。
質問させて頂きます。
自衛隊の中にアメリカ、あるいは英国、あるいはドイツの軍隊の中にあるような、特殊部隊と言うかそういった物が想定されているのかいないのか?
あるいはいるとしたら、どこかで秘密裏に訓練しているとか言う事は無いのか?
70年安保の頃に治安出動を想定した訓練があって、すっぱ抜かれた事を記憶しているんですけどもその辺はいかがでしょうか?

★回答 荒木氏

あのですね、もちろん私が知らなきゃそれでおしまいなんですが、自衛隊の中でも一番の・・・(聞き取れず)は習志野にあります特殊作戦部というのはですね。
これは一番様々な事を想定して、行動できる部隊ですね。
あと九州の方に西部方面隊にあります西部方面の普通科連隊、・・・(聞き取れず)と言うんですが、これもそれに近い。
ただしそちらはどっちかと言うと中国を睨んだ島しょ防衛の部隊ですね。
そういう物もあります。

後は一般の空挺部隊とかですね。
そういう事になっていきます。
やってる事はそこそこ、隠れて訓練もやってはいます。
昔みたいに、仰ったような状況の時みたいにですね。
今、本当に徹底的に隠さなきゃいけないという、そういう状況には無いんですね。
ですから以外にももうオープンにしても問題ないんですが、特殊部隊ですから明らかにしないと言う部分で、出してない事もありますけども、それなりのやる事はやっております。

ちなみにですね、もう一つ言うと今ゲリラコマンドの対策みたいな物は、自衛隊全体としてもかなり重要な問題になっていまして、私らみたいな予備自衛官が年間わずか5日間訓練受ける時でも、担当した部隊によっては市街戦の訓練とかやる事もあるわけですね。
もちろん私が・・・(聞き取れず)という小銃を持ってゲリラコマンドの鎮圧に当たる時は、この国はおしまいだと思いますけども(笑い声)、一応そういうふうに全体的にはなって来ている、と言うことです。

★質問者3

例えば民間への被害の想定を折り込まなければいけないというご意見だったんですが、これどのように具体的に方法を使ったら良いとお考えですか?

★回答 荒木氏
 
方法と言うのは、相手がやってくると言う事ですか?

★質問者3

やってくることじゃなくて普通、民間人と言うのは日本の国民の事ですよね?(荒木氏「そうです」)
国民に理解を求め、家族の・・・(聞き取れず)どのような方法を使うと良いとお考えですか?

★回答 荒木氏

つまりですね。

拉致問題の解決と言う事を考えると、拉致問題の解決で強硬な姿勢をとった。
それについては北朝鮮側が脅かすと言う意味でですね。
こういう特殊部隊を入れたりとか、言う事をやって例えば東京の新幹線を例えば爆破するとか、あるいは毒ガスを撒くとか、そういうような事があるわけですね。
それに対してそういうことがあるならばやらない方が良いじゃないかと言う世論が出来てしまうと、これはもう相手方にどんどん付け込む隙を与えてしまう。

そこは、そんな事やるならやってみろと、こっちが仕返ししてやると言うようなふうにしていかなければいけないんですが、その為のですね。
私は一つ乗り越えなければいけない問題と言うのがこの拉致問題に関して言うならば、今どうしてもご家族がと言う、まず先頭に立ってるんですね、この拉致問題の。
政府もご家族の苦しみを少しでも和らげて問題を家族の問題と言うふうに、皆がどうしてもしてしまっている。
で、これでやってしまうとですね。

そこももちろん必要なんですよ?
私もそこで入ってきている人間ですから、否定はしないんですがこれをいつまでも先頭に出していると、結局最後は他人事になってしまう。
まぁそういう人たちも可哀想かもしれないけれど、それで新たに自分達が被害に遭う事はないんじゃないかなと、当然なってしまうわけですね。
そうじゃなくて、この拉致と言うのはこれはもう北朝鮮がやってきた一種の戦争行為であって、だからもしここで我々が怯んでしまったら、またもっと更に酷い被害が起きるんだという事を・・・

★質問者3

それは例えば、どういう対策を?

★回答 荒木氏

だからそれはつまり、ここでですね。
例えばちょっとした事で、ちょっと爆弾でも爆破すると。
これで日本の世論も大混乱して大騒ぎになると、これは強攻策は取っちゃいけないと言うのが巻き起こるとします。
じゃあ辞めようと、言うふうになったときには北朝鮮はですね。
この手を使えばもう次も出来ると思うわけですね。
効き目が悪ければもっと酷い事をやるという事になってしまって、そしてそれにコントロールされて日本の政府は政策を決めていかざるを得なくなる。
いう事になってしまう。
それが一番怖いと言う事です。
そこを何とかして止めなければいけない。

★質問者3

あと一つ、今回初めて36人の特定失踪者の情報を北朝鮮に公開すると言う事がニュースにありましたけども、例えば今、家族以外は全くの第三者ですから、どの程度が36人に数えられたのか?
向こうで目撃証言がありましたとか、こちらの・・・(聞き取れず)北の拉致だと考えられますというので、第三者をもう少し納得させられる方法と言うのはどのようなのか?

★回答 荒木氏

もっと他にいるという事についてですか?

★質問者3

例えば理由が無くていなくなったから北朝鮮による拉致ではないか?と言うのではなくて、北朝鮮による拉致と言うのはこういう証拠によって私達が北朝鮮による拉致だと考えます、と言うのはまぁいえないでしょうけども、どの程度公開できるものなんでしょう?

★回答 荒木氏

こういうことがあったから、こういう証拠があったからこれは拉致だというのはですね。
おそらく言えるケースと言うのは全体の1割も無いんじゃないかと思います。
それ以外は推測でやるのと、それから推測をしても分からないケースと言うのが相当数ある。
これどういうことかと言うと、要は政府認定者の中にも原(敕晁)さんとか久米(裕)さんとか田中(実)さんというのは、これは身寄りが無いのを狙った拉致ですね。
成功していれば、誰も拉致だと分かっていないケースです。
そうするとご家族が名乗り出ると言う事も有り得ない。

そういう人たちのケースと言うのは証拠も何も、いなくなってると言うこと事態分かってない事ですから、その人たちは証拠だなんだと言っていたら絶対に見つかる事は無い、という事になります。
だからこの問題が解決するのは、要は金正日の体制を倒してしまって、自由に中にいる人が帰国する。
あるいは我々が自由に北朝鮮に入っていける。
そして自由に自分の意思が表現出来ると言う所まで行かない事には、問題の解決には行かないし、全ての人を取り返すことは絶対に出来ない。
ということです。

★質問者3

もう一つ宜しいですか?
・・・(聞き取れず)の5月号に、日本の戦争にアメリカを巻き込むのだと言う最後にお書きになってらっしゃいましたけど、あれを具体的にどのような方法で決断なさるとお考えなんですか?

★回答 荒木氏

それはですから日米安保という事になるんですが、かつてその日米安保についてですね。
日本に日英安保がある方が戦争に巻き込まれると、アメリカの戦争に巻き込まれると左翼の方でずっと言って来たんですね。
そうではなくて逆にこちらが使うと言う事をもっと考えても良いのではないか?
それはどういうことかと言いますと、北朝鮮に対して何らかの救出作戦とかそういう事をやるときに、やはりアメリカに知らせないでやる事は不可能に近いですから、アメリカのいろんな物を使わざるを得ないんです。

アメリカが、今この間新潟に大使が行ってですね。
横田めぐみさんの拉致されたところの現場を見たとか、そういうようないろんなパフォーマンスをアメリカがしてるのは、やはり日本に対して協力をしているという姿勢を見せる事で、様々な事でプラスになるという読みがあるからですね。
もちろん同盟国だからやってると言う事もあるんですけども、しかしそういう物は最大限に利用して、ともかく日本は今この拉致被害者、国民を助けようとしているんだと、だから当然協力してくれということでですね。
アメリカを一緒に引きずり回すと、いう事が必要じゃないか。
一緒にですね、例えば在韓米軍の基地を使わせてくれとか、これを使わせろとかですね。 
例えばここまで輸送してくれとかそういう事を含めて協力を求めていこう、と言う事だろうと思います。

同時にアメリカが巻き込まれるという事はですね。
攻撃されれば当然アメリカは反撃をしなければいけないわけで、それは北朝鮮からすれば、日本とアメリカが一緒になってやってきたという事の恐怖感と言うのは、これは想像を絶するほどの恐怖感が当然あるわけでして、それによる抑止効果と言うのも当然大きいんだと思うんです。
それをやるべきだと言う事ですね。

★質問者3

具体的にこういう事を通してアメリカを巻き込むんじゃなくて、作戦としてありとあらゆる機会をアメリカと共闘するという?

★回答 荒木氏

こちらがこういうふうにやると言う事で、それに対してこれは事前に言っておかなければいけないと思いますけども、言っておいたら言っておいたで後は、じゃあこれやってくれあれやってくれと言う事を、こちらから要求していくと言う事ですね。
それは出来ると私は思っています。

★質問者3

ではあの時に、例えば16日にシーファー大使が新潟へ行って、翌日の17日に牛肉のBSEで輸入再開で早速利用して頂きたいとニュースがあって。
あれはあれこれはこれと言う考え方なんですけども、まぁそういう物かなぁ?と思いました。

★回答 荒木氏

同盟国なんてどうせそんなもんですから。
何となく日本人の中で、アメリカ好きって言う人と嫌いって言う人で、何か好きっていうとアメリカみんな日本の事を考えてやってくれると思っちゃう。
そういう人が多いんです。
しかしそんな物じゃなくて、同盟国ったってお互いの利益が一致する物と一致しない物があるわけで、それは比較的一致する物が多いから同盟国をやってるわけですけども、それでも全然違う所はある。
お互いに握手しながら足蹴り合うくらいのつもりでですね。
やってればいいわけで、その中でアメリカだって日本が使えるから利用しているわけで、こっちもアメリカで使えるものは利用しなければいけない。
それくらいの割り切りにしてしまわなければ良いかと思うんです。

★質問者4

すみません、座ったままで失礼します。
拉致問題とは関係ないかもしれません。
関係ないと言いますか拉致救出と言うテーマからはずれてしまうかも知れませんが、先日めぐみさんの写真展が妨害されたとか言うニュースを聞いておりましたが、こういった妨害工作と言うものがあるとするならば、まだ妨害している人たちがどういう所の人なのか分かってないのかも知れませんが。
これはやはり北からの物と見て良いのか?推測の話しかないのかもしれませんけども、それをお尋ねしたいのと。

いくつかの文献等を見まして、具体的にどうかと言うのは良く分からず、とりあえず西新井病院に関係があるという程度の話なんですが、地下鉄サリン事件に朝鮮総連というか、北がらみの組織があるというか関与していたと言うような事を文献で読んだ事がありまして。
僕は全く知らなかった物ですから、そうだったのか?と思ったんですが、その辺は真相はどうなのか?
分かるのかどうか?と言うことと。

もし関係があったとするならば、具体的に拉致以外にも我が国には被害者が出ているという事になりますので、そういうことでもう一度日本国民全体の意識の活性と言いますか、そのきっかけにならないか?と思いますがそのあたりはどうか、お尋ねしたいと思います。

★回答 荒木氏

あの写真展の話はですね。
ちょっと私も分かりませんが、他でこう言うのが起きてる訳では無いですから、一時的ないたずらの可能性が高いんじゃないかな?と、思います。

今、だから、朝鮮総連はそういう事に関してですね。
もう動く力が残っていないです。
力があればおそらくまたチマチョゴリの切り裂き事件とか、まだやるかと思うんですけどね。
もう全然無いでしょう?
かつてはちょっとミサイルがどうたらこうたらと言って、日本で世論が硬化するとすぐにね。
チマチョゴリが切られたとか言ってやってたわけですけども、もう今は無いと言うのはどういう事かと言うと、今下手に出しちゃってでっち上げだと分かっちゃったら大変な事になると言う事で、そういう事が出来る状況に無いんだと思います。

その時だって、あるいはひょっとしたらちょっと(朝鮮学校の)女の子をからかったとか、そういう事はあったかも知れませんけどね。
あったかも知れないけどそれは別に普通の日本人の女子高生だってからからかっていた人間が、からかっていた事もあるのかもしれないけど、それを我々はやられたと言うふうにしてしまった面もあると思います。
だからこれも同じで、何かしら、そういう脅かしたりして楽しんでいると言う、そういう話ではないかな?と
もし組織的であれば他の所でも同じ事がそれまでも起きているのではないかな?と、私は思います。

それからオウムとの関係なんですけども、これはですね。
私も良く分からないんですね。
オウムに関しては坂本弁護士事件の担当をやっていた、テレビに出ているあの滝本(太郎)弁護士なんかともお話をしたんですけども、その事も聞いてみたんですけども、滝本さんは全く関係が無いはずだと言ってます。
それはあの人自身が結構何回か殺されそうになっている。
本人はオウムの・・・(聞き取れず)とかああいう連中とですね。
いろいろ話をして、相当の時間聞いていると。
で、絶対いって無いと言ってると。
本人は死刑になる事が分かってるんだから、今更隠してもしょうがないはずだと、言ってはいました。

ただ西新井病院とか、かする部分はある。
何かしらひょっとしたらあるかもしれないと思いながら、正直言って今のところは結論が出ないと言うのが実情です。

★質問者4

どうもありがとうございました。

★最後にまとめ 荒木氏



最後にもう一まとめだけして終わりにしたいと思いますが、本当に今日時間遅くなってしまいましたがありがとうございました。
覚悟しなければならない事と言う話をしたのは、私、今、今回が初めてでございまして、正直言って自分自身でもですね。
一般の人に話をするときに、やはりそういう事は言いたくない、です。
言いたく無いけれど、この拉致の救出運動をやっている人であれば、誰でも心の片隅にですね。
この事をやる事によって拉致被害者に危害が及ぶのではないか?とか、そういう恐怖感は持っているはずだと、私は思っています。

9.17の時にですね。
あの時に私は外務省の麻布の飯倉公館で、横田めぐみさんのご両親とか有本恵子さんのご両親とか増元さんとか市川さんなんかにですね。
に対して、政府が「亡くなりました」と言う現場にいた人間でございまして、あの時は本当にですね。
自分がやってた事で、人殺しをしてしまったと。
いったいどうやって償えばいいんだろう?と、本当にですね。
頭の中が真っ白になるというのはこういうのを言うんだろうなと、言うような体験を致しました。

今、これをやってる限りはですね。
また、あるいはもっと酷い事を体験しなければいけないんでは無いだろうか?と言う事を、ある程度覚悟は致しております。
覚悟はしてますけども、誰かがやらなければ、これは絶対に問題は解決しない、と言うふうに思っておりますし。
これまで、もし何十年も前に拉致の過程で殺されてですね。
日本海に沈められた人が居たんだとすれば、その人たちの思いをですね。
少しでも慰める為には、絶対にこの事をここで止めることは出来ないというふうに私は確信を致しております。

これは本当にある意味で言うと、戦後60年間、我が国はですね。
とにかく自分から悪い事をしなければ人から悪い事をされないんだという、全くの夢のような事を、夢だと分かっていながらそれを現実のつもりでして余計な物に目を向けて来なかったと。
言う事のある意味で、ツケだったと思うんです。

おそらく小泉さんはあの拉致問題に手を付けて、それまで何の関心も無かった事なんでしょう。
それでやってみてですね。
この問題の深さをおそらくかなり分かったんだと思います。
分かってパンドラの箱の蓋を閉めようとしたんだけど、もう締め切れない。
と言う事がですね、今日につながっているんだろうというふうに私は思っております。
我々もその蓋を開けて見なければいけない時が必ず来るであろうと。

そして、いったい我々は何をやってたんだろう?
安全とかそう言う物はですね。
ほったらかして勝手に来るものだ、と言うふうに思っていたという事が、間違いであったという事がやっと戦後60年経って分かったという事になるのかな?と。
余りにも遅すぎたといえば遅すぎたという事なんですけども、しかし我々自身が皆ですね。
その事に絶対に直面をしなければいけない時に今来ているんだろうというふうに、私は思っています。
そしてその時になれば、この国はちゃんと動ける国であると私は確信を致しております。

増元照明さんのお父さんが亡くなる時に、「俺は日本を信じる、だからお前も信じろ」と言って死んでいった。
あの事を考えればですね。
我々はその言葉に対して、恥ずかしく無いようにしなければいけないのではないだろうか?と言うふうに思っている次第でございます。

これから先まだ、いろいろですね。
雑音があるでしょうし、いろんな事が起きると思います。
起きると思いますけども、しかしですね。
最終的な目標だけは絶対に見失わないようにしなければいけない。
見失わないでやっていればですね。
絶対に私は問題は解決できると、この国はその力があるというふうに思っております。
どうか最後までご協力をお願いしまして終わりたいと思います。
ありがとうございました。(拍手)

・・・講演会終了・・・

06.4.21 荒木和博氏その3 戦略情報研究所講演会(3)

『荒木和博氏の講演 その3』



え、ちょっとおまけですが。(自衛隊の制服姿の荒木氏の写真がスクリーンに映る、会場小さな笑い)

もう少しですね。
後残りの時間ですね。
安全保障と言う意味でもうちょっと 我々が何でこの事を危険を負っていてもやらなければいけないのか?と言う事についてのお話をしておきたいと思います。

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これは・・・・・・(聞き取れず)と思いますが、元朝鮮総連の財政局の副局長、韓光熙(ハン・グァンヒ)と言う人物がですね。
が書いた「我が朝鮮総連の罪と罰」の中に出てきます、韓光熙一人で策定した進入ポイントですね。
38ヶ所を設定している。
韓光熙一人で38ヶ所と言う事は、これは別に一人でやってたわけではありませんので、3桁のかなりの所まで行く進入ポイントがある事は間違いない。
ここには日本海側が中心ですけども、当然太平洋側にも存在しているはずであります。

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これは富山県の黒部川の河口で発見された北朝鮮工作員の水中スクーターで、これ自体が見つかったのは平成11年、12年だったかな?くらいですね。
まだ6〜7年前の事なんですけども、埋められたのも平成2年から11年の間に埋められているという事であります。

Img_2746.jpg

埋められた場所はこの黒部川の河口ですが、この場所から言いますとここらへんになったと思うんですけども、このこっちからこう来て、その先の所がこうなっているんです。
ここらへんに埋められていたと言う頃でありまして、土が露出して明らかになったと言う事であります。
こうやって見て分かるように非常に開けた場所ですね。
開けた場所にあるのにも拘らず、こういうところに重い水中スクーターを引きずって持ってきて埋める事が出来たということです。

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さっきのはついこの間ですが、これは能代事件で昭和38年の事件。
これはこの頃は非常にですね。
工作員の進入が多かった頃でありまして、恵谷さんの著書にも一つ一つの事が詳しく書いてありますけども、能代にですね。
2回に亘って工作員の死体とか、あるいはゴムボートですとかいろんな機材が流れ着いた事件であります。
そのなかにこうやってピストルもあった。
当然入って来る工作員の中で、こうやってピストルを持って入ってきている人間と言うのは、ピストルですとか銃関係を持って入って来ている人間であるわけであります。

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これもですね、機材も全部持って来ていたと。
ちなみにこれは秋田県の能代ですが、能代から北、JRの五能線の沿線は本当にそう言うのがしょっちゅう入っていた所だそうで有りまして、あるテレビ局の人がここを後で取材した時に、そこにいる住民の漁師さんたちがですね。
みんな何か賞状を持ってくる。
警察からの感謝状を持っている。
何かと言うと要はですね。
置いてあった不思議な変な金の入っていたバッグですとか、工作用の機材が入っていたバッグを拾って警察に届けたと、いう事で感謝状をみんな持っていたというのにビックリしてしまったという話なんですが。
そういう所がざらにあるというんですね。

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いうまでもなく日本の海岸はこういうふうに非常に横がオープンになってるわけですが、韓国の海岸であればこうやって鉄の柵がずっと巡らしてある。
そしてある程度の距離の感覚で韓国軍の警備歩哨があって、実弾を込めた銃を持った兵隊が警備をしているわけでございます。
この韓国の海岸でも北朝鮮の工作員は入るわけですから、日本の海岸なんかですね。
どうぞいらっしゃいって言うような物であります。
しかも日本は非常に海岸が入り組んでいて海岸線の長さが長い。
これをまさに専守防衛で防ごうって言ったって、出来るわけが無いということです。

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北朝鮮はこういう、御覧になった方もおられると思いますが、工作船を持って侵入してくる。
これは今横浜の海上保安庁の展示施設の中にある、例の工作船ですが、これを見てもですね。
この工作母船は漁船を改造した物でも何でもない。
正面の切り立った船首を見ても、このために作った船であるということが明白でございます。
この船は40ノット(1ノットは1.852キロメートル毎時、40ノット=時速約74キロメートル)以上のスピードが出る。
その右側の工作小船という小さな船はただのポンポン船に見えますけども、これは50ノット(=時速約79キロメートル)くらいのスピードが出る。
と言う非常に高性能の船でございます。
それで入って来る。
つまり北朝鮮の工作活動と言うのは拉致もそうですけども、たまたま一時的にですね。
思い立ってやったものではないと、これはずっとやる。
それが当たり前だという事でやっていた、という事になるのでは無いだろうかと思います。

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で、この工作船の中にはこういう対空機関銃の装備があった。
非常にかなり大きな機関銃ですね。
それからこういう地対空ミサイルの反動砲、こういう物も積んでいて、手榴弾ですとかそういう物もたくさんあったと言う事でございます。
ですから工作船とか不審船とか言うと何か聞こえが良いんですけども、これは間違いなく一種の軍艦であるというふうに思った方が良い、と言うことであります。

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ということでですね。
結局何が言いたいか?
専守防衛では日本は守れない。
つまり逆に言えばどういうことかと必要に応じて威嚇をする。
先制攻撃をするということが必要ですね。
これは日本の国会でもすでに、例えば敵国がミサイルの発射準備をしたときには、これをですね。
先制攻撃をするのは自衛の範囲だという国会答弁もありますので、それをするという事は考えておく必要はある。

で、今、ミサイル攻撃とかやろうとしています。
物凄い金がかかるわけですけども、そのお陰で自衛隊の一般の予算はかなり削られてしまうすう勢にある。
しかし今の状態で、物を決められない状態でミサイル攻撃をやってもですね。
例えば、「ミサイル発射されました」というですね。
天気予報以外、何も出来ません。
こんな事をやったって、ほとんど意味が無い、と言うことだろうと思います。
アメリカがですね、予報と言う事以外、どうしようもないと私は思っています。

で、最初に言いましたけどこの事はやるとなれば、政治が決断をしなければいけない。
例の集団的自衛権の問題なんかも、国会で議論しても法制局が「それは憲法に関って行使出来ない」、言う事を言っているのが一つの歯止めになってしまっているわけですが、しかし法制局と言うのはですね。
あくまでも法律用語を作ったりするのの手助けをするところであって、それを決める場所ではありません。
これは国会の意思としてですね。
法制局が何と言おうとやる事はもちろんやらなくてはいけない、言う事ですね。
国民から選ばれた国会議員がですね。
役人の言う事を聞く必要は全然無い、と思います。

以上は現行憲法でも可能である。
そしてこれ、逆にですね。
憲法が改正されなければ出来ないと、こういう事を言う人が多いですけども、そういう思考停止は絶対に許されない。そんな事を言ったら絶対に、問題解決する事は出来ません。
逆にですね、私は今ある憲法を改正する事は非常にちょっと危機感を持っておりまして、何か保守系の人でですね。
憲法を改正すれば全て上手く行くと、彼らは勘違いをしてしまっていると。
いったいどう変えれば良いかという事については何も考えて無いわけですが、しかし何か変えればですね。
全て上手く行くんじゃないか?と思っているという事で、そんなのは絶対に有り得ません。

毎年ですね、憲法を変えるというくらいの事にしていけば、いくらか時代からずれるのは止まるかもしれませんけど逆にですね。
変なふうにいい加減に憲法を改正してしまうと、その後でですね。
今はあの憲法であれば戦争に負けてアメリカがドサクサに押し付けたんだと言う事で、だからそういう努力目標にしておきましょうよで済みますが、一旦憲法を改正してしまえばですね。
国会でしかも、国民投票までやるわけですから、そしたら国民が認めたという事になってしまって、尚更手足を縛ってしまう事になる。
だから憲法改正の問題はですね。
逆に気をつけておいた方が良い。
今のままでも出来るんだと言うことです。

そしたら我々が常に認識しておかなければいけないのは、今我々は我々自身の利益と言うことだけで動いております。
で、今の生活がどうなるのか?どうすべきか?
今の生活が厳しいからこうすべきだとか、今の景気が悪いからこうすべきだとか言ってますけども、しかし日本と言う国は今生きている我々だけのものでは無いと言う事は当たり前なんです。
先祖があったから我々が存在するわけでありまして、そしてこの国にはこれからも我々の子孫が生まれてですね。
そして育ってこの国を形作っていくわけで、我々は祖先とそして未来に生まれてくる我々のその次の世代にも責任を持っている。
我々もあくまでも今の時期に中中継ぎをするだけだ、と言う事でございます。

だから過去の世代に対してですね。
失礼になるような事は絶対にしてはいけないし、そして次の世代に対してもツケを回すような事も絶対にしてはいけない。
そのために我々自身が犠牲をするということの必要はあるのではないだろうか?と思います。
「男たちの大和-YAMATO」のコピーでですね。
「彼らが命懸けで護った未来に私たちは生きている」いうのがありましたけど、まさにその通りでは無いだろうか?というふうに私は思っている次第でございます。


大体一時間たったわけでございますけども、やはりですね。
もう、今、あんまりのんびりしている時間は無いと私は思います。
「しおかぜ」を始めまして大体半年経ちました。
まだ情報の収集と言う意味では十分に出来ておりませんけども、本当にこれは具体的な事はこれだと、まだ余り言えないんですが、感触としてはこれから先急激に変わるんではないか?と言う感触を私は持っております。
いろんな情報の入手とか、あるいは上手く行けば救出と言う事も含めてですね。
動く可能性がある。

それは始まったら待った無しで、凄いスピードで始まってしまうだろうと思うわけでございまして、その時にですね。
いろんな事をですね。
大所高所はどうだとか、そういう事を言っている余裕は無い。
政府がけしからんとか外務省が駄目だとか、そういう事を言っている余裕すら無くなるであろうと言うふうに思います。
全ての立場の人たちが、それぞれの立場で各々やっていく事で、状況を進展させるしかない、言う事だろうと思います。
そしてそういう状況になった時、実は我が国がある意味で言うと一番強い、と言う事も私は確信を持っております。

この国は60年前にですね。
アメリカ相手に戦争をやった国であります。
アメリカだけではない。
中国でその前、4年前から戦争を始めていてですね。
そして中国戦線で伸びきった所に持ってきて、アメリカ・イギリス・オランダとまとめて戦争を始めてしまったと。
そしてあれだけの酷い所でですね。
とにかく世界中の大国を向こうに回して戦う事が出来た国なんです。

しかもその日本はですね。
陸軍と海軍の中が物凄く悪かった。
陸軍が潜水艦や航空母艦を作ってしまった国と言うのは世界中で我が国しか存在しないわけでございまして、これは良い方に見ればですね。
いかに我が国が優秀であったか?
陸軍でも潜水艦や航空母艦を作れたという証明でもあろうかと言うふうに思います。

ケンカしながらともかくあれだけ戦う事が出来たという事の中の一つにはですね。
旧軍でも今の自衛隊でも、あるいは一般のいろんな社会の各局面でそうですが、中堅クラスがですね。
非常に優秀な人が多かった。
ある程度ハッキリした目標が定められていれば、その目標に従って自分で物事を考えて行動する事が出来るというのがこの国の一番の強みでありまして、これはですね。
アメリカでも中国でもロシアでも絶対に真似が出来ません。

アメリカとか中国とかロシアとか、基本的には上に立つ人間は物凄くしっかりしなければいけない。
それが全ての責任を負う。
その代わり下にいるのは、どんなアホが来ても構わない。
と言うのが基本的に前提でございまして、どんなアホが来ても大丈夫なようにやるシステムであります。

日本はそうではなくて、上に行けば行くほど悪くなる。(笑い声)
と言う非常に困った国ではあるんですけども、逆に言えばですね。
上が問答無用の方針があれば、勝手に物が進んでいくと言う事でございます。
これはもう、戦後、というか、まず明治維新の時から戦後の復興とかですね。
そういう時に日本人が発揮した底力と言うものがあるわけでございまして、そうすると今のような状況でですね。
もう北朝鮮なんかメチャクチャな状態になっている。
中国なんかが手を突っ込む。
今胡錦濤がアメリカ行ってやってるわけですけども、本当はもう北朝鮮が6者協議に参加すると言うお土産を持っていきたかったのに、北朝鮮が言う事を聞かないと。

そしてブッシュはブッシュでですね。
自分の支持率に火がついているだけではなくて、今のアメリカの国力から言ってですね。
北朝鮮に軍事攻撃をする力なんか残っていない。
脅かすのは散々っぱら脅かすと思いますけども、しかし出来るだけ枠を作ってですね。
向こうからやられれば当然やり返すんでしょうが、こちらから因縁つけてやると言う事はもう出来そうも無い。
みんなそれぞれですね。
弱みを持っているわけであります。
尚且つみんな勝手なシナリオを書いている。
役者はここに何人もいるわけですけども、その人の周りに演出家とかシナリオライターとかがいてですね。
「おい、このシナリオでやれ!」と言う事をあっちからこっちからシナリオを突きつけて来ているというような状態であろうと思います。

もうちょっと分かりやすく言う為にはですね。
放送禁止用語を使えば説明できる部分があるんですが女性がいますので、ちょっとその部分は控えさせて頂きますが、ともかくですね。
そういうような事は我々にとって、非常にプラスなんだという事を考えてみて良いのではないか?
我々はそれを絶対にやる力がある、と言う事でございます。
そうでなければですね。
この国はこんな経済大国になるはずも無いし、あるいは明治維新以後ですね。
あっという間にこれだけの大国になっていくはずが無いわけでございます。

今、韓国のですね。
保守系の方で非常に今、韓国の事を憂いている方が言っておりましたけども、結局経済の急速な発展と言うのはあるけれども、政治には急速な発展は無い。
つまり韓国、ご自分の国の事を差してなんですが、今韓国の中は左翼が全盛でメチャクチャな状態になってる。
経済は確かに韓国は非常に良くなったんですけど、やっぱり政治とかいう事は出来ていない。
結局だからそういう形で近代化出来た国は、世界中で日本しか今だないんじゃないか?と言っておりましたけども、やはり我々がそういう部分に対しては自信を持っていて良いのではないだろうか?
と言うふうに思っている次第でございます。

その思いでですね。
これから先、おそらく短期間に、かなりのいろいろな事が起きると思いますし、ショッキングな事とか様々な事が起きると思いますがここにお出での皆さんは何とかですね。
その最新の方向性を見失わないで、共にこの問題の解決に努力をして頂ければと言う事を思っております。
残り25分でございますね?
残りあと質問等をお受けしていきたいと思います。
とりあえず、終了させていきたいと思います。
どうもありがとうございました。(拍手)

06.4.21 荒木和博氏その2 戦略情報研究所講演会(2)

『荒木和博氏の講演 その2』



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じゃぁ、どういう風にしていくのかと言うことなんですが、まずですね、やらなければいけない国内の捜査なんですが、実行犯らの検挙をする、それから北朝鮮系組織の違法行為の摘発をする、そこから今までもやってきてることを更に強くやってもらうということ。これは、当然警察の仕事と言うことになります。ただ、鳴り物入りでやった、原さんの拉致に関わる大阪の商工会、あのラーメン屋のがさ入れも、結局あれだけで、誰も捕まえることができない。

こんなことを言うと誤解を招くかもしれませんが、がさ入れをやる、礼状を持ってがさ入れをやると言うことは当然犯人を検挙できると思ってやるはずなんですね。がさ入れだけやって、検挙しないと言うことは、ある意味人権侵害なんじゃないかと思うんですが、なんで向こうは言わないだろうとすら、思う次第です。

すでに原さんが拉致をされてから、26年たっているわけで、26年たってから、ラーメン屋をがさ入れしても、おそらくラーメンの汁ぐらいしか残っていないわけでして、何もわかるはずがない。

そう言うことでは困る。実際に救出に近づけるための、捜査をしてもらわなければならない。そして、それ以上に必要なのは、北朝鮮側の情報の収集でございまして、これは拉致被害者の状況、北朝鮮の内部情報等についてですね、収集して分析をするという努力が必要でございます。

こないだ内閣府の制度幹事会の中に【特命チーム】というのを作りまして、やっと今から始めたんですが、しかし、この特命チームの中から防衛庁ははずされていると言うことでありまして、普通だったら考えられない話しなんですけれども、現実にはそう言うことになっている。

で、まぁ、人のことばっかり言ってもしょうがないので、調査会では、これを今できるだけ進めていこうとをしております。惠谷さんに調査会の常務理事になっていただいたのも、ここの部分をですね、何とか強化をしたいという事でお願いをしたわけであります。

それから、『国際的包囲網』、これは普遍的な人権問題としての圧力、それから同じ拉致被害者を抱える関係国と連携ということで、すでに、この月末に横田早紀江さんたちが(アメリカに)行かれて、アメリカの議会で証言をされる。それにあわせて、(4月)22日にはホワイトハウスの前でデモンストレーションをやるというようなことが決まっておりまして、まぁ、そう言うものはだんだんと着実に進んでいる。

それから、こないだのDNA(鑑定の)問題などで、この韓国との連携も更に強化されるであろうと、想定されます。

そういう事の中で、やらなければいけないのは、経済制裁のような、このような圧力、そして圧力をバックにした交渉ですね。これはもう、外務省、それから警察庁等の関係省庁の連携、対応、それをやるときに国民が支持するということが当然必要であります。

それから、【北朝鮮の威嚇に屈しない国民の姿勢と政府の対応】、まぁこれは国民保護と言うことで、北朝鮮が、場合によっては特殊部隊を入れるとか、あるいはですね、ミサイルですね、こういうことを言い出してくる可能性がある。
その時に、これがやはり気持ちの問題なんですが、『そんな怖いことになるんだったら、拉致問題、あんまり騒ぐの止めようよ』と言う風に世論がなってしまう可能性がある。それは、十分にあります。

『どうせなんだかんだ言ったて、家族の問題じゃないか。かわいそうな家族かもしれないけれども、それを守るために、我々まで被害に遭うことはないでしょう』と言う風に世論がなっていく可能性はこれは、十分にあります。
そこを、世論=国民がですね、<そんなものには屈しない、我々、戦うんだ>という姿勢を見せることによって、それが北朝鮮に対する圧力になると言うことなんですね。それがどうしても必要である。

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それから、これは主に自衛隊の範囲ですが、【体制崩壊に伴う邦人の保護】を行う。つまり体制崩壊になった場合にですね、どこで、どういう風に助けるかと言うこと、これは、我々やっております<しおかぜ>でもやるつもりにしておりますけれども、そして、一方でですね、たとえば、・・ですとか、清津とかに、護衛艦が行ってそして救出をしてくる。これはこの3月8日に、参議院の予算委員会で、民主党の山根隆二議員が質問をいたしまして、額賀防衛庁長官が、拉致被害者の救出という意味では初めての答弁をしてくれたんですが、生ぬるい答弁ではありましたけれど、『外務省の要請があれば行きます』と言う風に言っておりました。ただ、言わなくても良いおまけにですね、『安全が保障されるのであれば』という余計なことがついていたわけですが、安全が保障されるなら別に自衛隊がいく必要などないわけでございまして、そういうことは取っ払っても言ってもらうしかない。

イラクの派遣の時に、小泉首相は、イラクの特措法で、『自衛隊は安全なところに行くことになっている。だから、自衛隊が行くところは安全なんだ』という非常に素晴らしい論理を使って、イラクを解放したわけでありまして、この論理を使えば、何でもで、おそらくできるだろうと、いうことですね。


それから、【救出作戦】ということで。これは自衛隊を使って、救出をすると。そのために、向こうにいる拉致被害者と何らかの形で、アクセスができて、そして、本人が『危険を犯してでも帰りたい』と意志がはっきりした場合に、何らかの手段を使ってやるということですが、これはやるとなっても、ぎりぎりまで極秘の状態でやらざるを得ません。しかし、そう言うことをやった場合に、やはり国民の支持が当然必要だと思います。

そういうことをやると言うことは、つまり<日本人の拉致被害者の救出>を突破口にして、全ての拉致被害者の救出して、そして、北朝鮮の国民の人権を回復すると言うことであります。それはつまり金正日体制を崩壊させること。それによって、東アジアの安定と日本の安全を図る。まぁ、当然、北朝鮮の向こうにもうちょっとやっかいなのがいますけれど、金正日体制の崩壊というのをですね、日本が主導してやっていく事によって、中国に対しても、カードを持つことができると言うことだろうと思います。

ちなみに、おととい(19日)法律家の会の総会がありまして、そのあと講演会にですね、ジンネットの高世仁さんが、講演をされました。そこで高世さんが本に書いたものを資料として持ってこられたんですが、高世さんの論文のタイトルがですね、『金正日体制を平和的に打倒するということについて』という論文なんですね。こういうことを説明しながら話をしてくれたんですが、だんだん話しているうちにですね、じゃぁ具体的にどうするかという話になったときにですね、『結局、暗殺するのが一番早い』という話になって、全然平和的でも何でもないんですが。(荒木さん、会場とも、笑い)結局、とどのつまりはそこに行ってしまうと言うことなんだろうと思います。

そう言う中で、自衛隊が何をしなければいけないかということなるわけなんですが、これは先ほど言ったことと重なりますが、情報の収集、拉致被害者の状況の特定他ですね。幸か不幸か特命チームの中に、自衛隊が入っていませんから、だったら勝手にやればいいということになります。

ここらへんのことは、もう今でも進められる事ですね。

それから、先ほどの額賀長官の答弁と関係しますが、【体制崩壊時の拉致被害者の安全確保】
これは、体制崩壊の時に、殺されるとか言う危険は当然あるわけでございまして、その時に安全をどうやって確保するかということが一番問題だと言うことであります。

これは朝鮮戦争の時でも北朝鮮軍というのは、攻められて逃げていくときにかなり虐殺をやっています。ですから、刑務所なんかに入れてあった政治犯などはみんな殺して北に逃げていますので、そういう可能性はですね、我々としては考えておく必要があるという事になります。

で、もちろん【救出作戦】ということですね。そして更に、北朝鮮のテロとか、ミサイル等への対処をする。これは、国民保護の観点から、必要です。そのためには、今の<専守防衛>と言うことでは、絶対限界があるんです。これはもう、この国の状況を見ていて、これだけ海が広い国でですね、入口に来たところを、蠅たたきみたいに追っかけるなんて事は、絶対にできるはずがありません。
だから、これを我々国民が自分たちの安全を守るのならば、専守防衛ではなくてですね、実際にこれに対応していかなければいけないと言うことです。

いずれにしても、これらのことは、準備が整いきれない状態で見切り発車になることは間違い有りません。
しかし、<そうは言っても、準備ができていません>などと言って、それを理由にして躊躇するなどということは絶対許されないと言うことでございます。

もうこういう危ないときにはですね、軍隊がいくしかない。そのために我々、何兆円も税金払っているんでして、その時になって、「あれもできません」、「これもできません」と言うのでは困るわけです。

ところが、・・・残念ながら、自衛隊得体の中では、何かというとですね、この法律ができてないから、憲法がひっかるとかですね、マスコミが悪いから、そういう泣き言ばかり言う人が、結構少なくない。それは非常に問題です。

おそらくここに来られる方は、やはり自衛隊と言うものに対してですね、好意的な方が多いと思いますけれども、残念ながら、今の現状はそんな簡単なものではないということも理解をしておいて頂く必要がある。

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それはこの【課題】と言うこと何ですが、自衛隊を出すときにはですね、法的な根拠などと言い始めたらですね、とても間に合いません。これはもう基本的に政治判断に委ねなければいけないということです。

憲法を直してですね、自衛隊法を直して、あれも直して、これも直してなんて話をしてたらですね、そんなことやっていたらみんな死んでしまいます。死んでしまっても良いのか?<それでも法律を守る>という人はたいしたもんですけれども、しかしそう言うことは許されないと思います。

これはですね、基本的には個別自衛権の行使だということです。憲法上の問題があるという人が当然これは、出てくると思うんですけれども、そんなこといってたらですね、自衛隊というものがそもそも憲法違反の存在でありまして、予備自衛官であるわたしだってそうですが、憲法上、あってはいけない軍隊が存在しているわけでございます。
別に、イージス艦とか、F15とか、・・・式戦車を持ったこの集団がですね、消防署とか八百屋さんと同じと見る人はいないわけでして、間違いなく軍隊を持っているわけですが、その軍隊を持っていても−−憲法上問題があると言うことはどういう事かというと、逆に言うと、憲法の方が間違っているということですね。

だからこの状態で、もうきちゃっているから、それならば、護憲派の人たちは憲法、直しちゃいけないと言っているわけで、そう言うことであれば、憲法がどんどん形骸化していくということで、まぁ、逆に言えば、形骸化していると言うことは(とっくに形骸化しているんですけれども)それがわかったのであれば、もうですね、逆に言えば、もう自由にできるはずである。それは、国民の意思を受けて、国会が構成され政府ができているわけですから、その判断を持ってやるということが、当然の責務であろうというふうに思っております。

自衛隊以外に助けることができないと言うときにですね、拉致をされて、そして憲法はどうかというならば、基本的人権をきわめて長期的にわたり蹂躙されている我が国民を救うためにですね、これを使えないというのであれば、それは税金泥棒であって、年間何兆円もですね、税金を削る必要は私はないと思っている。

そしてさっき言った話なんですが、しかし、実現のために必要なのはですね、国民による支援と同時にですね。自衛官のほうの意識改革も、これは絶対に必要である。

拉致問題というのは主権を侵害されているわけですから、当然ですね、軍人からすれば、自分たちの縄張りを荒らされていると言うことになります。絶対に、正義的に許しておけないというふうに怒ってもらわなければ困るんですね。ところが、あんまり怒っている人がいない。我々・・・と思っている人が多いんです。

私は、この6年ぐらい、航空自衛隊の幹部学校で一番上のクラスの教育にですね、ちょっと関わっていたいたことがあるんですが、何年間もやってですね、非常に不思議な違和感を感じています。それはどういう事かと言いますと、なんだかわかんなかったですね。一昨年ぐらいから、ぱっと気がついた。私はこの北朝鮮問題、拉致の問題なんかについて、年間に二日間ばかりですが、話をしたんですが、その時の反応がですね、なんかその、軍人の反応っていうんじゃなくて、国際関係やってる大学院生と話しているような感覚なんですね。

みなさん非常にまじめな人達なんですね。一佐とかですね、二佐クラスですから、基地の司令部とかそれくらいのクラスのかなり上の人ですけれども、それであるにも関わらず、なんか非常に他人事みたいに聞いている。その緊張感が足りないという感じがしました。こういう拉致の問題なんかについて、軍人としての怒りを感じてもらわなければしかたない。

私自身が予備自衛官でも、実際に招集されたときには、一般の自衛官と同じ扱いになり、一般の自衛官であれば、自衛官の宣誓ということでですね、任務遂行に当たっては、身の危険を顧みずと言うことを、宣誓しなければいけないわけでありまして、これはつまり、<いつでも死ぬかもしれないよ>と言うことが一応前提になっている訳であります。その緊張感を持ってもらわなければないけない。これはですね、正直言って、これから先非常に大きな問題にやはり、なってくるだろうと言う風に思います。

私も半分足をつっこんでいるわけなんで、それをこれから先も、内部でも言い、そして外からも言おうと思っているんです。だからみなさんも、もし周りに自衛官や自衛官の知り合いとか、あるいは部隊に行ったりとか、そう言う機会があったら、「何故自衛隊は拉致問題に動かないんだ」と言うことをやはり是非言ってもらいたいと思います。

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そして更に進んでですけれど、この拉致問題が・・前提で、我々、覚悟しておかなければならない事はですね、これは私も今まで感じていたことですが、今まではこういう講演の場で言ったことは一度もありません。今日こういう場でこれから言っておかなければいけない。

寺越昭次さん寺越事件の一番上おじさんですが、この方は、拉致をされた時にですね、その場で殺されて、錘をつけて海に沈められたと言われております。これはおそらく間違いないと思うんですが、これに当たる人は、他にも間違いなく存在をします。

安明進も、連れてくる途中に衰弱して亡くなった人とか、あるいは北朝鮮まで連れてきて数日で亡くなった人と言う話をですね、−−まぁ、これは本人が見たわけではありませんけれども−−、そう言う話を聴いたということは言っておりますので、必ずあるなと。

私達は、そう言う意味で言うと、今想像もしていないような現実に、間違いなく直面する時がきます。我々も名前を知っている人−−今のところ、幸いにして私は誰がなくなっているとか言う情報を、受けてはおりませんけれども、特定失踪者、あるいは、それ以外の人も含めてですね、そう言う状況になった人が、一定数いると言うことは覚悟しておかなければいけない。

逆に言うと、その数は今でも増えている可能性があると言うことです。
だからこそ、のんびりと待っていることはできないということになります。

それから、拉致被害者の救出に自衛隊を使った場合、戦死者が出るという可能性を考える必要がある。
これは救出作戦の場合は、より可能性が高くなりますが、そうでなくてもですね、北朝鮮には実際には腹が減って動けないとは言いながら100万人以上の軍隊があり、そして、そこに武器が行き渡っているわけですね。混乱状態の中で、何が起こるかわからない。そう言うことになると、戦死という人が出るという可能性も覚悟しておく必要があると言うことです。

ところがこれも問題なんですけれども、自衛官の中で、自分が戦死すると思っている人があまりいないですね。
自衛隊にいれば安全だと思っている人も意外に多い。最近若い、若くして入っている人はですね、逆に北朝鮮の驚異だとか、あるいは海外派遣だという話を、若い人は知っていますから、逆に若い人の方がしっかりしているんですが、私と同じくらいの年とかですね、そう言う中には、そうでもない人が結構いる。しかし、実際には、こういう事ですね、説明すると言うことも、考えておく必要があると言うことですね。

それから、北朝鮮が報復して特殊部隊でテロを行ったり、あるいはミサイルを撃つという可能性もですね、全くゼロと言えないわけですね。その時に場合によっては、一定数の民間人の被害も覚悟せざるを得ない。そう言うことがあるのであれば、「拉致被害者救出なんか止めましょう」という風になってしまう可能性が、半ば有ると言うことですが、それを我々は絶対に乗り越えなくてはならないと言うことです。

そして更にみんな取り返せばそれでハッピーエンドになるかというと、そうではありません。
生存している拉致被害者が全部帰還が実現しても、被害者の状況はおそらく千差万別です。対応には、これに対応するためには、これ、どのくらいいるかわかりませんが、たとえ、100人であっても、人的、物的資源の導入が相当必要になる。ハッピーエンドには絶対終わりません。

それから全部の拉致被害者の救出が成功するというのは、おそらく、外国の拉致被害者も還る。それから、在日朝鮮人に帰国者及び、日本人妻等もかえれるであろうと思うんです。
そうすると、拉致被害者とそうやって在日の帰国者の中にはある程度騙されて行った言える人もいるわけでして、そこを一体どうやって区分けをするのか。そしてその人達にですね、どういう教育をし、あるいはどういうリハビリテーションをしなければいけないのかということを考えると、やらなければいけない事というのは、ものすごくたくさんあり、そして、それもしっかりした基本方針を持ってやらないと、大後悔に陥ると言うことであります。

その覚悟の上で、なんとか我々は決断をして、行動しなければいけない。

今まで、私自身も、正直意図的に余り言っておりませんでした。しかしもう、これ我々は考えておく必要が絶対にあると言うことであります。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
このエントリーのテキストは、金木犀様の手によるものです。

2006年05月09日

06.4.21 荒木和博氏その1 戦略情報研究所講演会(1)

2006年4月21日(金)
 「自衛隊による拉致被害者救出のシミュレーション
ーー議会・世論等周辺状況の整備を中心にーー」

※プロジェクターを使い、パワーポイントで作成した資料を表示しながら、講演が行われました。
講師:荒木和博氏
   戦略情報研究所所長
   特定失踪者問題調査会代表
   拓殖大学の教授
   予備自衛官

『荒木和博氏の講演 その1』

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ご紹介頂きました荒木でございます。
今日はみなさんお忙しいところ、時間がだいぶ遅いところからのスタートですが、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
今日は、私自身、今紹介にもありました、私自身予備自衛官でございまして、この連続のシリーズは、拉致被害者の救出のために、自衛隊をということが中心的なテーマでやってまいりましたので、本来であれば制服を着てお話をすれば臨場感があるんですけれども、ここでさすがに制服を着てしまうとですね、これからの話の内容から言って、どう考えても、問題があると言うことでですね、制服まがいで、迷彩ではありますが、これは駐屯地で買ったものであるんですけれども、別に制服ではないというもので、ちょっとかっこだけつけて話をさせていただきます。

(プロジェクターに資料を写して)
これから、画面を見ながらお話をしていきたいと思いますが。

私自身が、あちらこちらでですね、拉致被害者の救出のために自衛隊を使わなければならないと言うことを、言っておりますので、今回は、そのことを少し具体的にどうするのかと言う視点で、−−すでに佐藤元空将、惠谷さんにお話を、かなり技術的なところまでしていただきまして−−今回もちろん、具体的な作戦とかするときはもっと詰めて行かなくてはならないんですが、私は、逆に、ちょっと広げた形で、なんでこういう事をしなければならないのかと言うことの話を中心にしていきたいと思います。

尚、忘れないうちに申し上げておきますが、次回の講演会は、5月の12日(金)に、たぶんこちら(UIゼンゼン会館)こをお借りして、ジャーナリストの青木直人さんに(今胡錦涛が訪米していますが)、中米関係等からみてですね、(青木さんは【北朝鮮処分】、【拉致処分】などの本を書いていますが)要は、中米関係などを見据えて、どうやって北朝鮮を潰してしまうかという話をしていただく予定になっております。是非また次回も宜しくお願いします。
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◆拉致被害者救出シミュレーション第4弾 
日時:5月12日(金)18:00開場 18:30開演
会場:ゼンセン会館2F大会議室
タイトル
「北朝鮮処分にどう備えるのか---全拉致被害者奪還のために--」

北朝鮮に介入を強める中国、
胡錦涛訪米後、朝鮮半島抜きでさらに加速する「北朝鮮処分」、
拉致被害者救出のため日本は対中及び対・中米関係でどう行動 すべきか

講演:青木直人(ジャーナリスト)
北朝鮮処分、拉致処分
戦略情報研究所

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今日のテーマとなるのは、我々の見方でですね、我々の平和とか安全とか自由とか人権とかはですね、こういうものは、放っておいて向こうからやってくるものではないと、我々自身が、そのことについて、しっかりものを見てこなかったのではないか?そうじゃなくて、こういうものはすべて戦って勝ち取って守るものであると、これは今度の全ての基本でございます。

まず古川了子さんの裁判で問題になっている認定と言うことについてお話していきます。
政府認定の拉致事件、ここに書いてある(プロジェクターを指して)16人なんすが、これは一体どうやって明らかになってきたのか?

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まず昭和50年9月の久米裕さんの事件ですが、この事件は協力者・・・という朝鮮人の協力者を逮捕して事件が明らかになったんですが、不起訴になった。結局、これは警察はやりたかったんですが、検察は言うことを聞かなかったと聞いております。それで、事態は極秘にしてしまった。警察庁長官省を石川県警はもらっているんですが、そのこと自体全くの秘密の状態である。

横田めぐみさんの事件はご存知のように、現代コリアの平成8年10月号の石高健二さんの論文によって明らかになりました。

田口八重子さんの事件は工作員金賢姫が、大韓航空機の爆破事件のあとで捕まりまして、李恩恵という名前で呼ばれていた日本人の女性から日本語とか日本の風習を教わったと言ったので、それを調べて、わかったわけですね。もし、金賢姫がそこで自殺を遂げているか、あるいは、捕まらないで北朝鮮に戻っていたら田口八重子さんの拉致は結局わからなかった。

田中実さんはですね、月刊「文芸春秋」平成11年(97年)1月号に、張龍雲(ちょう りゅううん)さんという方(亡くなられましたが)この人が在日朝鮮人、この方が、手記を書いて、独白の手記ですが、これは田中実さんが務めていた神戸のラーメン屋、「来大」の店主(曹廷楽と韓竜大)等と一緒に、北朝鮮の特殊工作員のグループ、洛東江というグループの一員であった人ですが、その人が告白の手記を書いたことによって、わかった。

それから、地村さん夫妻、蓮池さん夫妻、市川さん夫妻、この3件については、産経新聞の昭和55年(1980年)1月、安陪雅美記者のスクープによって明らかになった。高岡の未遂事件も同様でございます。

こないだ、富山の救う会の会長代行から聞いたんですが、その方が、富山の県警の警備部長と話をしている時にこの話になって、県警の警備部長は、「実は、この高岡の未遂事件は、北朝鮮による拉致未遂だということを知ったのは、大韓航空機の爆破事件の後だ」という風に言っていたそうでございます。これは真っ赤なうそです。この高岡の未遂事件によって、北朝鮮の拉致だと言うことがわかったのであって、それが87年の大韓航空機爆破事件まで解らなかったなどと言うのは、絶対にあるはずがございません。
間違えたとしたら、そんな人間が警備部長をやる資格はありませんし、そうでなくてですね、嘘をついているんだったら、これは、怖いことなんですが、そういうことが、実際には発言としてあった。

それから、ヨーロッパ拉致、石岡さん、松木さん、有本さんですが、この3人は石岡亨さんが東ヨーロッパの人に託した手紙で、これが東ヨーロッパから投函されて、石岡さんの札幌の自宅につく。そしてその中に、松木さん、有本さんと一緒に暮らしていると書いてあったんで解ったんですね。もしこういう手紙が届いていなければ、この三人はただヨーロッパで失踪した青年と言うことになってしまう。

原忠晃さんは工作員である辛光洙が成り代わって、85年に韓国に入った時に捕まって、そして白状した。

曾我ひとみさん、ミヨシさんに至っては、北朝鮮側が先に出してきた。
誘拐犯の方がですね「我々が誘拐しまたよ」と言ったもんで、日本政府は「そうか、それはそう、拉致」と言って認定をしたということでございます。

つまりこうやってみていると政府機関が自ら拉致を明らかにしたというケースは存在しないということでありまして、これは逆に言えば、それ以外の拉致が非常に多数ある証拠だということでございます。

こういうのを見ていると解りますが、ともかくですね、政府は、騒がれて騒がれて、マスコミが騒いだりしてどうしようもない、証拠が突きつけられて、それで初めてこれは拉致だと認定すると言うことでございます。

この間、10件15人になってからですね、田中実さんが追加認定されるまで二年半かかっておりまして、こんなふうでやってたらですね、100人ぐらいだったら、200年ぐらいかかってしまうと言うような状況でございます。

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政府認定の拉致事件、11件16人ですが、この中で安明進さんが目撃した人は、(プロジェクターの画面を指して)この矢印の方々がいます。しかしそれ以外に、安明進さんが目撃した人は、特定失踪者で藤田進さん、加藤久美子さん、古川了子さんを見ているわけですが、この3人とも日本政府は拉致の認定をしておりません。

安さんが見たというのはこれは事実だと言うことが証明されていますが、それについて日本政府は拉致認定をしていない。それがあって、我々は古川了子さんのご家族に御協力を頂いて、古川さんの拉致認定を求める訴訟というのをやっているわけでございます。

ちなみに、ニュース等でもお知らせしておりますが、6月28日の古川さんの次の公判では、私が原告側の証人ということで、安さんに直接会って話を聞いている人間として、あるいはご家族についてもある程度解っていると言うことで、私一人が証人として認められていまして、私が証人として陳述をすると言うことになっております。

これが残念ながら今までの現状だということでございます。

若干蛇足になりますが、安明進さんは蓮池さんを金正日政治軍事大学で見ているんですね。ですから、蓮池薫は間違いなく、藤田進とか加藤久美子、(古川さんは見たかどうか解りませんが)この二人は間違いなく見ているはずです。
そうすると、彼らは日本政府には全部しゃべったと言っているわけですが、見たと言うことをしゃべっているのか?しゃべっているとすれば、なんで日本政府は認定しないのかと言うことになりますし、あるいは、しゃべっていないとすれば、一体彼らはどういう状況にあるんだろうとか、それが非常に大きな問題になってくるわけでございます。
と言うことをですね、しょっちゅうあちこちで言っているので、私は、特に蓮池薫さんには相当嫌われているらしいです。この際だから、行くところまでいってですね、名誉毀損の訴訟でも起こしてもらえば、法廷で、できると思って、もうちょっと頑張ってみるつもりでいます。


さて余計な話しはともかくとして、現在の拉致問題の解決の仕組みというのは、こういう風になっています。警察が捜査して、そして内閣が認定して、外務省が交渉して北朝鮮から帰国すると言うことなんですが、これにはさまざまな壁がございます。

ひとつは『法との照合という警察の壁』でございます。いうまでもなく、警察というところは法律に基づいて動くところで、証拠がなければ捕まえない。、まぁ、そう言いながら結構証拠がなくても捕まえてしまったりもするようですが、一応そう言う建前になっている。そうするとどうなるかというと、誰が拉致されたかを認定するために、誰がどういう経路で連れて行かれたかが解らないと、認定ができないというふうに、警察としては思ってしまうということでございます。

そうすると、たとえば、加藤久美子さんの事件は、昭和45年(1970)の8月8日ですが、今から36年前ですね。そう言う事件についてもう記憶をしている人がほとんどいない。場合によっては、ご家族でもあまり記憶がないという事件が非常に多い。そういう状況の中で、警察がいくら捜査しても、これはもう間違いないというふうにいけるのは、よほど運の良い事件しかあり得ないと言うことであります。
そうすると、ごく一部しか認定ができない。

そして、たとえばたまたま警察がうまくいってこれは認定すべきだと言っても、こんどは内閣の方で認定をするときにですね、どうしても日朝国交正常化に未練がある。国交正常化への障害を増やしたくない。それから、まぁ、良い方向で見れば、この拉致問題の解決のために、北朝鮮が軟化してもらわなければ困る。拉致被害者の数が増えたとなれば、北朝鮮が硬化するということで、これ以上増やしたくない。(一部不明)
ですから、田中実さんの認定をしたときには、小住健三さんも警察は拉致認定をすべきだという具申をしているわけなんですけれども、結局、田中さんは認定したものの、小住さんは認定していない。

あれだけ、いわゆるスパイ朴ですね、(チェなんとかと言っているようですが)このスパイのことを年末年始から大騒ぎしたわりには、小住さんについては今のところ手が着いていないということでございます。

そして、こんどは、それでもしょうがないから認定をしようかと言うことになった場合、外務省はどうなんだろうかというと、『力の裏付け』をもたない。要は、経済制裁するとか、そう言うことをやろうとしないということですね。それによって力の裏付けがない。ですから、この交渉がうまくいかない。

で、そう言う状態で北朝鮮からの帰国というのは、ここから、ここまで辿るまでにほとんどできないと言うことになってしまうと言うことであります。

で、じゃだったらば、どうすればいいのかということですが、やはりこれはですね、問題を『安全保障の問題』として見直すしか解決の道はないと私は思っております。

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警察にできることというのは、基本的には<日本国内での事件捜査>しか有りません。あとは、ヨーロッパでの拉致なんかについて、ICPOですとか他の国の警察と連携をしてと言うのがありますけれども、それは本当に極限られた部分であって、北朝鮮の中に入って、犯人を捕まえる事はできないわけですね。

そう言うことが、限界が最初から有る。で、その法律の適用のできない地域というのは、これは正に北朝鮮ですが、これはもう対応は警察ではできません。

で、これはですね、たとえばもし北朝鮮がごく普通の国、普通でなくてもちょっとおかしいぐらいの国であればですね、その中の一部のゲリラとか反体制勢力がですね、そういうものが、なんかの理由で拉致をしたというのであれば、北朝鮮と信頼関係を築いて解決を目指すと言うこともできるわけですね。かつてフィリピンでしたか、三井物産の若王子支店長の事件がありましたが、ああいうような状況になるわけですが、しかし、犯人が、なにしろ北朝鮮の当局者である。指示をしたのが金正日であり、金日成であると言うことになれば、何らかの強制力を持たない解決というのはあり得ないということであります。

絶対忘れてはいけないことは、最終的かつ最優先の目的、目標というのは拉致被害者の救出である。真相究明ではないんですね。真相究明とかはやった犯人の処罰とかは、非常に重要なことではあるんですが、あくまで二次的な問題でしか有りません。

警察にやってもらわなければならないことなんですが、あくまでも、次の問題であって、今やらなければならないのは拉致被害者をいかに取り返すかということです。

ところが、この国の中では、警察がそういうことをやることになっていたという思いこみがあってですね、なんか警察がともかくやれば前に進むのではないかと。警察にはもちろん、こないだ対策室も作られていますし、前に向かって進んで入るんだと思いますが、しかしどうやったってもう最初から限界があるということであります。

これはたびたび私、あちこちで取りあげておりますけれども、去年の6月14日、参議院の内閣委員会でですね、民主党の森ゆうこ議員が質問したのに対してですね、細田官房長官が答えている答弁、これはもう異常ですね。政府の今の現状をはっきり示しているものであります。

森さんは、外務省が交渉していく場合に、先ほど論点でもありましたように、認定、要は認定のやり方に対してもうちょっとやり方を変えるべきじゃないかと言ってるんですね。これに対して細田官房長官は、こう答えています。『これは確かにおっしゃることはわかるわけでございます。しかし、こういういわば犯罪の被害者、いわば誘拐ではございますからそ、の犯罪の被害者として、誰か特定の人が、特定の場所で、こういう経路で誰が手伝って連れていたと、拉致をしたと言うことを、やはり警察当局がしっかりと証拠固めをして、そして認定をするという仕組みでやっております』というふうに答えているわけですね。

つまり先ほど言ったように、正に法と証拠に基づいてやります。法と証拠に基づいてやりますと言ったって、さっき言いましたように、大昔の事件が多いわけであって、そう簡単に調べられるわけではない。

これはつまり、『認定はほとんどできませんよ』と言っていることと変わりません。

そしてもうひとつですね、森さんが、『国民が拉致されて、救出を待っているときに、我が国の政府が自分でできる主体的にできることを、いつまでに、どのように、何をするのか、具体的にお答えいただきたい』と言う質問をされているんですが、これに対して細田官房長官は『先方も政府で、彼らのその領土の中に於いてはあらゆる人に対する権限を持っておりますので、これは我々が説得をして、そして彼らがついに<実は生きておりました、全員返します>と言うまで粘り強く交渉することが我々の今の方針でございます。』と言う答弁をいたしております。

Img_2732.jpg

この答弁は、ホントだったら、あの永田メール問題の騒ぎどころではなくて、この答弁一つで、政府がひっくり返ってもおかしくないような答弁ですが、残念ながら、あの当時マスコミでも誰も、問題にした人がいない。<先方も政府で、彼らのその領土の中に於いてはあらゆる人に対する権限を持っております>ということはつまりどういう事かと言いますと、要は、拉致をしてしまったら、あとは似て喰おうと焼いて喰おうと相手の勝手ですということですね。

<我々は絶対に拉致被害者を助けません>と言うことを宣言しているのに等しい訳でございまして、ほんとにとんでもない答弁なんですが、残念ながら、この拉致問題を個別の刑事事件として捉えていくとこういう風にならざるを得ないんです、結局。

そこを変えていかなければならないと言うことなんですね。

・・・その2に続く・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
このエントリーのテキストは金木犀様の手によるものです。

2006年04月08日

「米軍の対北朝鮮軍事作戦と拉致被害者救出作戦 講師:恵谷治氏」レポート その7

『質疑応答 2』

★質問者2

今日は参加できて、先生の具体的で素晴らしい話が聞けてありがとうございました。
大変参考になりました。

先に申し上げたいんですけども、私はイラク戦争を支持しています。
独裁政権と言うのは倒さなければならない、と思ってアメリカ軍も頑張ってるんですけども、その北朝鮮への軍事作戦。
今日ちょっと遅れてきたんで前半の方話が聞けてないんですけども、アメリカ軍は北朝鮮の政権を倒す為に行動を起こすのはわかるんですけど、作戦を実際に起すにはいろいろと問題が起こるみたいで、韓国との連携の事もありますし、政府は北朝鮮寄りでもありますし。

拉致問題と言うのは日本だけじゃなくてタイとかイタリアも拉致の被害にあってるんです。
で、軍事作戦を起すんであれば多国籍軍の形で北朝鮮に進軍して行って、イラク政権の時のようにちょっと横暴かもしれないけど政権を倒す。
今の状態だとクーデターを起そうにも、結局軍とかに抹殺される状態なので、アメリカ軍がやったみたいに先制攻撃を仕掛けて倒すしかないと思うんですけども。
先生はその辺はどうお考えなんでしょうか?

★回答 恵谷治氏

今あなたの仰ったのは、拉致救出のために多国籍軍を作るということとは別に、と言うことですか?
同じ事ですか?

★質問者2

拉致被害にあってる国が複数あるので、拉致被害にあった国も巻き込んで、アメリカだけではやっぱり、まだアメリカだけではなくて他の国でも金正日政権を倒して、その後も軍事政権を倒すんであれば、イラク戦争をやったときもアメリカは占領軍みたいな形になってますけど暫定政権をおいて、宗教対立とかもありますので向こうはまたややこしいんですけども。
北朝鮮は行く行く先は朝鮮が一つになるのが望ましいと思うんですよ。
脱独裁政権、脱共産党政権を打倒、なくして新しい政権を置いていく必要があると思うんですね。

それと同時に今回は拉致被害者の救出と言う事でありますので、そのために日本は実際平和憲法9条がありまして、日本は他国を侵略してはいけないとか数々の問題があるんですけども、その辺の問題もクリアにして・・・

★恵谷治氏

侵略しちゃいかんと言うのは問題です。

★質問者2

いまでも憲法の方では戦争の放棄とかうたってますよね?
徐々に徐々に自主的に憲法が・・・

★恵谷治氏

分かりました、言わんとする事は分かります。
つまり拉致被害者を救出すると言うことは、今日の今回のテーマと言うか、これは軍事オペレーションとしてどの程度どういう形だと可能か?と言うことであって、それとは別にあなたは北を潰せばいい。
私もそう思います。
すぐ潰すべきです。
しかし、それは簡単には出来ません。
これは大変なイラクでもまだ成功していませんし、それを今度北でもやると言うわけには行きません。
ブッシュ政権もおそらく軍事作戦によって、今の現状ではですね。
倒す気はないと思います。

しかしそうであればあるほど拉致被害者をどうするか?と言う事を考える。
で、あなたの意見は多国籍軍にしてはどうか?と言うことですが、これは秘密保全上それは不可能です。
救出作戦を成功させると言うのは、本当の意味の秘密作戦でやらなければあのような国では出来ません。
ですから、お気持ちは分かりますけども先ほど来言って来たのは、作戦軍による作戦ではなくて特殊作戦でやるべきだと、言う事です。

★質問者3

すみません、川崎市に住んでいる○○と申します。
宜しくお願いします。

まずですね、先生が仰った話で行きますと、今アメリカのほうが北朝鮮に今すぐこの5030の作戦をもって締め付けるという事に出ているという事なんですが、この先ブッシュ政権の後の選挙になった場合に、どなたが選挙になるのか分かりませんけど、この作戦自体がそもそも継続されるか?と言う辺りをまず、先生はどう思っていらっしゃるのかと言うのをお聞きしたいのと。

あと、増元さんが先ほど仰ったんですが、川の向こうの満州側には中共軍がいると言う状況の中で、アメリカが締め付けを行っているんだけども、つまり目標地点としては金正日体制を潰したいとアメリカ側がする場合に、じゃあその混乱に紛れて中共軍が下りて来るのかどうかと言う危険があれば、分かっているのであれば、アメリカとしてはそことの絡みはどうしたいんだろう?と言うのが気になった所はありました。
つまりアメリカが中国にあげても良いと思っているのなら、金正日体制を潰すのも中国のバックアップになってしまう事を彼らは良しとしているんだろうか?と言う所が何となく気になりました。
それは私の考え方と言うのがちょっとおかしいのかもしれませんが、その辺のいわゆる中共と事を構える気があるのかどうか?アメリカが。
その辺がちょっと気になったと言う点があります。

あともうひとつ申し訳ありませんが、説明をお願いしたいんですけど。
韓国の状況、先ほど先生が毎年行かれてこういう状況に対して絶望的になっていくと仰っていましたけども、よく文献なんかで見ますと韓国側からすれば北朝鮮と統一される場合は経済格差の問題で、自分の国の国力が落ちてしまうから、北と統一したくないという意見は良く聞いていて、それもあるんだろうなと私も思っていたんですが、今の結局の盧武鉉政権以下の、いわゆる親北の寄り方と言うのは統一したくないからそうなのか?
それとも気持ち的に思想的に共鳴していてそうなのか?と言うその辺の、どういう意図なのかが良く分からないという事が素人目にもありまして、その辺の事を先生はどういうふうに分析していらっしゃるのか?拝見したいと思いましたのでよろしくお願いします。

★恵谷治氏

中国との事を考えなくてはならない。
そこからお話したいと思うんですが。
これは基本的にですね、現状維持といいますか。
北朝鮮はアメリカのいわゆる影響下には無いと、要するに中国の属国であると。
で、金正日政権が混乱に陥り、あるいは倒れ、あるいはその間に中共が進出なんかすると。
と言っても中共軍は絶対に38度線は絶対に越えません。

そうするとそこにあえて米軍は首を突っ込まないと言いますか、そのときに先ほど言いました5029は韓国軍の支配でやると、いう事になってます。
ですから簡単な結論で言うとアメリカ軍は中共と事を構える気持ちは全くないと。
それは北朝鮮においてもであります。
しかし、いずれにせよ21世紀は中国とアメリカの対決は定めなんです。
そんなところでは対決したくないと、言うのがあると思います。

それと最初の質問の5030が今も進んでいますけども、大統領選挙になったらどうか?と。
基本的には続くと思います。
しかし共和党政権から民主党政権に代われば何らかの影響、つまり予算の問題その他で内容が変わるかもしれませんけども、軍のオペレーションが続いている限りは私は続くというふうに考えています。

いずれにしても民主党政権も北は何とかしなければならないになるんです。
仮に民主党政権になったらなったで北は核の問題を含め、何らかの対処が必要であると言うのはこれはアメリカ人の一致した考えと思いますから、規模は変わるかも知れませんが作戦自体は私は続行されると言うふうに思います。

それと最後のは、韓国・・・

★質問者3

いわゆる盧武鉉政権が北よりなのは、統一したくないからなのか?
それとも別の意図、思想的なシンパシーがあるのか?その辺を、どのバランスなのか良く分からない。

★恵谷治氏



はい。
この南北統一問題と言うのは、統一はわれらの願いと言う歌があるように彼らは南北ともに思っています。
ところが今言われたように、ご存知のように東西ドイツ問題で西ドイツ側の負担が大変大きかったという事が判明した段階で、韓国は統一と言う事を言わなくなりました。
それはまだ赤化政権で無い時代。

ところがそれを逆手にとってですね。
金正日が考え出した戦略は民族統一、民族を主体に出して。
この通常民族と言う言葉は言う所の左ではなく右が使う言葉を先にですね。
金正日は民族と打ち出して南を揺さぶった。
誰も民族統一と言う物を反対と言うことは普通ありえない。
南北統一だったらさっき言ったように南と北で分けておこうと、言うことが言えますけども、民族統一でどんどんいわば洗脳されていったと。

ですから形としては南北統一と言うのに向かって反対は無いんですが、問題はですね。
この実態は何か?
すでに新聞その他でも、あるいは雑誌で解説があると思うんですけども、2001年の南北頂上会談で取り決めたことはですね。
金大中大統領が提唱した国家連合、南と北が連邦国家と。
低い段階で、言葉は別としてとにかく国家連合的な物を作ろうという約束をしました。
で、それが現在進んでいてですね。
進んでと言うか今度改めて、6月行くかどうか分かりませんが、金大中自体が北に行くと。
と言うことはその話をもっと具体的にすると言うことです。

この本質は何かと言うと、これを進めていくと北朝鮮主導による統一が完成する。
北朝鮮と韓国が名称は別として連邦国家を作る。
その連邦大統領と言う職責が出来る。
連邦議会が出来る。
連邦議会の代議員を人口比で行けば2対1で、韓国が100人北朝鮮が50人の代議員が選出されて平等な議院運営が出来る。
ある議題が提出される。
一つの議題について北朝鮮が提出する議題はですね。
50プラスいくつでも良い訳です。

で、現在の韓国の世論を見ると北朝鮮支持が3割。
これを連邦議会の代議員に当てると30人が北朝鮮の提案に賛成するだろう。
理論的には7対8で、北が提案する議題は全て可決される。
となると大統領は金正日がなる。
後は全て法律が北主導で可決されていく。
これが現在のシナリオです。

これは現実的に稼動していてですね。
もし金大中が行き、先ほど行ったアメリカの圧力を感じて南北が首脳会談をする。
そうすると今の国家連合と言うのはもっと先に進む。
この間約束しました。
そうすると次は何年何月までにこういう形で選挙をしようとか、あるいは・・・(聞き取れず)を決めようとか、具体的になります。
そうするとこれは間違いなく、北朝鮮主導による統一朝鮮が完成するという、これは現実です。

誰もそんなことはならんだろうと、いうふうに思ってますがこれは今のままで行けば間違いなくそうなると。
ですから国民が望むとか望まないとか関係なく、南北で統一国家を進めようと言う約束はこれはしているんです。
そうすると金大中が次に行ったらもっと具体的なプログラムを作ると。
それしかないですから、そうすると韓国民が好むと好まざるとに関らず、そういう流れで行く。
と言うことだけ。
統一したいのかしたくないか、というのとは違う次元で進んでますからね。

★質問者3

どうもありがとうございました。

★荒木和博 調査会代表



今のお話に付け加えると言うか、ありますと。
去年の7月に韓国で世論調査をやって、1980年代生まれの人に対する世論調査をですね。
アメリカと北朝鮮が戦争をしたらどっちにつくか?と、6割くらいが北朝鮮につくというふうに回答しています。
で、ところがその一方で将来移民とか仕事で外国に住むとしたらどこがいいか?と言うと、北朝鮮と答えた人は全く一人もいなかった。
一番多かったのはオーストラリアで17・何%で、その次がアメリカの16・何%で、3番目が日本で15・何%。
オーストラリア・アメリカ・日本で殆ど変わらないと。
日本が、これだけ反日教育をやっても、それでも行きたいと思っている。
アメリカが2番目だと。

物凄いギャップがあるんですけども今恵谷さんが言われたように、仕組みとしてはまさにその仕組みで動いていて、特に来年12月が大統領選挙ですから、もし大統領選挙で負けてしまったら、当然今の政権側は報復を受けるだろうと言う事は十分考えているわけでそうしない為には絶対後戻りできない所に持って行こうと、言う事を至上命題にしている感じがします。
まさにそれに従って今恵谷さんが言われたような事が、進んでいると。

後余り時間が残っていないんですけども、今お話がありましたが、これから先やはりいろいろな情報がでてくる等々の事によってですね。
どういう事が出来るか?と言うのが変わってくる事もあるのではないか?
意思の確認とかそういうことまで出来るようになってくるまで可能性はあるのではないか?と言う感じは致しますので。
それが出来て場合によってはその人がある程度動けるような事が可能であれば、例えば東海岸のどこどこへ来てると、言う事でですね。
そこへ迎えに行くと言うことはひょっとしたら可能かもしれない。

あるいはもっと問題が何かあれば、先ほど恵谷さんが言われたゴ・コクレツの息子、ゴ・セウクが船で出たようにですね。
船で海上まで脱出してもらう方が、もし出来ればね。
そこでも引渡しが出来るようになるということ、まぁこれだと一番問題が無い。
と言うことなんですけども、それもこれから先の情報の出方によってはですね。
いろんな事が当然考えられるのではないだろうか?と。
情報をいかに収集できるか?
これは恵谷さんの方から工作員と言うことも言われましたが、これは朝鮮族とか脱北者とかそういう人たちの協力を得る事である程度のことはカバーが出来る可能性がある。
これは拉致問題の進展によって、北朝鮮の政府にも当然圧力はかかるわけですから、脱北者の人からしてみればそれによって金正日の政権を倒すことに近付くんではないだろうか?
と言うふうに思えばですね、お互いに共通の利害と言う事で可能性も当然あるのではないかと言うような感じが致します。
そこへ持って行かなきゃいけないと思うんですけども。

実は先ほどご挨拶に出ました山谷政務官のところにですね。
昨日行って参りまして、今恵谷さんの言われたそのオペレーション。
それからその前段階での、この中で言うと5029との絡みであります、崩壊の時の邦人保護。
それからそれ以前の段階としても情報収集と、言うことで自衛隊を是非活動する場を設けて貰いたいと。
言うような事をですね。
お願いと言いますか、ご説明をして参りましたので、政務官トップであります鈴木官房副長官にもお話を伝えてくださったそうですから、いろんな事が動いていく中で段々段々に全体が動いていく可能性があるのではないだろうか?と。
と言うか動かしていかなければいけないだろう、と言うふうな感じです。
恵谷さん、最後に何か・・・

★恵谷治氏

きちんといわゆるオペレーションと言う物を紹介出来なかったんですが、もしいつか機会があれば過去の救出作戦と比較しながら皆さんと考える機会が有ればと思います。
ありがとうございました。(拍手)

・・・講演会終了・・・

2006年04月07日

「米軍の対北朝鮮軍事作戦と拉致被害者救出作戦 講師:恵谷治氏」レポート その6

『質疑応答 1』

★質問者1

えっとですね、この意思の確認についてなんですけど、意思を確認する方法、おそらく無いと思うし、自分は北にいる人を連れてくるのに意思を確認する必要は無いと思うんですね。
過激な表現になっちゃうと思うんですけども、拉致の一歩手前のような方法を使ってもいいから原状回復するんですから、向こうにいる日本人がどこにいるかが分かったらどんな方法を使ってでも連れてくるというやり方が良いと思うんですけど。
向こうにいる人が日本に帰ってきてからどうするか?であって、向こうから拉致された人を連れて帰ってきたら一定期間洗脳を解く為の収容所に入れて、そこであなた方は向こうでどういうあれで出て来たか知らないけれど、本当はこうなんですよって再教育みたいな事をしてやればいいんであってね。
向こうの意思を確認する方法も無いし、確認する必要も無いと思うんですよね。
ちょっと上手く言えないんだけど・・・

★回答 恵谷治氏

お気持ちは分かります。
私は意思確認はするべきだと思いますし、その方法は唯一我が方から工作員を送ると言う事です。

★質問者1

工作員?
工作員を要請する機関を作らないといけないですね。
陸軍中野学校みたいな。

★回答 恵谷治氏

そうあれば一番いい。
そうでなくても、そういう能力を持ってる方は・・・(聞き取れず)

★質問者1

ありがとうございました。

★質問者 増元照明氏

どうもありがとうございます。
先生、5029作戦の際の軍事オペレーションと言うか軍事行動が騒がれていると仰いましたが、5029、5030ですか。
ただ、今中朝国境には中国軍が大量に張り付いているわけですよね?
当然朝鮮国内にも中国人がうようよしているわけですよね?
クーデターが起こったらまず最初に突入するのは中国軍ですよね?
そことの軋轢等も考えて果たして出来るのかどうか?と言う、日米韓が軍事行動が出来るのかどうか?
それは非常にちょっと疑問に思うんですが?

それと意思確認の中で、私も先生と同じように向こうに行って一人連れて来るにしてもですね。
やっぱり一人で帰って来たら来たで日本サイドで非難が起こるし、子どもたちを残してきた場合に必ず子どもたちを軍事的に救出できる能力が日本にあるのか?ですね。
被害者を連れて帰ってきて、そこにいました。
じゃあ他にもいるだろう、全部返せとそれだけの意思が日本にあるのかどうかそれも非常に疑問があるので、意思確認と言うよりもちょっと軍事オペレーションに関しては悲観的な思いがしているんですけれど、どうでしょうか?

★回答 恵谷治氏

仰るとおりなんです。
5029と言うのは基本的に米軍より韓国軍がやるようになってるんです。
言うスタンスで、在韓米軍は支援をするという事になってます。
そういった状況の中で、当然人民解放軍がどこまで出っ張って来るか分かりませんが、少なくとも現状の韓国政府の軍事オペレーションには日本が、ましてや自衛隊が中々共同作戦は出来ない。
政府が赤い政府じゃなかった時代はかろうじて自衛隊と連携がよかったんですが、どんどん変質して今仰れらたようにですね。
その後北が反乱した時に、果たして自衛隊が行けるかどうか?と言うのは本当にそう思うんです。
それ以前に日米安保条約においても、北朝鮮が混乱した時に米軍と共同で自衛隊が北朝鮮で貢献できるかどうかを含めて出来ませんし。
私がここに書いたのはですね。
とにかく混乱が起きて中国軍が出っ張る、あるいは暴動が起きる。
何らかの状況になった時に保険用に準備を整え待機ををしておく、と言うことしかと言えないという事で、お気持ちは良く分かります。

★質問者 西村幸祐氏

あの、2点ほどあるんですけども、まず現状では日本の場合は特殊作戦でないと救出作戦は出来ないだろうということだったんですが、それでドイツがですね。
以前、ルフトハンザ機のハイジャックの時はですね。
あの時はドイツは特殊部隊を派遣しているんですよね。
同じ敗戦国でありながらですね。
なんでかくも違ってしまったのか?と言う事をちょっと教えて頂きたいのと。

それともう一点、今韓国の国情院(=韓国国家情報院)の長官が来日しているらしいんですが、国情院の長官が来日する事は珍しいらしいんですが、余り北朝鮮に圧力をかけるなと言う事を言ってるらしいですね。
それは朝鮮銀行の事なんですけども。
で、果たして今の韓国の国情院でですね。
そういった意味で日本とは完全に共同でオペレーションを組むような体制ではなくなってしまったということなのかどうなのか?
完全に北朝鮮の手に落ちているものなのか?
その辺の経緯を詳しくお聞かせいただければと思います。

★回答 恵谷治氏

最初のこの間の・・・・・・・・・・(ハッキリ聞き取れず)言う意味ではですね。
日本はですね、言葉は悪いですが開闢(かいびゃく)以来初めての経験。
ドイツと言うのは年中負けていたんですね。
ですからそのショックは全然違います。
それとですね。
日本人は明治以降膨張して行って・・・・・・・(聞き取れず)
つまりドイツの様にですね。
ヨーロッパで行ったり来たりの攻撃というのは日本は経験していません。

それでそういった地勢的な意味と同時に敗戦のショック、陸軍が悪いんだという事でですね。
軍の関係者はとにかくパージして、それまで苛められていた内務省がですね。
これから日本を救うんだと。
軍には力を与えるなと。
とにかく軍人のプライドをズダズダにしたわけですね。
それに乗っかって社会党さんがやったもんですから、言葉で言う時代の中で。
ご存知のようにファントムを買った時にも社会党が足を長くするなと、侵略を意味するという寝言を言ってそれを呑むと。
それで国会を通過させるといったような、話す必要も無いほどくだらない事がたくさん起きた。

ですからそういう意味ではですね。
もう今や普通の国になりつつありますし、ドイツのGSG9にはまだまだ至りませんけど、警察庁・海上保安庁含めてですね。
大抵の部隊に特殊部隊と言うのを作っておりますし、特に私は海上保安庁のと言う関係もありますけど、海上保安庁の特殊部隊は非常に訓練を積んで優秀だと思いますし、それなりに日本は出来つつあるという事だと思います。

ですからモガディシオの急襲のようなことが日本に出来るか?と言うとまだまだ分かりませんけども、いずれ出来るようになるのではないか。
それは全ては政治ですから。
軍事的には特殊作戦に行けと言えばばっと行きます。
それくらいのことは当然出来ると思います。
そういう事だろうと思うんです。
今後日本もそうなっていくべきだと思いますし、なりつつあるという事です。

2点目の安企部、現在の国情院、この辺にもいらっしゃいませんか?(笑い声)
これは全く単純、これはですね。
取材活動をすると、いわゆる脱北者。
以前の安企部はですね。
脱北者の話を是非聞いてくださいというふうにアレンジしてくれました。
今脱北者と接触する事自体を阻止しようとします。
つまり北の悪口を書くなと。
ですから私なんかが韓国に行ってももうついて回っております。
これは国情院と言うことはイコール韓国政府と言う事で、政府も大統領補佐官の中にもいますし閣僚にもいますけども、とにかく今の韓国社会全体が金正日による50年に亘る対南赤化工作と言いうのは、完全に実を結びつつある。
ここが現在の盧武鉉大統領と言うのは別に親北でもなんでもないんですが、なんでもない分、周囲がですね。
上手く利用すると。

ですからお話が出たついでに言いますと先ほど言ったように今年は北朝鮮をブッシュ政権が何とかすると言うふうに先ほどしたいと思っていると言いましたが、そういう動きが強まれば強まるほど今度は南北首脳会談と言うのがまた話題になる。
つまり南と北が民族共助で仲良くやってるのを壊そうとしていると言う構図を作る。
これだけは間違いがありません。
ですから少なくとも韓国軍はまだ、それも将軍クラスは軍人と言えば政治家ですから政権よりの人もいますが、それでも韓国軍と言うのはまだまだ韓国を守ろうという気概はあると思います。
しかしその上に立つ政治家との関係で言えば、靖国にも絡んでそのこととは別に政府が赤化しつつあるがゆえにいろいろと上手く行かない。

もうだいぶ皆さんもご理解していると思いますけども、日米韓三ヶ国同盟と言うか、こういうものは全く存在しない。
日米の同盟関係を重視するしかないと言うのが現状。
大統領選挙が来年ありますから、風向きも変わるかもしれませんが。
私毎年韓国に行きますが行くたびに絶望しつつあると、いうような感じです。

・・・レポート7に続く・・・

2006年04月06日

「米軍の対北朝鮮軍事作戦と拉致被害者救出作戦 講師:恵谷治氏」レポート その5

『恵谷治氏の講演 4』

・・・このエントリーに関係する資料の引用・・・

自衛隊による日本人拉致被害者救出作戦の核心
   国家の意思と能力
   特殊部隊による作戦と特種作戦の違い
   事前の情報収集
     位置確認
     意思確認
     現場確認
   軍事オペレーション(米軍との連携)
   教育・訓練
   常時待機
   秘密保全

・・・引用終了・・・



さて、我が自衛隊による救出作戦の活動についてですが、今日の席はシュミレーション講座とありますが、
私も個人的にはそういう作戦を考えるのは大好きなので、色々考えました。
しかしまてよと。どなたでもこの救出作戦を感あげるとぶち当たるのが、ここに最初に書きました、国家の意思と能力といういわば政治の問題です。

本当に、これまでの日本を見ていますと、日本人を救う意志があるのか無いのかというふうに非常に疑問に思います。
個人の経験も含めて、戦後、軍ががなくなったあと、いわば外務省が一等官庁になって、【法人保護という認識がなかった】と、こう私は断言します。

ひとつ実例でいえば、みなさんも経験があるかもしれませんが、国外の大使館に行って、大使館員の対応を見れば、これはあきらかです。
普通にブザーをならしてはいれば、本当に自国民を守る気概があるのかと言いたいぐらいの対応です。
しかし一方で、誰かの紹介があれば、大使が「晩飯を」というぐらいの態度の変わり様を、私も何度も経験したことがあります。

それは別として、戦後日本は敗戦というショックから立ち直ったにも関わらず、国家というものを、どのような方向に持って行くかということが何ら討議されずに、今日まで来ました。
その、いちばん明らかな証拠が、防衛庁と自衛隊を曖昧な状況においたままだと言うことです。
防衛庁が防衛省になりそうだと、今年はなるんじゃないかと思っていたんですが、別の不祥事がでまして先送りになったと言うこともあります。

これは名前だけ、形式の問題でありますが、一番大事な、最大の問題は、日本という国を、世界でどういった位置づけにするのか、あるいは国をどうするのか。
九軍は国体を守るといいながら、住民をどかして自分たちが陣地を敷いたということも実際ありました。

とにかく国を守る、あるいは、国民を守るということが、どういう事かと考えれば、拉致被害者を救出すると言うことは、ごくごく当たり前のことでございます。その発想すら、及ばない。

小泉首相は「対話と圧力」と常に寝言を言っております。「圧力とは何か」と。
外務省の役人は「それは米軍である」と。
そう言うことを平然と言ってのける日本というのは、情けなくなります。

そう言いながらも、すこしづつすこしづつ、自衛隊の組織も変わり、国民の理解も変わり、もう今や、・・や研究は普通にできるようになりました。

作戦研究はというのは、どんどんすべきでありまして、そう言った中で、ここの2行目に書いてある<特種部隊による作戦>と<特殊作戦>この違いを認識していただきたいと思うわけです

テレビその他で言う特種作戦というと何かと言えば、当然特別な作戦と言うことです。
特殊部隊が、まぁ、我が自衛隊にも特殊作戦軍があります。彼らが行う作戦というのは、当然みなさん想像できるでしょう。

ところが<特種作戦>というのはそう言うことではないのです。
いわゆる、特種作戦軍が行う作戦というのは、当然、まぁ、日本で言えば、自衛隊法、あるいは、国際法に則った作戦です。
ところがそれに当てはまらない。つまり国境侵犯をせざるを得ない。しかし、自国民が窮地に陥っている。であれば、どうやってそれをやるのか、といったことを考えてやるのが<特種作戦>。つまりその場合には、身分も全て、軍籍からはずして、それで特別なことを、国家の意思でやるということ。これが特種作戦です。
ですから、特種作戦と特種作戦軍による作戦とは、全く違う。

この日本人拉致救出作戦という事のは、特種作戦でない限りできない。
これは、どこの国も、宣戦布告をしない限り、国境を侵犯すると言うことですから、国際法違反をするということ。
過去の実例をあげれば、ウガンダ、エンテベ空港にいるイスラエル人を救出した例、あるいは失敗しましたけれど、米軍がイランに入った例、これは文字通り特種作戦。

この違いを、明確に区別しないと、まず作戦の・・・がわからない。と同時に、この日本が、あるいは日本政府がどこまで判断できるかという問題に関わってくる。そうしますと、戦後自衛隊、防衛庁というものが曖昧なままでおいてきた、この国がですね、いきなり特種作戦ということは、これは不可能です。

特種作戦軍による作戦、これはやっと国民の理解も得られ、できるでしょう。作戦軍の側は、そう言う意味でいつ命令が下っても、それなりにできる用意はあると思います。しかし、それは、全て政府が決定することであります。
そうではなくて、政府が決定するんですが、「これは特種作戦であって、君たちが自衛隊から除籍する、個人の資格でやってほしい」というところまで決断なんていうのは、これは政府にはとてもできない。
逆に言えば、拉致救出作戦というのは、まずシュミレーションとしてはできますけれども、政府の決断としてはできないということです。

しかし、別に絶望することではなくて、大事なことはですね、特種作戦ではなく、特種作戦軍が動くケースというのを想定して、あらゆる事の備える。そのチャンスが先ほど最初に言いました、5029が発動されたときです。
つまり今北朝鮮でクーデターが起きて混乱が起きているときに米軍との連携で自衛隊が出動する。これはいろいろ難しい法的問題もありますが、しかし、先ほど言った特種作戦を決断するよりは政府も容易にできるだろうというふうに思います。

一方で、私はこの作戦シュミレーションをいろいろ考えてきましたが、一番大事なところはですね、作戦シュミレーションはいわば、ある設定をして、それはできないことはないんですが、やはり一人ないしは数人を救出するのか、あるいは十数人を救出するのかで、もう、この作戦内容は全く変わってきます

ですからこの救出対象をまず設定しない限り、やはり具体的シナリオというのは組み立てられない。そう言ったときに、ここに書きました情報収集の最大のポイントは<位置確認>これは誰でも考えつくと思います。

次ぎに、<意思確認>このほうが重要で、これが見落とされがちということです。つまりそこに拉致された日本人がいることが明らかになる。そこにいきなりパラシュートが降りていき、「日本から救出に来ました」と言ったところで、心の準備もなければ、「じゃぁ、家に帰りたい」、だけど、もう彼らは何十年もそこに生活基盤がありますから、親しい人、いろんな方があるでしょう。ですから、拉致被害者がそこにいることが確認できたら、次ぎに大事なことは、彼らが帰りたいのは当然ですが、帰るに当たって誰々を連れて帰る、これのよってまた作戦はずいぶん変わってきます。

「貴方だけか」「子供だけか」「そのことはこちらの方からできますよ」おばあちゃんと一緒じゃないと帰りたくないと要求する、それを確認しない限り、この作戦は、絶対に成功しません。

となれば、対象と接触して、長いコミュニケーションをとって「本当に帰りたいんだ」「何人なんだ」「誰々なんだ」ということが確認できてはじめて作戦が動き出す。

つまり何人かが決まる。そこに老人がいれば、それなりのことをしなければならない。そうすると、一概に拉致人質救出作戦といっても、その状況状況で、無数に変わってきます。ヘリに乗せて、あるいは、荒波を超えるときに、子供達がそれに持つのか持たないのかも含めてですね、とにかくそれによって装備からすべて変わってくる。

作戦軍に対してですね、「何でも良いから、特定をしてこうしろ」と言われても、現実問題として、全く違う作戦にならざるを得ない。



それからもう一つ私がいつも思うことは、特種作戦、一般的に、肉体的、精神的、サバイバル能力も含めてたことは十分訓練でできます。

しかし、私は今日本で一番欠けていることは<国際感覚>。
ですから私は作戦軍の人間は、とにかく暇があれば、海外に行く、個人の旅行でもいいし、あるいは班での研修でも良いし、とにかくあちこちに行って、言葉で言うところの<見聞を広げる>と言いますか、それが一番大切なことだと私は思います。はじめて外国に行くとか言う連中は、作戦と言っても、そんなのうまくいく訳がない。

これは、欧米の特種作戦部隊とは全く違います。もう彼らは世界中を、隣町のように動いています。もちろん、親類係累があちこちにいるというのもありますが。そう言った中で、様々の文化の違い、その他を理解して、いざというときに役立てる。

まだまだ自衛隊も役所ですからそう言うところに行くというのは、認めないのかもしれませんが、とにかく、そういう隊員も普段からですねいろいろ(な国に)行って、研鑽に励んでもらいたいと思います。

次の、軍事オペレーションというのは、これはまぁ、みなさんもイメージする、あるいは、作戦軍であれば、それなりに、イメージする、組み立てる、これが一番基本的には大事になるんですが、まぁ、ここはできるんです。

ここに敢えて米軍との連携と書きましたが、これは、例の衛星通信とか、米軍にしか頼らざるを得ないという部分がありますから、当然ですが。まぁ、単なるオペレーション、それに伴うロジックその他というのは十分作戦軍はできると考えています。

で、先ほど言った、特種作戦に当たって、何より独身であるとか、あるいは、こういう特技があるとか、あるいはこうだ、とかいうふうに絞り込んで、本来の意味での自衛隊を除隊したことにしてですね、というようなある意味での<特種作戦>ができるようにまでなってもらえればと思います。

訓練も同じですが、その時に、常に、どういうケースでもありうるということを想定して頂ければと思いますが。
とにかく常時体制、これはもう、軍というものは、いつ命令が下っても対応できるように、日常に、シュミレーションその他を研究している。それが三谷研究の騒ぎ以来できなかったと言うことでありまして、もう今やできますから。今の状況では、「ここまでできます」という風に、特にこの人質救出というのは、このバリアがとれれば動けるんですと言ったところまで、やっておくべきだというふうに思います。

それから最後の、<秘密保全>これ何故敢えて書いたかと言いますと、私は人質救出作戦というのは、本気でやるのであれば、本来の意味での、<特種作戦>にしかできない。

そう言う決断ができる大物政治家が首相になれるのかどうかわかりませんが、それしかできないとなるとですね、その決断する首相と、ことに官房長官、自衛隊のオペレーションを遂行する部隊をですね、政府内部でも数人、10人ぐらいしか知らない、そう言った中で警察庁にはどの段階まで言っておくかとか、いろいろ本当に政治の駆け引きと言うことになりますが。

まず、大事なことは、外務省には一切つたえないこと。
これは基本中の基本、ところがなかなか政治というのはそうはいかない。

だけれども、秘密保全を考えれば、これは基本です。
とにかく可能な限り少なくする。しかし少なくすれば、それだけ運用はうまくいかないでしょうから、非常に難しいけれども、とにかく拉致被害者の救出作戦を考えれば、特種作戦を前提に、そうすると秘密保全というのをどこまで絞って、それで実際特種作戦軍が動けるのか、あるいは特種作戦軍から何人を抽出するのかを、あるいはそう言う作戦というのを、伏せながら、海空(海自・空自)が、現場地域に何ら疑問も持たずに配備されるという、こういったことが必用になる。

ですからシュミレーションというのは、もちろんいろんなシュミレーションができますから、今日ここで、平壌に報告が行く人もいるでしょうから、具体的に話しができないんですが、まぁ、考えられるというのは、大きな声で話ができるというのは、ここまでということにして、あとは質問でやっていきたいと思います。
(拍手 講演終了、質疑応答へ)

・・・レポート6に続く・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
このエントリーは金木犀様の手による物です。

「米軍の対北朝鮮軍事作戦と拉致被害者救出作戦 講師:恵谷治氏」レポート その4

『恵谷治氏の講演 3』



次にこの実例2、宣伝ビラについてお話しますとご記憶の方もいらっしゃると思いますが、産経新聞で一面トップにですね。
ソウルの久保田記者が反体制ビラを入手し、写真入りの記事が出たことがあります。
そのビラには金日成・金正日親子の10大嘘というタイトルで、北朝鮮の質の悪い紙で手書きで書いてあってビラがあって、いかにも北朝鮮で作られた反体制ビラと言うもので、久保田記者は実態を知っていたかどうかは分かりませんが、そういった報道が流れました。

そのビラを作った担当者とも会った事もありますが、実はこれは5030の作戦の一環です。
こんな事をまた大きな声で言っていいのかどうか分かりませんが、その内容を言いますとですね。
とにかく中国東北部で質の悪い紙を入手して、脱北者を集めてですね。
10大嘘と言う文章を、彼の言葉で言うと何十人も集めて手書きで一斉に書かせて、それをコッチェビと言いますが孤児と言いますか浮浪児たちに渡して各所で配る。
言う事をやった一枚がどういう経緯か知りませんが、産経新聞に届いた、と言うことですが。

その結果ですね。
産経新聞が報道した。
ところが、その担当に言わせるとですね。
全然効果が無かったと。
と言うのもですね。
あえて本物らしく北朝鮮の紙を使ったもんですから、質が悪くて回し読みするので破れて、あるいは屋外で撒いても雨なりその他で破れて、上手く行かなかったと言っておりました。

そこでですね、じゃあ今度はどうするか?
考えた結果、この際そういう北朝鮮内で作られたと言うふうな偽装は止めようと。
もう一つですね。
文章を読むと当然考えて書いたんですが、やはり北の人間が書いた文章ではないと言う指摘があったんです。
これは大変微妙なところですが、その反省を生かして北の人間のようなきちっとした文章に直してですね、印刷した。
印刷して大量にばら撒くんです。
と言う事でやった。

それで先ほど言った雨その他の問題がありますから、撒く方法もコッチェビ・孤児たちに持たせて撒くのも地域的な限界があると、言う事で風船に付けて、実はですね。
ご存知だと思いますが金大中が平壌に行く以前までは、韓国の安企部は公海に船を浮かべてどんどん風船を飛ばしていました。
その風船の一部が日本まで届いてですね。
これは北朝鮮謀略であるか?とか、ガスが詰まれていたのではないか?と公安当局が何回も大慌てした事がありましたが、私もその鑑定に行ったことがあります。
しかしこれは韓国が飛ばした物の一部が日本に気流の関係で届いたと言う事なんですが。

それに様々なラーメンを下に、とにかく風船の下に付けていく。
インスタントラーメンとかストッキングとかコンドームとか、とにかく軽くて住民が喜ぶような物をどんどん飛ばしていました。
この風船の計画は私は非常に有効だったと思うんですが、北朝鮮側もそういうものが飛んでくるわけで、「毒が塗ってあるので触ったらすぐ死ぬ」と言うふうに教育していたんですが、それも先ほど言ったように全国津々浦々に教育が行き渡るんですが、腹を空かしていたら死んでもいいやと思って食べてみれば美味かったと。
と言う事であっという間に当然広がると、言う事だったんですが。
南北頂上会談以降停止して、私は知らなかったもんですから安企部にその取材を是非やらせて欲しいと頼んでたんですが「もう今はやっておりません」と。

その分DIAが始めているんですが、先ほど言ったとにかく多くの人間に金日成の10大嘘、これはですね。
10大嘘というのは、金正日は白頭山で生まれた→生まれてはいないと、ソ連で生まれたんだとか。
我々から見れば普通の内容です。
もっと言いますとですね。
普通の内容と言うよりも北朝鮮で教育されている事実より、ちょっと違う事実を伝えていくのが非常に需要だと言うのが最近私は知りました。

というのも亡命者と話をしましてですね。
金日成の経歴の偽造問題がありますが、韓国が対北宣伝放送にまだ力を入れていた頃、教育放送と言うのがありまして、その中で韓国の解説員がですね。
ご存知だと思いますが東大の和田春樹教授の文献を引用してこことここがこう違うという解説をしていたそうです。
それを聴いていた脱北者から聞いたんですが、それを聴いただけでびっくりして逆に言うと納得できたと。
嘘であると言う事がよく分かったと。

逆にですね。
ご存知のように和田春樹教授は、北寄りの書き方をしております。
ところがそういう北の教育よりもかけ離れた説を伝えるとですね。
これは多分謀略だというふうに分かって、信用されない。
少し、北で言われる事のこことここが違うんだと言う事が説得力がある、と言うふうに伺った脱北者と話をしまして、なるほどそういう物かと思いました。
ですから親子10大嘘という物の中身と言う物は中身はたいした物では無いんですが、とにかくそれを行き渡らせる。

Img_2374.jpg

と言う事で実はこれが本物です。
これは初めてお見せします。(ビラを掲げて会場に見せる)
コーティングしてですね、これを風船につけて撒いております。
で、裏にお分かりだと思いますが金正日花と言うのをやっておりまして、この下は九九を書いてあります。
つまりこれを拾ってですね。
安全員が来たらさっと表を出せばですね。
花があって九九の勉強をしているというふうに考えてこれを作ったそうです。

この話をしておりましてですね。
この金正日花であればですね。
これを没収して全て焼き払える、あるいは切り刻める。
言う事で私はですね。
「折角写真を印刷するんであればここに将軍様の写真を使うべきだ」と。
そうするとですね。
これは切れないですね、ご真影を、あるいは燃やせない。
で裏のこの宣伝文はそのまんま、残ると。
「そうか、じゃあ次はそうしよう」と。
それが今どこまで進行しているのかは今ちょっと聞いてませんが、そういう事もやっております。
そういう意味でここに実例と書きました。

それと5030と先程言ったように、かつてはCIAがやった事を軍がやるという中でここに実例その4、外貨流入を遮断と言う、これは財務省その他、マネーロンダリング・偽札とかですね。
そういう表でも出来るわけですが、例えば麻薬なんかの摘発を表であればそれなりの刑事手続きが必要です。
しかし軍であればそれなりの活動が出来ますし、面白いことにですね。
米軍はJIATFという麻薬取締りの専門部隊を持っております。
軍がこれを、日本の麻取(=麻薬取締り)のような物ではなくて軍独自でやってるんで、実は私もその実態は知りませんが、軍の中でそういう活動が出来る体制が整っていると。
ですからこういった事も軍事オペレーションとして出来るんだろうと、と言うことです。
この5030というのはずっと現在進行形でありまして、流血の無い軍事作戦といいますか、北朝鮮をとにかく倒していく為のあらゆる手段・アイデアだと思います。

話は飛びますけどもベトナム戦争当時ですね。
いわゆるベトコンを倒す為にはどんなアイデアでもいい、これはCIAがやりましてですね。
センサーを落としてとか、とにかくあらゆる考えられる物・アイデアを募集して、実行可能なものからどんどんやった事があります。
結果的にはさほど効果は無かったんですが、私はそれに似たような事をこの5030でやってるんではないかと言うふうに思っています。

それでここにその次に2行、ご存知の大使と在韓米軍司令官の事を書きましたが、この人事はですね。
ブッシュ政権がいざ事がある時には明確な意思表示をするという布石。
この二人の経歴を見れば冷戦崩壊当時にヨーロッパにいた、あるいはそういう役職で経験豊富な二人の布陣と言うのはこれはブッシュ政権の意図が感じられると、いうふうに思っています。
ただいわゆる5020レベルの物、あるいは5026のような限定空爆ないし軍事オペレーションがあるかというと、基本的に私は無いだろうと、言うふうに考えています。

しかし、やるぞやるぞというその姿勢、それは先ほど言った117を投入したような言う形で金正日を怯えさせる。
言うことは常にやるでしょうが、実際問題のやればですね。
5027のこの作戦はもちろん2年ごとに改訂されていますが、結局大規模な地上軍を投入すると言う事ですから、これはブッシュ政権としても避けたい、と言うのが一点。
それからもう一つは今年になって、イランがご存知のように濃縮ウランを始めました。
お分かりのようにアメリカにとって見れば、優先順位は北朝鮮よりイランの方が高いわけで、このイランがどういう、今国連で討議されていますが、ロシアと中国の出方によってどうなって行くかによって、北朝鮮の方は変わっていく。

しかしもう一つ、私が聞いている限りはですね。
ブッシュ政権としては北朝鮮に対しての何らかのアクションを今年の前半までには起す。
おそらくそれはですね。
先の中間選挙を睨んだ動きにつながると思うんですが、何らかの形にすると聞いています。
そのためにもこの在韓米軍司令官と大使をこういうふうに布陣したんだろうと言うように思います。

・・・レポート5に続く・・・

2006年04月05日

「米軍の対北朝鮮軍事作戦と拉致被害者救出作戦 講師:恵谷治氏」レポート その3

『恵谷治氏の講演 2』

・・・このエントリーに関する資料の一部を引用・・・

在韓米軍による対北朝鮮軍事作戦計画

 □作戦計画5026(限定空爆作戦。CONPLAN8022と関連)
 ■作戦計画5027(武力統一作戦)二年ごとに更新
   第一段階(戦争前)
   第二段階(反撃)
   第三段階(撃滅)
   第四段階(占領)
   第五段階(終戦後)
 □作戦計画5028(作戦内容不明。OPLAN1003と関連)
 □作戦計画5029(混乱対応作戦)
   (1)クーデターや内戦の発生
   (2)政権が核・ミサイルの統制権を失った事態
   (3)大量脱北者の発生
   (4)韓国人人質事件の発生
   (5)大規模な災害
 ■作戦計画5030
   実例その1 亡命支援
   実例その2 宣伝ビラ散布
   実例その3 金正日あぶりだし作戦
   実例その4 外貨流入を遮断(偽札、麻薬の取り締まりの徹底)

 2005年10月  アレクサンダー・バーシュボウ駐韓米国大使が着任
 2006年 2月  バーウェル・ベル在韓米軍司令官が着任

・・・引用終了・・・



まず米軍のこの作戦で、実は米軍はもちろん編成上統合軍と言う、南方・北方・中央軍といった中で太平洋軍と言うのがあります。
太平洋軍が策定する作戦は5000番台。
他にご存知だと思いますが、北方軍であれば2000番台、中央軍1000番台とか、南方軍6000番台という中で5000番台と言う作戦が最近知られるようになったのは5027。
それから現在話題になっているのが5030。

先週韓国に行っておりまして、韓国の作戦局長もう退役された方ですけど、と話をしておりまして彼が言うにですね。
このもちろん5027の当事者だったわけで、「5026と言う物は聞いた事が無い、そんなものは存在しない」
「いやいやこれはアメリカ側が作っている作戦だ」と言っても彼は頑なに否定する。
プラス現役の人間に電話をしてですね。
「5026って聞いたことあるか?」とまで確認してくれて、現役の方も「知らない」と。
で、「いやいや、あるんです」と言っても頑なに否定する。
同じ意味で5030と言うのも「聞いたことが無い」と。
「自分が知ってるのは5027と5029だ」と。

つまり現役、この5000番台と言うのは太平洋軍が作る作戦で、在韓米軍ないしは韓国軍とは無関係の物については当然韓国軍の作戦局長ですら知らないんです。
と言うのが実際の作戦計画であろうと思います。
ですから私がここで5026、27、28、29と知っていること事態がこれは逆に言うとおかしいというか、名前だけしか知らずに実態は知らないと言っても過言ではありません。
軍事作戦と言うものはそういう物です。

しかしこの5027と言う物は皆さんご存知だと思いますが、北が南進した場合にそれを統一の好機として北進して占領して金正日政権を潰すと、言うのが基本です。
それまでは38度線まで追い返す。
朝鮮戦争の当時のように中には踏み込まないという戦略でした。
しかしこの5027が策定された背景にはですね。
90年代初頭の第一次核クライシスと言いますか、ニョンビョンにも各施設後がどんどん拡充されてきて、当時当然そのピンポイント攻撃を米軍は策定しました。
私は実は長い間それが5026だと言うふうに考えてそう発表してきました。

ところが例えばB52を使うとなれば、これは在韓米軍の指揮下にあるわけではありません。
そうすると当然戦略空軍が動くわけですから、当然別の作戦名・作戦計画がある。
それがここに書いてある8020。 
それは8000番台というのは戦略軍の作戦計画です。
この戦略軍との合同作戦で在韓米軍も動く。

それでピンポイント攻撃、逆に言うと限定空爆、よく新聞では限定空爆有るか無いか?と言うことが出ますが、限定空爆と言うのは攻撃する側がそう思ってるんです。
相手はどう反応するか分からない。
となれば行く所まで行くと言う考え方をせざるを得ません。
その結果生まれたのがこの5027です。
ですから5026に関しては在韓米軍はもとより韓国軍は全く関与しないと言うか、先ほど申したように何も知らないと言うことなんです。

5026の実態は私も知りません。
ただ5027に関して言えば韓国の国防の長官が国会である程度説明しました。
それがゆえに指令は当たってきた。
作戦内容が漏れるなんてリーク以外には有り得ないんです。
同じ意味で5028は私はある記事で決断だと言うふうに書きましたが、ある関係者に聞いてみますとこれはここに書いていますが1000番台。
中央軍との作戦との連携でありまして、いわば二正面作戦を考えた作戦内容だと言うことだそうです。
しかしそれ以上のことは分かりません。

で、この5029ここに混乱対応作戦と言う表記を私が付けたんですが、それも新聞報道にありました。
この5029について、今回韓国軍の退役された方といろいろ話をして、問題はですね。
韓国軍と米軍との戦時統制権、管理指揮権と言うものですけども、ここを巡って問題が生じています。 
この5029と言う物はですね。
韓国軍が主体となって動くと。
それゆえに戦時統帥権は韓国軍に返して欲しいということで、ご存知だと思いますが足並みが・・・・・・(聞き取れず)
で当然韓国軍が動くとはいえですね。
通信その他、様々な分野で米軍との連携が必要です。
しかし主体は韓国軍にあると。
その条件として戦時統帥権、指揮権を返還してもらうということで、米軍はまだうんと言っておりません。
それがゆえにその5029と言うのは大統領がサインしておらずに、まだ批准された物ではないと。

で、ここにラフに5つどういうケースの場合がと書いてありますが実は11のケースがあると。
その作戦局長が言うと、作戦計画書15センチくらいの物が2冊あるくらいの分厚い物が整って、その11のケースに当たって全て対応が出来ている。
ただし今起きてます。
大統領の決済が無いゆえに軍としては動けないんです。
それはここにも朝鮮関係者の方がいるでしょうがこれは韓国軍の秘密です。
そんな事をここで言っていいかどうか分かりませんが、事実です。
この5029をなぜ私が強調するかと言いますと、とにかくいろんなケースの時に韓国軍が取り合えず動かなければ在韓米軍が。
そのときに日本はどう対応をするか、と言う意味で5029と言う物を見返して頂きたい、と言うことです。
それは後で自衛隊関連の時に話しますが、5029と言うのはそういうことです。

それから5030、これも存在自体は報道にもあります。
基本的には私があちらこちらで書いているんですが、この実例と書きました。
亡命支援の実例として私は、SAPIOをお読みになっている方はご存知だと思いますが、党作戦局のゴ・コクレツの息子がアメリカに亡命しました。
この前段階の経緯はあまり良く分からないんですが、いずれにしろこの亡命にですね。
もうちょっと言いますと、北朝鮮を船で脱出して日本海でその船から米軍の潜水艦に移乗させて横須賀に上げてアメリカに連れて行った。
これは小説のような話ですがこれは事実です。
それこそ先ほど言ったように作戦計画自体がそんなに簡単に漏れるわけはないし、と言うこともありますがこれは間違いない。

ただと言うか、ゴ・コクレツの息子ゴ・セウクと言う男、この正体と言うか実態が私はまだ把握してないんですが、と言うのも彼は金正日のいわゆる資金関係に携わっていたという情報がありまして。
このゴ・セウクと言う男を本当に亡命させたかったのか?
あるいは何らかの方法で父親であるゴ・コクレツ、これは金正日の同窓生といいますが、万景台革命遺児学院での同期生で非常に親しい男です。
米軍としては彼を亡命させようとして何らかの手違いがあって、息子の方を救出したんだろうと言うふうにも考えています。

この5030と言うのはご存知だと思いますが、北朝鮮を崩壊させるためにあらゆる手段を使う。
亡命支援はもちろんの事、様々な手法、謀略も含めてとにかく北朝鮮にダメージを与えていく。
いうことでこれはもうすでに2003年にGOサインが出て、実際に稼動しています。
そう断言できるのは当事者とよく話をしておるわけで、具体的な内容を知ってるわけです。
余りどこまで言っていいか、あれなんですが。

その北朝鮮の体制崩壊につながることは全て、全てやると。
逆に言えばですね。
皆さんイメージで思われるCIAの工作活動、かつてはアメリカのCIAがやってたような敵性国家へのですね。
様々な工作をしろと言うのをその手法をですね。
CIAではなく米軍のDIAが主体となって軍事オペレーションとしてやると言うのがこの5030です。
これは非常に画期的な発動だと思います。
いうふうに私は思います。

最近マネーロンダリングとか様々な事で、アメリカは北朝鮮は犯罪国家であるというふうに様々な報道があります。
ブッシュ政権は現在見えない部分で北朝鮮にこの5030で北朝鮮にボディブローをやってる。
一方で証拠を示して犯罪国家であるという事を全世界に示す。
その表と裏で北朝鮮を金正日を締め上げております。

この実例3、金正日あぶりだし作戦、これについてご存じ無い方に言えばですね。
昨年ステルスと言うF117が韓国に配備されました。
これはステルスと言うのは当然レーダに引っかかりません。
つまり自由自在に北朝鮮の上空を飛び回る。
通常F16その他が飛んでますが、この5030の一つにはですね。
通常の戦闘機で領空ギリギリをあるいは領空侵犯を意図的にやる。
そうするとスクランブルをかけざるを得ない。
となれば航空燃料を使う。
北朝鮮の航空燃料と言うのは非常に貴重ですからそれを枯渇させるという意味で、どんどん領空侵犯をやっている。
最近はですね、もうスクランブルなんかかかって来ない。
油が無い、と言う状況だそうです。

もちろん無いわけではなくて戦時備蓄をして溜めているんでしょうが、そういう方法を117を持って来てですね。
とにかく平壌なら平壌の上空を飛ばしてですね。
もちろんその日に金正日がどこにいるかは別の通信傍受その他で大体の場所を把握しているんです。
そしてF117を飛ばしてそこで急降下させて急上昇させると。
そうするとこの爆撃音、皆さんご存知だと思いますが物凄い音がします。
何が起きたのか?と言うくらいの状況。
これで当然米軍が爆撃に来たというふうに勘違いをする。

当然防衛当局の連中はですね。
通信が増える。
そのパターンが今までのすり合わせの中で、そうすると今日金正日がいた、いなかったという事は当然分かる。
そういう形で常にここに言うあぶり出しをかけて金正日を脅している、と言うのが実態です。
F117は11月に帰りましたから、おそらく今は金正日も枕を高くして寝ていると思いますが、とにかく金正日が動く事によってどういう変化が起きるかと言う500辺りがいつも聞いて大体把握している。
うちの方にも501がありますから、そういう情報収集を常に行っている。

・・・レポート4に続く・・・

2006年04月03日

「米軍の対北朝鮮軍事作戦と拉致被害者救出作戦 講師:恵谷治氏」レポート その2

『恵谷治氏の講演 1』

Img_2373.jpg

どうもはじめまして。
ここにも多少経歴があるんですが少しだけ、自分の事をお話したいと思います。

私は大学を出てからすぐにアフリカに行きまして、何度も通いながら、メインはアフリカの紛争地帯のゲリラ側に潜入すると言う行為を繰り返して来ました。
1980年の・・・・・・(聞き取れず)ですから、30代40代半ばまでは現場に入るという。
その入れる過程において様々な問題、それをクリアしていくと言うのが自分の仕事だろう、自分の経験にしたいとやって参りました。
外国に入るに当たって横たわる難問、問題を解決するにはその状況、その場その場ですね。
状況を知るという行為が必要でありまして、そういう中で情報収集をやる。

一方でそれを阻止しようとする側がいるわけで、そことの丁々発止、これをかいくぐりながら・・・(聞き取れず)に入りゲリラたちと一緒に過ごして、無事に日本に帰ってくると。
当然ながらその間、軟禁をされたりですね。
行方不明になったり、それは状況から見て、まぁそういう事を繰り返してきました。
ですからそういった経験から考えて北朝鮮と言う事を考えるとですね。
あの国の体制と言うのがいかに厳しいと言いますか、潜入する事が困難かと言う事がよく分かります。
正直言いまして朝鮮語がもう少し出来ればですね、旧満州側から物売りにでも化けて入りたいと何度も思ったんですが、さすがに足腰も少し衰えてきて、プラス北の実態を知るとそれまで入ったような所で、軟禁された後開放されると言うような状況ではない。
そういう国ではない、と言う事を考えていわば諦めました。

私は1987年に北朝鮮に入りました。
当時初めて観光旅行が認められて、それ以前はですね。
社会党の友好親善団とか、そういう形でしか行けませんでしたが、金さえ払えば誰でも行けるという観光旅行。
それが当時8日か9日だったと思いますが、それで45万円でした。
(北朝鮮の)金稼ぎですが、入れてくれるならと行きたいと行きました。

その事で少しお話しますと私は2回行きました。
1回目の87年10月に行きまして、その直後11月に例の大韓機事件が起きました。
工作員の持ち物を見れば、もうこれは誰が見ても北朝鮮です。
そういうのは私は直感できましたから、当時様々な意見がありましたがこれは間違いがないとずっと思っていましたが、それは別としてですね。
87年に行った時には私はもちろんカメラを、今は重いので余り持ちませんが、ニコン2台抱えて写真を撮る。
案内員にですね。
「自分は写真を撮りたいので、撮っては拙い所は予め言って欲しい」
で、いろいろ撮って、さすがに元山の港の時は撮っては駄目だと一度だけありましたが、そういう事を言われる前に既に撮ってましたから問題はなかったんですが。

とにかく彼等から見るとですね。
最初の観光客にどう接していいか?どう規制していいか?分からないんですね。
それまではですね、もう自主規制で、例えば鉄条網が海岸線ずっと張ってあるんですが、それなんかバチバチ私が撮る。
それを向こうでそれを撮っては駄目だと言えない。
つまり上からの指示がなければ何も動けない。
これが北朝鮮です。

そうした中で、私は観光バスの中から必ず住民に手を振る、例外なく。
で、例外なく無視されました。
ところが91年、2度目に同じ作業をしました。
そうすると例外なく手を振ってきました。
つまりそれは旅をしている団体、全部どこにもですね。
つまり党の指示、上部の指示が一度決定すれば末端まで行き届くと。
その実態を本当に見た思いでした。

もうひとつついでに言えばですね。
2度目に行った時は私は1度目に行って、平壌の地下鉄の路線図とかを作るのが私の個人的な目的でした。
それは上手く行きまして雑誌に発表して、2度目に行った時はその雑誌をわざわざ意図的に持って行って、その地図上にはですね。
大韓機の実行犯の金賢姫の家があるというのを私は事前に書き込んだ物を私は用意したんですが。
それを案内員に見せてですね。
「日本の雑誌のここに、この地名に金賢姫の家があるそうなので行ってみたい」と車をチャーターして話しかけてどういう反応があるか?と見ましたが、さすがにですね。
車で、「さぁ行きましょう」と言って、案内員とは日本語で「金賢姫の家にアパートに行きたい」と言って車は動き始めたんですが、金賢姫の家に行くという話題をした途端にですね。
運転手がばっと聞き耳をそばだてる。
そばだてると言うのは、俺がこの中で一番偉いんだと、分かりながらですね。
「はい、行ってください」と、道が全然違うんです。

私は地図を描いたくらいで道は頭に入ってるんです。
「運転手さんそれは違う、もっと右に回って」と。
ところがとにかくその目的地に行かないんです。
でまぁこれは当然拒絶されているだろうから、それでも私は意図的に「私はちゃんと頭に入ってるんだ」と、「この信号を右に行って左に行って」と指示してとにかく現場まで行きました。
ただそのときの状況を私が描いた・プロットした地点は実は誤った情報でありまして、実際にはそこではなかったんですが。
で結果的には「何をしたいんだ?」って言うから「いやここで写真を撮ればいいんだ」と写真を撮って帰りました。

それでここまででどういう反応があるか冷や冷やして、私はいろいろそういう世界ばかり歩いてますから、いつ踏み込まれてもいいように、今はデジタルですが当時フィルムで、私はフィルムはですね。
撮ったフィルムは通常は巻き込む。
撮ってない物は(フィルムの端が外に)出るわけですね。
私はいつも逆にしているんです。
終わったのはべろを巻き込まないで出してですね。
新しいのはギリギリ1ミリか2ミリ、見えるか見えないかから引っ張り出す。
で新しいのを使う。

ですから撮った物を、これは撮ってないからこっちだと、実際そういうやり取りをやった事もありますが、そういうふうにして平壌を出るときに何をやられるかなと思ったら、思いがけずノーチェックでした。
で、91年以降は何度ビザを申請してもビザが取れなかった。
それもですね、観光旅行として東京のJTBで駄目であれば大阪の近畿ツーリストとか仙台とか、とにかくいろんな所で申請して、最終的には行く所まで行って電話がかかってきて「駄目です」と。
「理由を教えてください」と言っても、「それは教えられない」というような反応です。
まぁ逆にこれは入れて貰えないと言う事であれば、それはそれなりにスタンスが決まってですね。
書きやすい、発表しやすいという事で今日までやって来ました。

さて本題ですが、今日の戦略情報研究所の荒木さんから話があって、私も特定失踪者調査会の今年から役員をさせて頂いておる中で、この話をしてもらえないか?と言われたときに、ちょっと準備の期間がないんでと一旦はお断りしたんですが、と申しますのも私丁度引越しをしましてですね。
資料その他がまだ整理がついてなくて、プラス無二の親友が死んだりしてばたばたして準備する時間が無くて、今日ここにいるんですが。
そういった言い訳をするんではありませんが、本来は過去における人質救出作戦の事例をお話してその事例と、北朝鮮の拉致被害者救出作戦の比較と言う物をしてみたかったんですが、それが出来ませんでした。

ただここにあります米軍の軍事作戦についてお話して、それとも密接な関係があります。
それとその後に我が自衛隊による救出作戦と言う物を考えてみたいと思います。

・・・レポートその3に続く・・・

2006年04月01日

「米軍の対北朝鮮軍事作戦と拉致被害者救出作戦 講師:恵谷治氏」レポート その1

『山谷えり子自民党参議院議員 挨拶』

Img_2365.jpg

皆様こんばんは。
このようにマイクを握るとは思わずに、勉強したくて参りました山谷えり子でございます。
拉致議連の副会長をやっておりまして、また政府の内閣府の拉致問題特別チームの委員をしております。
今政府といたしましては法律の厳格な執行とそれから情報収集の対策を掲げると言う形で特別チームを作りまして頑張っておりますので、少し動きが出てきているという事が国民の皆様にも見え始めているのではないかと言うふうに思います。
引き続き国家主権の侵害であるこの深刻な、現在進行形のテロである拉致問題のために力を尽くしていきたいと思います。
そしてまた様々なシュミレーションがこれから必要になってくると思いますので、今日の先生の話を大変楽しみにしております。
どうぞよろしくお願いを致します。(拍手)

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関連過去エントリー

★「米軍の対北朝鮮軍事作戦と拉致被害者救出作戦」・・・戦略情報研究所講演会にて 
http://piron326.seesaa.net/article/15410446.html
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